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レファレンス協同データベース

レファレンス事例詳細

事例作成日
2022/01/28
登録日時
2022/03/16 00:30
更新日時
2026/02/18 00:34
提供館
大阪府立中央図書館 (2120005)
管理番号
6001054610
質問

解決

カフカの小説「変身」で主人公が変身した虫の種類を知りたい。
回答
調査の結果、以下のような説があることがわかった。

ゴキブリ
・『カフカの迷宮:悪夢の方法 (作家の方法)』(後藤明生/著 岩波書店 1987.10)
p.45-46
作中の描写を引用した上で、「描写から想像するに、ゴキブリが一番近いようです」、「動作、運動、食物の好みの変化、茶褐色の色、などからも、ゴキブリのイメージがぴったりするようです」としている。

ハネカクシ
・『世界大博物図鑑 1 虫類』(荒俣宏/著 平凡社 1991.8)
p.203,206 「≪変身≫の虫」
作中で虫がMistkäferと呼ばれていることから、コガシラハネカクシ属のドイツ語での一名がglänzender Mistkäferであることに注目し、「本属のなかまは黒と茶色に塗られた細長い体をもち、糞や腐肉に群がる種が多い。鞘翅をもちながら最後はリンゴにあっけなくつぶされてしまうところなども、はねが短く体が大きく露出しているハネカクシならうまく説明がつく。ヨーロッパでは古くから悪魔の使いとしてきらわれてきた虫ということもあるし、あるいはここらあたりが正体かもしれない」としている。

ゴミムシダマシ、あるいはシデムシ
・『カフカ「変身」注釈』(三原弟平/著 平凡社 1995.1)
p.59
「湿気へのグレゴールの敏感さ、明かりを嫌うところ、古くなって食べられないチーズや腐りかかった野菜を好む点は、いくつかの甲虫、たとえばドイツではもっともよく見かけるゴミムシダマシ類で、害虫である穀粒ゴミムシダマシ(Mehlkäfer)や、腐肉を食べるシデムシ(Totenkäfer)のようなものが、乾燥を好んで、人気の無い倉庫、あるいは野外では石の下に棲息するという事実と対応している」

ムカデ
・『現代文学の運命』(福田宏年/著 講談社 1971)
p.6
理由を論じてはいないが、変身した虫を「一匹の巨大なムカデのような虫」と書いている。

鞘翅類の大型の昆虫
・『カフカの世界』(辻瑆/編 荒地出版社 1977)
p.194-195
「わたくしの頭に浮かんだのは、あの鞘翅類の大型の昆虫、こがね虫より大分大きいやつの、それも、例の日本の兜の前立物をつけていない形のものである。わりあいに愛嬌のある、のっそりした力持ちの虫である」
また筆者は、訳出の際には「フランス語の訳によって「かぶと虫」と訳した」とも書いている。

甲虫の一種、ただし小説序盤は幼虫、終盤では成虫になっている。
・富山典彦「フランツ・カフカ『変身』の「虫」の変態についての一考察」 『成城文藝』236(成城大学文芸学部 2016.6)
p.25-12
物語序盤で体の向きを変えることが困難であった主人公が、物語後半の一場面では振り向くことができていることなどから、幼虫から成虫に変態したのではないかと考察している。
なお、この論文はインターネット上で公開されている。
https://seijo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3879&item_no=1&page_id=13&block_id=17 (2022/01/28 現在)

次の資料は具体的な虫の種類への言及はありませんが、少なくともゴキブリではないとしています。
・『ヨーロッパ文学講義』(ウラジーミル・ナボコフ/[著] 野島秀勝/訳 TBSブリタニカ 1982.7)
p.329-331
「ゴキブリは大きな脚をもった、平たい形の昆虫であり、グレゴールは平たいどころの話ではない、腹も背中も両側とも丸々とふくらんでおり、彼の脚は小さいのだから。彼がゴキブリと似かよっている点があるとすれば、ただ一つ、色が褐色だという点だけである。」
またp.331にナボコフによる虫の想像図がある。

[事例作成日:2022年1月28日]
回答プロセス
事前調査事項
NDC
  • 小説.物語 (943 10版)
参考資料
  • B10209837 カフカの迷宮 後藤/明生∥著 岩波書店 1987.10 後藤/明生∥著 岩波書店 1987.10 940.2/69/ 4-00-003505-3   (45-46)
  • B10071743 世界大博物図鑑 1 荒俣/宏∥著 平凡社 1991.8 荒俣/宏∥著 平凡社 1991.8 480.3/1N/1(2) 4-582-51821-4   (203,206)
  • B10059574 カフカ「変身」注釈 三原/弟平∥著 平凡社 1995.1 三原/弟平∥著 平凡社 1995.1 940.2/79N/カフ 4-582-31331-0   (59)
  • B10156823 現代文学の運命 福田/宏年∥著 講談社 1971 福田/宏年∥著 講談社 1971 220.3/567/#   (6)
  • B10201469 カフカの世界 辻/瑆∥編 荒地出版社 1977 辻/瑆∥編 荒地出版社 1977 243/663/#   (194-195)
  • B10170389 ヨーロッパ文学講義 ウラジーミル・ナボコフ∥[著] TBSブリタニカ 1982.7 ウラジーミル・ナボコフ∥[著] TBSブリタニカ 1982.7 902.8/8/   (329-331)
  • 富山典彦「フランツ・カフカ『変身』の「虫」の変態についての一考察」(2022/1/28 現在):<https://seijo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3879&item_no=1&page_id=13&block_id=17>
キーワード
  • フランツ・カフカ
  • 変身
照会先
寄与者
備考
調査種別
事実調査
内容種別
質問者区分
個人
登録番号
1000313646
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000313646 コピーしました。
アクセス数 19794
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