滋賀県立図書館の刊行物「ナマズの知恵袋」第71号のテーマは「滋賀の文学を知る!楽しむ!」です。
《トピックス》
2022年に第166回直木賞を受賞した今村翔吾さんの『塞王の楯』、2024年に第39回坪田譲治文学賞を受賞し本屋大賞にノミネートされた宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』など、滋賀在住の作家による滋賀を舞台にした小説が大ヒットしています。また、今年の大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部は大津市の石山寺で日本最古の長編小説『源氏物語』を書き始めたと伝わっており、『源氏物語』には大津市の逢坂の関など滋賀の地も登場しています。今号では滋賀にゆかりのある文学者・滋賀を舞台にした文学作品の調べ方をご紹介します。
◆滋賀の文学者を調べる
『滋賀近代文学事典 第2刷』日本近代文学会関西支部滋賀近代文学事典編集委員会編 和泉書院 2014年
【L-9000-14】
滋賀県の文学者・文学を調べる基本資料。近代から2008年頃までの、滋賀県出身者、及び居住、滞在者、訪問者、あるいは滋賀に関わる作品を描いたことのある文学者を五十音順に収録。作家ごとの滋賀県を題材、もしくは舞台とした作品を紹介しています。巻末に滋賀県ゆかりの主な文学者の墓所一覧、滋賀県内主要文学碑一覧、滋賀県内文学館記念館一覧、滋賀県出身文学者名簿、作品名索引を掲載。
◆新聞記事から滋賀の文学者を調べる
「滋賀県関係新聞記事見出し検索」(
https://www.shiga-pref-library.jp/wo/si_search/search/)
1983年以降の約79万件におよぶ滋賀に関わる新聞記事見出しデータベースを、当館ホームページから利用
いただけます。滋賀の文学者に関する新聞記事は、例えば次のような方法で探すことができます。
【例1】滋賀の文学者に関する新聞記事の探し方 (令和6年(2024年)3月13日現在)
検索ボックスに「作家」、詳細検索「分類」を「49(報道・出版)」にして検索すると、153件の記事が見つかります。
・『まさに山田風太郎賞〔大波小波〕(滋賀県出身の作家・今村翔吾氏の小説『じんかん』評)』
2020/11/28、中日新聞夕刊、5面
・『ノンフィクション特別賞に「活動評価うれしい」 守山出身、児童文学作家・国松さん』
2019/5/25、京都新聞朝刊、滋賀版
・『「郷土の偉人」小説に 直弼の先見性に光 東近江市の歴史作家 (『大老 井伊直弼』・羽生道秀著)』
2009/5/25、京都新聞朝刊、滋賀版
・『子どもの成長を絵本に(児童文学作家・今関信子さん)ひと往来』 1999/10/03、朝日新聞朝刊、滋賀版
【例2】滋賀の文学者に関する新聞記事の探し方 (2024年3月13日現在)
検索ボックスに「出身」、詳細検索「分類」を「72(図書館・読書)」にして検索すると、37件の記事が見つかります。
・『創作秘話や知られざる一面明かす 凪良ゆうさん、京でトークイベント「汝、星のごとく」で本屋大賞(大津市出身)』 2023/6/29、京都新聞朝刊、9面
・『エッセーで書店に恩返し 守山出身の小説家・中島桃果子さん 月1、無料配布「新刊にも期待」(本のがんこ堂守山店)』 2020/9/3、京都新聞朝刊、滋賀版
◆滋賀を舞台にした文学作品を調べる
・『近江の文学』 滋賀県高等学校国語教育研究会編 京都カルチャー出版 1994年【S-9000-94】
滋賀県内各高等学校の国語の教員によってまとめられた郷土文学への案内書。古典から現代までの文学作品を幅広く紹介しています。作品本文の引用の他(古典作品は現代語訳付き)、作品解説や著者紹介、「近江と芭蕉」などの特集、「近江の文学碑100選」などの付録も充実。
・『鳰(にお)の浮巣 近江の文学風景』 西本梛枝著 サンライズ印刷株式会社出版部 1996年【S-9000-96】
・『湖(うみ)の風回廊 近江の文学風景』 西本梛枝著 東方出版 2003年【S-9000-03】
滋賀銀行発行の冊子『湖』での連載を元に、滋賀県が関わる近世から現代の文学を、『鳰の浮巣』では23作品、『湖の風回廊』では25作品を採り上げ、作品に深く影響を与えた滋賀県の風景を豊富な写真と共に知ることができます。『鳰の浮巣』は各作品に主たる舞台の解説、『湖の風回廊』には巻末に地名から引ける地名と作品の索引を掲載。
・『滋賀の文学地図』 朝日新聞大津支局編 サンブライト出版 1978年【S-9000-78】
滋賀を舞台にした近現代文学50作品を採り上げ、作品に関連する歴史や地域性を、現地を取材し掘り下げて紹介しています。巻末に付録として「滋賀県を舞台とした他の作品(主に比較的新しい小説)」として、本編では紹介されなかった40作品をその舞台と共に掲載。
・『湖国・文学の風景 その光と影 第2刷』 松村隆雄著 大阪教育図書 1998年【S-9000-98】
滋賀を舞台とした近現代文学35作品を採り上げ、作品を紀行と共に紹介しています。
・『近江文芸風土記』 渡邊守順著 近江文化会 2015年【S-9000-15】
古代から現代までの近江の文学作品を、短歌、俳句、謡曲等幅広く紹介しています。序にかえての「文壇県別帖-滋賀県の巻」では、近年の滋賀県の文学者と文壇・歌壇・俳壇事情を詳しく紹介しています。
・『琵琶湖ハンドブック 三訂版』 内藤正明監修 滋賀県 2018年【S-4580-18】
(
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/biwako/11346.html)2024年3月13日確認
「2-4文学」(p.26-27)に王朝文学から現代までの滋賀に関わる主な文学作品とその著者、主に関わっている地域を一覧で紹介しています。なお『琵琶湖ハンドブック』は滋賀県のホームページ内で全文公開されています。
・滋賀ゆかりの文学作品(
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5376934.pdf)2024年3月13日確認
滋賀県のホームページ内で、王朝文学から2007年頃までの滋賀ゆかりの文学作品等の一覧を公開しています。
◆ほかに…
・『みーな -びわ湖から-』 長浜みーな協会【P】(滋賀県関係雑誌)
長浜市で発行されている地域情報誌です。湖北エリアに関する情報が充実しています。滋賀県にゆかりのある本を紹介する「BookBox」というコーナーがあり、文学だけではありませんが毎号8冊程度紹介されています。今号冒頭で触れました『塞王の楯』はVol.148で、『成瀬は天下を取りに行く』は、Vol.153でそれぞれ取り上げられています。
・『滋賀県文芸コンクール』 『滋賀県文学祭』 『滋賀文学』 滋賀県【S-9800】(欠号あり)
昭和26年(1951年)から県教育委員会などの主催で「滋賀県文学祭」が毎年開催されています。滋賀県に関わりのある方を対象に、小説・随筆・詩・作詞・短歌・俳句など幅広く募集しています。上記3誌には、各年の受賞作や選評が掲載されています。 ※刊行年により、誌名や発行者が変わっています。
・『小説すばる 2024年1月号』 集英社【P】(一般雑誌)
特集記事「新春“滋賀在住作家”放談 宮島未奈×天沢時生×今村翔吾「琵琶湖からエンタメの未来が見えた!」
一般雑誌でも「滋賀の文学」が取り上げられることがあります。当館では雑誌特集名はデータ入力しており、たとえば蔵書検索ページの検索ボックス「雑誌記事」で「滋賀□作家」と入れるとこの特集を確認することができます。