レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年08月10日
- 登録日時
- 2021/11/17 16:58
- 更新日時
- 2021/11/25 09:21
- 管理番号
- 0000110936
- 質問
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解決
法令を論文やレポートで引用する際の書き方について知りたい。具体的には、法令の題名(件名)、法令番号、制定年、改正年などをどのように表記したらよいかを記載した図書や、表記の基準などがあるのかどうか知りたい。
- 回答
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法令の引用・表記の仕方について書いた資料として、以下がある。
下記資料1によると、「法令を引用する場合には題名に加え法令番号を添える」とある。同書の地の文から例示すると、p64では「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成22年法律第68号)」と表記されている。
また、一部改正法(例えば「刑法の一部を改正する法律」のように、固有の法令番号をもっているものの、既存の法令の一部分を改正する目的で定められる法令で、六法などに掲載されるときは既存の法令に溶かし込んだものが掲載される。)によって一部改正された法令を引用するときには、制定当初の法令番号を用いる、とある。
なお、法令番号は簡略化(例:「平17法86」など)されることがあるが、省令の番号についてはいずれの省の所管かを記す(例:「会社法施行規則(平18法務省令12)」など)とある。
また、昭和22年(1947年)ごろまでに制定された法令については、題名が付されていないものがあり、この場合は、その法令の内容を表した、官報の公布文に含まれる文言など(例:題名のない「明治22年法律第34号」を「決闘ニ関スル件」とする)を「件名」として用いる、とある。
資料2によると、法令には、固有の名称があるため、法令の名前を表記することで特定可能、とする。同書の地の文では、多くの場合「民法」「会社法」など法令名のみが表記されている。(p11など)
ただし、「○○法を改正する法律」のように、年を隔てて同じ名前の改正法が登場することもあり、その場合は法律成立年月日と法律番号を付記して特定することも必要、とある。
なお、同書には、「条」「項」「号」など、各条文の表記法についても記載されている。
資料3は、通常は、法令の名前を表記するのみで十分とし、「○○法を改正する法律」のように年を隔てて同じ名前の法律があるとき、それらを特定して引用する場合は、法律番号を付記する、とある。同書の地の文では、多くの場合「国会法」「商法」など法令名のみが表記されている。(p4など)
さらに、正式名称が長い法令の場合は略称を使うことがある、とし、略称の例として有斐閣『小六法』巻末の「法令名略語」表を挙げている。論文等で略称を利用したいときは、最初に正式名称を示した上で「以下○○という」、「(一つの法律しか使用されないときは)以下、法という」と表記する、とある。
なお、同書には、「条」「項」「号」など、各条文の表記法についても記載されている。
やや刊行年の古い資料だが、資料4では、法律論文の注における法令の表記について、法令名・条文の順(例:「民法一条三項」)で表記する、とある。また、略称を用いることも多く、六法全書の略称を用いる、とある。(例:「民一③」(民法一条三項)」 同書の地の文では、多くの場合「行政事件訴訟法」「行政不服審査法」など法令名のみが表記されている。(p153など)
なお、法律論文を書く際の引用等の表記に係る基準にあたるものとして、法律編集者懇話会が作成した「法律文献の出典の表示方法」がある。2021年現在は「2014年版」が最新であり、NPO法人法教育支援センターのウェブサイトで公開されている。この文書には、法令の引用(表記)方法については書かれていないが、「法令名の略語」(総合六法全書(三省堂、有斐閣)のそれに依拠したもの)の章がある。この文書のうち、「法令名の略語」「判例集・判例評釈書誌の略称」については、資料1巻末にも収録されている。
法律文献の出典の表示方法 2014年版(NPO法人法教育支援センター、PDF直リンク)
https://www.houkyouikushien.or.jp/katsudo/pdf/houritubunken2014a.pdf
- 回答プロセス
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『リーガルリサーチ 第5版』『法情報の調べ方入門 補訂版』の引用法の部分を確認、法令については記載なし。
320.7及び816.5の棚をブラウジング、引用法についての記述部分には無いものと思われた。
自館蔵書検索にて「法律論文」「法律文献」の語で検索、ヒットした『法律文献学入門』に、「3.法令名」の章があり、法令名の表記法について記述がある。法令の基礎知識の部分に記載されている可能性があることが判る。関係資料の当該部分を確認。
なお、NDLサーチで「法令」「引用」の語で検索したところ、以下の論文がヒットしたため確認したが、近代の法令を中心とした内容であったため、紹介しなかった。
井上政文「法令の引用について」(「時の法令」994 1978 p9-16)
- 事前調査事項
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地域の市立図書館に照会したところ、レポートや論文の書き方についての図書で取り上げているものはない、とのこと。基準もないのではないか、とのこと。また、参考として、以下のウェブ情報源(個人によるウェブページ)を紹介してもらった、とのこと。
佐々木将人“法令の引用の仕方” これを知ったら佐々木将人@函館 程度にはなれる初級法学講座
http://www.lufimia.net/sub/c1/rr/0010.htm
岡村久道“法律論文等での条文に関する表記方法”情報法学日記by岡村久道
http://hougakunikki.air-nifty.com/hougakunikki/2010/12/post-eb5a.html)
- NDC
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- 法学 (321 9版)
- 参考資料
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1.いしかわまりこ, 藤井康子, 村井のり子 著 , 指宿信, 齊藤正彰 監修 , いしかわ, まりこ , 藤井, 康子 , 村井, のり子, 1947- , 指宿, 信, 1959- , 齊藤, 正彰, 1970-. リーガル・リサーチ = LEGAL RESEARCH 第5版. 日本評論社, 2016.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027157800-00 , ISBN 9784535521629 (p64-65) -
2.小林成光, 高田寛, 高橋均, 伏見和史, 本山雅弘 著 , 小林, 成光, 1955- , 高田, 寛, 1953- , 高橋, 均, 1955-. やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方. 文眞堂, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010849620-00 , ISBN 9784830946615 (p11-17) -
3.西野喜一著 , 西野, 喜一(1949-). 法律文献学入門. 成文堂, 2002-09.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000408753-00 , ISBN 4792331730 (p18-33) -
4.広中俊雄, 五十嵐清 編 , 広中, 俊雄, 1926-2014 , 五十嵐, 清, 1925-2015. 法律論文の考え方・書き方. 有斐閣, 1983. (有斐閣選書R ; 12)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001618547-00 , ISBN 464102331X (p59)
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1.いしかわまりこ, 藤井康子, 村井のり子 著 , 指宿信, 齊藤正彰 監修 , いしかわ, まりこ , 藤井, 康子 , 村井, のり子, 1947- , 指宿, 信, 1959- , 齊藤, 正彰, 1970-. リーガル・リサーチ = LEGAL RESEARCH 第5版. 日本評論社, 2016.
- キーワード
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- 法令
- 論文作法
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000307722