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レファレンス協同データベース
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レファレンス協同データベース

レファレンス事例詳細

事例作成日
2020年11月26日
登録日時
2022/02/11 18:25
更新日時
2023/08/08 09:51
提供館
山梨県立図書館 (2110005)
管理番号
9000033636
質問

解決

杏仁豆腐がいつごろできたものか、その由来を知りたい。三国時代にできたらしい。
回答
 杏仁豆腐がいつごろから食べられているか、由来や歴史についてはわからなかったが、もともとは、喘息等の治療に用いられるあんずの核の中の種(杏仁)を用いた薬膳料理の一種で、杏仁の表皮を除きすりつぶして搾った白い汁を寒天でかためたもの。現在では、牛乳とアーモンドエッセンスでつくることが多い。
 「蒙求」「神仙伝」に見られる、死んだ人を生き返らせることができる三国時代の名医・董奉(とうほう)の話は「杏林」が「医者」を表すことの故事(杏林伝説)で、その話の中には、杏仁豆腐についての記述はみあたらなかった。
回答プロセス
1.質問の出典について確認
江崎グリコ株式会社ホームページ「杏仁豆腐のルーツは、三国志時代の名医にあった!」(https://www.glico.com/jp/health/contents/annindofu/ )によると、杏の種「杏仁(キョウニン)」は「肺と腸を潤す働きがある」とされていたが、杏仁は苦味が強く人々の口に合わなかったため、粉末状にした杏仁に甘味や牛乳を加えて食べやすく加工したのが「杏仁豆腐」のはじまりで、薬膳デザートとして中国全土に広まり宮廷にも伝わった。

2.食文化の事典を調査
・『中国食文化事典』(木村 春子/[ほか]編著 角川書店 1988年)〈資料番号0101732956〉→p.371香辛調味料の「杏仁(シンレン)」の項に「あんずの種、あんずの種の中にある核(さね)。アーモンドに似た強い芳香があり、すりつぶして搾った白い汁をかためたのがデザートの杏仁豆腐である。」「杏仁は現在の風邪薬にも処方されるほど、去痰・呼吸鎮静の薬効がある。」。p.396名菜・名点の「杏仁豆腐(シンレンドウフ)」の項に「杏仁羹。杏仁(あんずの種核)をこまかくくだき、さらにすりつぶして、にじみ出た白い汁をしぼり取り、寒天で冷やして固めてから菱形に切り、甘いシロップに浮かせた甜菜。杏仁霜(杏仁の粉末)やミルク、アーモンドエッセンスなどで白い色や香りを付けた簡便な作り方のものは、一般には多く広まり…」などの記述。由来については記載なし。
・『世界たべもの起源事典』(岡田 哲/編 東京堂出版 2005年)〈請求記号0105010466〉→p.14「あんず」の項に「中国では、医術を施した仙人の薫奉(とうほう)が、お礼に患者から1本のアンズの木を貰い、それがのちに繁茂して林となる故事から、医者のことを杏林と呼ぶ。種子はアミグダリンを含み、咳止めに効果がある」「核の中の種子は、杏仁を称して二種類あり、苦仁が薬用に、甘仁は食用にする。甘仁を擂(す)り潰し、しぼり汁を入れた中国のデザートが、杏仁豆腐である。」などの記述。

3.食物、菓子の事典類を調査
・『中国食物事典』(田中 静一/[ほか]編著 柴田書店 1991年)〈資料番号0100069970〉→pp.192-193果物の「杏(アンズ)」の項に、「種実が杏仁(アーモンド)としてもちいられる。このうち、苦杏の杏仁は小粒で薬用に、甜杏の杏仁は大粒で製菓材料として食用される。前者は薬店で、後者は食料品店で売られているが、杏仁豆腐の杏仁は薬用杏の方を用いる」との記述あり。p.471薬膳原料には「甘アンズの種子」の項あり。p.478香辛料に「杏仁(しんれん)」の項には、「アンズの種子中の核、アーモンドより小さく丸い形で、アーモンドによく似た強い芳香がある。デザートとして有名な杏仁豆腐は、杏仁の表皮を除きすりつぶしてしぼった汁をかためたものである」とある。
・『洋菓子百科事典』(吉田 菊次郎/著 白水社 2016年)〈資料番号0106626302〉→p.27「あんにんどうふ」の項に「そもそもは杏子の中の仁が喘息等の治療に効果があるとのことで、それを用いた薬膳料理の一種であったというが、今やすっかり定番デザートとして定着した」として、杏仁霜や牛乳を使った作り方の掲載がある。
・『菓子(新・食品事典 10)』(河野 友美/編 真珠書院 1991年)〈資料番号0100073121〉→p.120「杏仁豆腐(シンレンドウフ)」の項に「本式には杏仁(アンズの核の中からとり出した仁)をすりつぶして水でのばし寒天で固めてつくるが、現在では牛乳とアーモンドエッセンスでつくることが多い」などの記述。

以上、2、3の調査では由来については記載なし。

4.質問の出典に記載の中国・三国時代(220~280年)の医師・董奉(とうほう)の故事について調査
・『成語大辞苑 故事ことわざ名言名句』(主婦と生活社 1995年)〈資料番号0102984895〉→p.399「杏林(きょうりん)」の項に「【意味】医師の美称」とあり、中国の三国時代の呉の時代の名医・董奉(とうほう)の故事について解説。出典は「蒙求」で、そのもとは「神仙伝」だとある。
・『新釈漢文大系 59 蒙求』(明治書院 1973年)〈資料番号0101415941〉→p.872「董奉活燮」あり。死んだ人を生き返らせることができる名医の話。治療をしても銭や品物を受け取らなかったが、1株の杏を植えさせたところ、数年たって林となった。
・『中国古典文学大系 8 抱朴子 列仙伝・神仙伝 山海経』(平凡社 1969年)〈資料番号0101515302〉→p.404「董奉」あり。

以上4の調査によると、董奉(とうほう)の話は「杏林」が「医者」を表すことの故事で、杏仁豆腐についての記載はなかった。

5.中国の薬膳について調査
・『中国伝統医学による食材効能大事典』(山中 一男/編著 東洋学術出版社 2020年)〈資料番号0107445249〉→p.131「あんずの種(甜杏仁)」の項に「中国料理のデザートとして有名な「杏仁豆腐」は本来「苦杏仁」をすり潰した汁を固めたもの」との記載あり。

6.次のものには、杏仁豆腐や杏仁についての記載がなかった。
・『世界の食語源×由来小事典』(ジャパンアート社 2001年)〈資料番号0104025598〉
・『中国飲食故事』(金 新/著 浙江出版集団東京 2019年)〈資料番号0107434177〉
事前調査事項
NDC
  • 食品.料理 (596 10版)
  • 衣食住の習俗 (383 10版)
参考資料
  • 木村春子 [ほか]編著 , 木村, 春子. 中国食文化事典. 角川書店, 1988.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001921170-00
    ,  ISBN 4040403002   (p.371,p.369)
  • 岡田哲 編 , 岡田, 哲, 1931-. 世界たべもの起源事典. 東京堂出版, 2005.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007698315-00
    ,  ISBN 4490106637   (p.14)
  • 田中静一 [ほか]編著 , 田中, 静一, 1913-. 中国食物事典. 柴田書店, 1991.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002116325-00
      (pp.192-193,p,478)
  • 吉田菊次郎 著 , 吉田, 菊次郎, 1944-. 洋菓子百科事典. 白水社, 2016.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027241669-00
    ,  ISBN 9784560092316   (p.27)
  • 河野 友美/編 , 河野‖友美. 菓子. 真珠書院, 1991. (新・食品事典 ; 10)
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005703271-00
    ,  ISBN 4880091103   (p.120)
  • 山中一男, 小池俊治 編著 , 山中, 一男, 1958- , 小池, 俊治, 1969-. 中国伝統医学による食材効能大事典. 東洋学術出版社, 2020.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030284712-00
    ,  ISBN 9784904224724   (p.131)
  • 主婦と生活社 編 , 主婦と生活社. 成語大辞苑 : 故事ことわざ名言名句. 主婦と生活社, 1995.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002447724-00
    ,  ISBN 4391117568   (p.399)
  • 新釈漢文大系 59. 明治書院, 1973.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001238535-00
      (p.872)
  • 中国古典文学大系 8巻. 平凡社, 1969.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001271172-00
      (p.404)
キーワード
  • 杏仁豆腐
  • 中国料理
  • デザート
  • あんず
  • 杏仁
  • 薬膳
  • 杏林伝説
照会先
寄与者
備考
<質問の出典>
江崎グリコ株式会社ホームページ:杏仁豆腐のルーツは、三国志時代の名医にあった!
https://www.glico.com/jp/health/contents/annindofu/
調査種別
事実調査
内容種別
質問者区分
図書館
登録番号
1000312054
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000312054 コピーしました。
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