①には、「V字形の編隊で飛ぶ渡り鳥」として、「じつは、鳥たちは意識してあのような編隊を組んで飛んでいるわけではありません。鳥が羽ばたくと空気がかきまわされて、その鳥の後ろにうずを巻いた風がのこります。群れで飛ぶ鳥たちは、この風を利用しているのです。うずの風の上部は上昇気流になっているので、この風にうまくのると強く羽ばたかなくても、うきあがる力(揚力)が得られます。これによって飛ぶために使うエネルギーが少なくてすみます。ですから、先頭の鳥の右の翼の後ろに1羽、左の翼の後ろに1羽と、少しずつずれてならんで飛ぶと、後ろの鳥たちは省エネ飛行で渡りができるわけです。その形を下から見あげると、きれいなV字の形がつくられています。このようにして群れで渡る鳥たちは、体力を使う先頭を入れ代わりながら、長距離を渡っていくのです。」と記載があり、翼と翼の間の気流の流れを表したイラストも掲載されている。
②には、「渡り鳥はなぜかぎ型をつくって飛ぶのか」として、「飛翔のさいには、圧力が高い翼下面から、上面に巻き上がるうずが両翼端に発生する。このうずをじょうずに利用すれば、後続の鳥は省エネルギー飛行ができるはずである。雁行で有名なガン類、ハクチョウ類、ツル類、カワウ、ユリカモメなどは、このうずを利用した位置に後続の鳥が続くので、かぎ型の飛行隊形をとっているように見える。」と記載されている。また、イラストを用いて力の流れを表し、「真後ろの部分にはおし下げる力がはたらき、両翼端の外側の部分にはおし上げる力がはたらく。鳥が飛行の楽なおし上げる力のはたらく部分を選んで飛ぶので、自然にかぎ型の飛行隊形になるのだと考えられる。」と説明している。
③では「渡りの方法」として、「群れで渡りをするハクチョウやガンは、逆V字の編隊を組んで渡っていきます。こうすると、前を飛ぶ鳥のおかげで、後ろの鳥は正面からの空気抵抗が少なくなり、10%以上もエネルギーを節約することができます。」としている。また「ガンの編隊飛行」として、「ガンが群れで飛ぶときは、逆V字に編隊を組んで飛びます。この形を「雁行」といいます。このように、編隊を組む飛びかただと、あまり力を使わずに飛ぶことができます。飛行する鳥のななめ後ろは、空気のうずができていて、空気抵抗をあまり受けないからです。後ろを飛ぶガンたちは、それぞれ、前を飛ぶ鳥のななめ後ろに続くことで、少ない空気抵抗で、前に飛ぶことができるのです。編隊の形はときに、W字形になったり、J字形になったり、ななめ一直線になったりと、上空の大気の流れに応じて変化します。ガンは、大きなからだで長距離を渡るために、効率のよい飛行方法をとっています。」と記載されている。
④では「渡りをするとき、カナダガンは最大で数千羽の群れをつくる。V字型の隊列を組むのは、エネルギーを節約し、飛距離を延ばすためだ。先頭の鳥が空気抵抗を一身に受けてくれるので、後ろの鳥たちはあまりいっしょうけんめい羽ばたかなくてもよい。先頭は交代で務める。1日、1,000キロ移動することができる。」と記載されている。