レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/10/25
- 登録日時
- 2020/11/26 00:30
- 更新日時
- 2022/10/12 16:15
- 管理番号
- 茨城-2019-183
- 質問
-
解決
次の3点を調査してほしい。
1,下野藤八について記述のある郷土資料は「前田香径著『水戸を語る』」の他にもあるか。
2,「横竹隈の市立高女前の清正祠」の実在(現在・過去)がわかる資料はあるか。
3,『寛斎漫筆』という書物の詳細が知りたい。また、本文を閲覧する方法はあるか。
- 回答
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1 下野藤八について記述のある郷土資料について
(1)『水戸市史 中巻1』(水戸市史編さん委員会/編 水戸市役所 1991)
【当館請求記号:L202/ミト/2-1 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
第二章 寛永検地と支配体制の進展 第三節 家臣団の形成 p.162-197
p.179「第17表 寛文分限帳500石以上の諸氏」の表に,「下野藤八」の名があります。
表のみの記述ですが,「水府系纂」についての解説や家臣団の形成過程について解説されていますのでご紹介します。
(2)『常総古今の学と術と人』(大内 地山/著 水戸学研究会 1976)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1034578 国会デジタル・インターネット公開
【当館請求記号:L273/オオ/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
p.181-182に「下野有遠」の項目があります。
(3)『下市歴史散歩 人物編』(坂田 暁風/著 〔坂田暁風〕 2010)
【当館請求記号:L273/サカ/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
p.70-72に「弘道館訓導 殉難志士 下野隼次郎遠明(雪篂) (竹隈町)」の項目があります。有遠の子孫に当たる者で,有遠についても記述があります。
(4)『水戸の洋学』(沼尻 源一郎/編著 柏書房 1977)
【当館請求記号:L402/4/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
p.41-76「近世の治水技術-水戸藩を中心に-」(西江錦史郎/著)
p.48に「武田家と並び近世土木技術の二大源流の一つである旧加藤家からは、下野有遠が水戸藩に仕え石垣工事に功績を残している。」との記述があります。
(5)『水戸の橋ものがたり』(水戸まちづくりの会/編 水戸まちづくりの会 2011)
【当館請求記号:L289.2/ミト/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
p.40-42「石垣橋」の項目があり,下野有遠についても記述があります。
「石垣橋」についてのレファレンス事例で,レファレンス協同データベースに水戸市立中央図書館の事例がありました。
「水戸市下市の石垣橋の構造について記載のある資料はあるか。」
http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000230069
(6)『水府綺談』(網代 茂/〔著〕 新いばらきタイムス社 1992)
【当館請求記号:L202/ミト/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
(7)『明治後半期と大正時代の下市回顧録』(金子 竹酔/著 新いばらきタイムス社 1975)
【当館請求記号:L208/カネ/ 郷土資料室】
(8)『明治大正の水戸を行く』(前田 香径/著 いはらき新聞社 1959)
【当館請求記号:L208/マエ/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
(9)『城東歴史散歩 続』(坂田 暁風/著 〔坂田暁風〕 2003)
【当館請求記号:L202/ミト/2 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
(10)『広報水戸』平7.10/1号
【当館資料番号:001200429908 閉架逐次刊】
2 「横竹隈の市立高女前の清正祠」の実在(現在・過去)について
(1)『下市歴史散歩』(坂田 暁風/著 〔坂田暁風〕 2006)
【当館請求記号:L202/ミト/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
p.118-121に「清正公(せいしょうこう)神社」の項目があり,「市杵姫神社の境内社手継神社の中に清正公大明神として合祀されている」と記載があります(p.118)。
(2)茨城県神社庁のwebをみますと,市杵姫神社は,現在もある神社のようです。
茨城県神社庁-茨城県水戸市 神社一覧
http://www.ibaraki-jinjacho.jp/ibaraki/kenou/mito.html
3 『寛斎漫筆』について
(1)『水戸文籍考』(清水 正健/編 須原屋書店 1922)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/937116 国会デジタル・インターネット公開
【当館請求記号:L026/1/ 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
p.133-134に「加藤寛斎」の項がありますが,『寛斎漫筆』は挙がっていません。
(2)『近世史料 4 加藤寛斎随筆』(茨城県史編さん近世史第1部会/編 茨城県 1975)
【当館請求記号:L207/4/4 郷土資料室】 ※貸出用図書あり
「加藤寛斎随筆」を翻刻した資料です。『寛斎漫筆』について記載がないか,解説(p.251-263)を確認しました。
p.262に,『彰考館図書目録』に掲載のある編著書として『寛斎漫筆録』(17冊)等4点が挙げられています。
また,「『寛斎漫筆録』は、恐らく水戸藩産業史研究会が筆写した『寛斎君漫筆抄』(十七冊うち一冊欠本、彰考館所蔵)がその抄録ではないかと思われる。」との記述があります。
(3)『彰考館図書目録』(八潮書店 1977)
【当館請求記号:L029/2/(2) 郷土資料室】
彰考館文庫大正7年刊の影印版に,現蔵している資料について○を欄外に付し,焼失した資料がわかる目録です。
p.987に,3-(2)に掲載のある資料が4点挙がっていますが,いずれも○印がないので,焼失した資料となります。
【インターネット情報の最終確認日 2019/10/24】
- 回答プロセス
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(1) 当館OPAC・レファ協・google booksを検索(下野藤八,下野有遠,石垣橋等)し,資料を確認
(2) 「横竹隈の市立高女」の場所を確認
・『水戸の町名』(江原 忠昭/編集 水戸市役所 1985)
p.228-230「柳町二丁目」の項に「横竹隈」あり。市立高女・清正祠については記載なし。
・『水戸市史 下巻2』(水戸市史編さん近現代専門部会/編 水戸市役所 1995)
「市立高等女学校の設立」の項に,下市(竹隈)尋常小学校に間借りして設立した旨記載あり(p.316)。
・『茨城県女学校のあゆみ』(佐藤 環/著 茨城新聞社 2015)
「水戸市立高等女学校の創設」の項に,横竹隈の「下市尋常小学校の敷地内に間借り」して開校,昭和7年に外吉田村天神下に新築移転した旨記載あり(p.71)。
→『水戸を語る』出版当時(昭和6)は,下市尋常小学校の敷地内
・『〔茨城県立水戸第三高等学校〕八十年の軌跡』(茨城県立水戸第三高等学校創立八十周年記念事業実行委員会/〔編〕 茨城県立水戸第三高等学校創立八十周年記念事業実行委員会 2005)
巻末「竹隈公民館所蔵の地図」(家割入)の掲載があり,下市尋常小学校の敷地内に市立高等女学校があることがわかるが,清正祠については記載なし。
(3)下市に関する資料を確認
・『水戸、下市の歴史』(水戸本町三丁目商店街振興組合/〔編〕 水戸本町三丁目商店街振興組合 〔1997〕)
「学校」の項に,明治19年に下市尋常小学校ができ,「場所は現在の竹隈公民館付近」との記述あり。
(4) 「寛斎漫筆」で当館OPAC・茨城県立歴史館を確認→×
(5) 加藤寛斎の著書を確認→翻刻が掲載されている資料の解題を確認
- 事前調査事項
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前田香径『水戸を語る』に、
・江戸時代「下野藤八有遠」という元加藤清正家の武士が水戸藩に仕え、地名に残る石垣橋を築いたこと
・彼が一時竹隈に住んでいたらしいこと
・横竹隈という地域の市立高女の前に清正の祠が(執筆当時)存在し、下野の氏神だと考えられること
・『寛斎漫筆』という書物に「有遠は清正から拝領した鎧兜を所持していて、その子孫も清正の忌日にはそれを飾って人々に見せた」と書いてあること
といった内容が記されています。
※確認済みで記述のあった資料
『加藤家御侍帳(加藤清正伝収録)』
『水戸紀年(茨城県史料収録)』慶安二年の項
『寛文規式帳』ほか茨城県史料収録の分限帳
『徳川頼房公伝』
『水戸を語る』
※確認予定資料
『水府系纂』下野氏系図
『水府地理温故録』
『さかと No.2』酒門共有墓地保存会(茨城県立図書館)
『茨城人のルーツ』沼崎美三男(同上)
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
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水戸市史編さん委員会/編 , 水戸市史編さん委員会 , 水戸市. 水戸市史 中巻1. 水戸市役所, 1991-12.
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大内 地山(1880~1947)/著 , 大内 地山 , 大内 地山. 常総古今の学と術と人. 水戸学研究会, 1976-11.
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沼尻源一郎 編著 , 沼尻, 源一郎, 1898-. 水戸の洋学. 柏書房, 1977.
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-
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- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土,人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000289855