レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/05/12
- 登録日時
- 2017/06/10 00:30
- 更新日時
- 2017/06/10 00:30
- 管理番号
- 6001023877
- 質問
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解決
淡水魚と海水魚が一緒に生きられる「水」とは、どのようなものですか。
- 回答
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淡水魚と海水魚が一緒に生きられる水は、下記資料により「好適環境水」という名前だということがわかりました。
また、「人口飼育水」という名称で特許を取得されていることもわかりました。
関連する雑誌記事2点を以下に記述します。
1.雑誌論文
1)山本俊政、梅原和弘、 田中隆司 [他]「インタビュー 海水魚と淡水魚が混泳する不思議な水『好適環境水』」 (特集 何かが違うぞ--常識を覆す新たな発想)」『宙舞』64(自動車技術会中部支部 2009) p.6-10、図巻頭1p
筆頭著者の山本俊政氏(岡山理科大学専門学校アクアリウム学科学科長:当時)の説明があります。
p.6 「一言で言えば、天然海水中の塩類成分のうち、魚類の浸透圧にかかわる必要最小限の成分を低濃度化した人工飼育水です。」
「しかし、最初から海水魚も淡水魚も泳がそうという発想はありませんでした。・・・・・魚資源の確保のために海水のないところで海水魚を飼育したい、ひいては大規模養殖につなげたいという思いで・・・・・」
これに続けて「浸透圧調整」について、
・魚の体液の塩分濃度は、海水魚も淡水魚も約1%前後、海水の塩分濃度は約3.5%。
・生物の細胞膜は半透性のため、細胞内外で濃度が違うと水分子は細胞膜を透過して濃度の低い方から高い方へ移動する圧力(浸透圧)が働く。
・海水魚は、体液より塩分濃度が高い海水へ体液が逃げ出すが、口から水を積極的に取り入れ、エラから塩分を排出している。
・淡水魚は、体液より塩分濃度が低い淡水が体内に入り込むため、エラから塩分を取り入れ大量の水を尿として体外へ排出している。
・魚類にはエラ弁の一部に浸透圧調整を行う「塩類細胞」があり、外的な塩類濃度の変化に対応して細胞数を変化させている。体表にも多数の塩類細胞がある。
・浸透圧調整には、塩分濃度だけではなく、遊離アミノ酸や水素イオン濃度、塩類細胞数を変化させるための福神皮質ホルモンなど、多数の要因があり、解明されていないことが多い。
という説明があります。
2)八巻慶汰、室井智博、鈴木智也、加藤雅貴、佐藤 荘志「好適環境水に関する研究」『水文・水資源学会研究発表会要旨集』29(0)(水文・水資源学会 2016)p.138
「2.研究の動機
好適環境水は、岡山理科大学山本俊政准教授により開発された人口の飼育水である。好適環境水は塩分濃度が海水の約4分の1程度に調整されていて、好適環境水下で飼育したトラフグやヒラメは人工海水で飼育した場合より成長が早くなることが分かっている。」
これに続けて、「環境に優しい地熱という次世代エネルギー源を活用し、今話題の好適環境水を利用した魚の養殖を展開しようと考えた。」とのことです。
こちらはJーSTAGEからPDFで公開されています。(2017/5/11現在)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshwr/29/0/29_138/_pdf
2.特許情報プラットホームJ-PlatPat(2017/5/11現在)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPB_5364874/7DA31D1674DF011FC91903FE87C4B3A9
【特許番号】特許第5364874号(P5364874)
【登録日】平成25年9月20日(2013.9.20)
【発明の名称】人工飼育水
【国際特許分類】A01K 61/00 (2006.01)
【特許権者】【氏名又は名称】学校法人加計学園、株式会社SID創研
【発明者】【氏名】山本 俊政
[事例作成日: 2017年5月12日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 無機化学 (435 8版)
- 海洋学 (452 8版)
- 参考資料
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- 宙舞 自動車技術会中部支部 || [編] 自動車技術会中部支部 2001- 64(2009) (6-10)
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshwr/29/0/29_138/_pdf (八巻慶汰、室井智博、鈴木智也、加藤雅貴、佐藤 荘志「好適環境水に関する研究」『水文・水資源学会研究発表会要旨集』29(0)(水文・水資源学会 2016)p.138 (2017/5/11現在))
- https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPB_5364874/7DA31D1674DF011FC91903FE87C4B3A9 (特許情報プラットホームJ-PlatPat「特許第5364874号(P5364874)」(2017/5/11現在))
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000217107