レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年05月05日
- 登録日時
- 2011/07/19 11:16
- 更新日時
- 2011/07/19 11:16
- 管理番号
- 9000007310
- 質問
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解決
漢籍などの出版がある「五山版」について詳しく書かれている資料があるか。
- 回答
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研究書としては『五山版の研究』上下(川瀬一馬著 日本古書籍商協会 1970年)があるが、当館では未所蔵である。当館所蔵資料で五山版について詳しく書かれているものには『日本書誌学概説』(川瀬一馬著 講談社 1972年)収載の「五山版概説」などがある。
- 回答プロセス
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1.漢籍に関係するということなので、『日本漢文学大事典』(近藤春雄著 明治書院 1985年)で「五山版」の項を見ると、「我が国、古板本の一。鎌倉時代から室町時代の末にわたって、京都・鎌倉の五山、およびその系統をひく禅寺で開版された書籍をいう」とあり、次の参考文献の記載があるが、いずれも当館では未所蔵だった。
・『五山版の研究』上下(川瀬一馬著 日本古書籍商協会 1970年)
・『日本古印刷文化史』(木宮泰彦著 富山房 1932年)「禅院の開版」
・『訪書余録』第5編(和田維四郎著 精芸出版 1918年)「五山版」
・『鎌倉室町時代之儒教』(足利衍述著 有明書房 1970年)「儒典の刊行」
・『五山文学小史』(上村観光著 裳華房 1904年)「日本禅林撰述書目」
・「書誌学」17号(1969年11月)「五山版の刻工について」
2.『日本古典籍書誌学辞典』(井上宗雄ほか編 岩波書店 1999年)で「五山版」の項に詳しい説明あり。
3.『国史大辞典』第5巻(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985年)を見ると「五山版」の項あり、2の『日本古典籍書誌学辞典』ともに、研究書としては『五山版の研究』上下(川瀬一馬著 日本古書籍商協会 1970年)を挙げている。
4.『日本古典文学大辞典』第2巻(日本古典文学大辞典編集委員会編 岩波書店 1984年)の「五山版」の項に詳しい説明あり。参考文献として『五山版の研究』の他、次のものを挙げており、いずれも所蔵資料だったので内容を確認すると「五山版」についての詳しい記述があった。
・『日本書誌学概説』(川瀬一馬著 講談社 1972年)→p244-259に「五山版概説」の項があり、「五山版開版書目一覧」が附されている。
・『和漢書の印刷とその歴史』(長沢規矩也著 吉川弘文館 1952年)→p113-116に「京都に於ける五山版の隆盛」の項あり。
5.自館システムで件名「印刷-歴史」を検索し、日本の印刷の歴史に関する資料を確認すると、次のものに「五山版」に関する記述があった。
・『日本印刷技術史』(中根勝著 八木書店 1999年)→p79-84に「五山版」の項があり、京都の五山について詳しい説明あり。
・『図解和漢印刷史(図書学参考図録入門編)』(長沢規矩也著 汲古書院 1976年)→p29-p31に「五山版の盛行」の項あり。
・『印刷文明史』第2巻(島屋政一著 五月書房 1980年)→p1237-1247に鎌倉時代の五山版、p1295-1310に室町時代の五山版の解説あり。
・『京都印刷一千年史』(京都府印刷一千年史編集委員会編 京都府印刷工業協同組合 1970年)→p43-47に京都の五山版に関する説明あり。
6.書誌学の関係図書にも「五山版」に関する記述があった。
・『書誌学入門:古典籍を見る・知る・読む』(堀川貴司著 勉誠出版 2010年)p17-18
・『図説書誌学:古典籍を学ぶ』(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫編 勉誠出版 2010年)p109-110
- 事前調査事項
- NDC
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- 写本.刊本.造本 (022)
- 印刷 (749)
- 参考資料
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- 『日本古典籍書誌学辞典』(井上宗雄ほか編 岩波書店 1999年) (p216-216)
- 『日本古典文学大辞典』第2巻(日本古典文学大辞典編集委員会編 岩波書店 1984年) (p592-592)
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『日本書誌学概説』(川瀬一馬著 講談社 1972年)
(p244-259) - 『和漢書の印刷とその歴史』(長沢規矩也著 吉川弘文館 1952年) (p113-116)
- 『日本印刷技術史』(中根勝著 八木書店 1999年) (p79-84)
- 『図解和漢印刷史(図書学参考図録入門編)』(長沢規矩也著 汲古書院 1976年) (p29-p31)
- 『印刷文明史』第2巻(島屋政一著 五月書房 1980年) (p1237-1247)
- 『京都印刷一千年史』(京都府印刷一千年史編集委員会編 京都府印刷工業協同組合 1970年) (p43-47)
- キーワード
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- 五山版
- 印刷
- 寺院
- 古刊本
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 「五山版」は、中世に、禅宗寺院である京都の五山(南禅寺(のちに相国寺に代わる・天龍寺・建仁寺・東福寺・万寿寺)、鎌倉の五山(建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺)を中心とした僧俗関係者によって刊行された書籍の総称。鎌倉中期に始まり、南北朝・室町前期に盛んになり、応仁の乱後は衰えながら室町末期まで続いた。版式は宋・元・明の方冊本の覆刻が主。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 出版・読書
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000088674