レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年04月22日
- 登録日時
- 2017/04/22 16:04
- 更新日時
- 2018/01/10 09:41
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2017-004
- 質問
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解決
日本三大名城あるいは日本三名城とは何を指すか。さまざまな説があるかと思うが、どういった説があるかと、その根拠が知りたい。
- 回答
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(1)大坂城・名古屋城・熊本城 説
『城郭』p.284 名古屋城の項に「近世末に流行した番付表や名数表などによると、日本三名城は、江戸城を別格として、大坂・名古屋・熊本の三城をいう(姫路城が加わるのは、近代以降)。」とある。
『逆説の日本史 別巻3 (ニッポン「三大」紀行)』p.141 「日本三名城というと熊本城、名古屋城、姫路城あるいは大阪城ということになっている。・・・これらの城はいずれも近世つまり安土桃山時代から江戸時代に建設されたものだ。従って正確にいうなら日本近世三名城(あるいは4名城)というべきものである。」
p.142 「基準を統一して「かつての規模」で判断するなら、日本三名城は江戸城、大坂城、名古屋城だろう。」
『名城名鑑 中』p.205 熊本城の項に「大阪、名古屋城と共に天下の三大名城といわれる熊本城は、一代の武将加藤清正が築いた名城である。」とある。
『日本の城郭鑑賞のコツ65』p.20
「ここでは大阪城、名古屋城、熊本城を三大名城に選びたいと思います。」「しかし、名城の条件は決して天守だけではありません。城郭が軍事的な防御施設であることより、その縄張りを評価することが重要です。築城の名手といわれた加藤清正と藤堂高虎も、縄張りの名手だったのです。」とあり、加藤清正による縄張りの熊本城、藤堂高虎による縄張りの名古屋城、大阪城を挙げている。
『城の見方』p.122「彼(加藤清正)が築いたのが、日本三大名城のひとつと謳われる熊本城だ(他のふたつは大阪城と名古屋城。)」とある。
『ニッポンの城』p.66「日本三名城の築城に携わった加藤清正。」として、熊本城、大阪城、名古屋城を挙げている。
『清正の治政』p.159「熊本城は、規模の雄大なる点では大阪城、名古屋城とともに天下の三名城といわれるが、」とある。
『事典日本の観光資源 ○○選と呼ばれる名所15000』p.502 日本三名城の項に大阪城、熊本城、名古屋城が挙げられ、「築城の名手であった加藤清正・藤堂高虎が普請した城」とある。
(2)名古屋城・姫路城・熊本城 説
『“復元”名城完全ガイド これがよみがえった“ホンモノ”の城だ!』P.11 三大名城として姫路城、名古屋城、熊本城を挙げ、「日本の誇る大城郭建築を、三大名城としてピックアップ!」とある。
『日本の城と戦国の女性たち』P.148 「江戸時代の番付にも、日本三名城は一に姫路、二に熊本、三に名古屋となっている。」「本当は名城という意味では江戸、大阪のほうがこの三城よりは上である。名城という言葉の本来の意味は、城地の選択が優れ、土木建築物が堅固壮大で、建築物が華麗な城をいうのだが、江戸時代の名城というのは、見た目の壮大で美しいことを指している。その意味では、姫路、熊本、名古屋は、ともに天守もあり、櫓も林立し、石垣、濠も立派である。」とある。
『播州歴史散歩 播磨をいろどる人々』P.104 「この中でとくに「日本三名城」といわれる名古屋城、熊本、姫路の三城は、いまも名城にふさわしい偉容と誇っている。」とある。
『国宝姫路城』「慶長十四年(一六〇九年)池田輝政によって築城された姫路城は、古くから熊本城、名古屋城とともに日本三名城に数えられていたが、」とある。
(3)名古屋城・江戸城・大阪城 説
『刻印石で楽しむ三大名城の石垣物語』P.13 三大名城として、江戸城、名古屋城、大阪城を挙げ、「その後、膳所城、彦根城、駿府城、篠山城などの築城が続いたが、それらの城より図抜けて規模が大きかったのが、江戸城、名古屋城、そして大阪城であった。」「この三城の築城は、まさに天下に名だたる名城造りということもあり、いつしか「天下普請」といわれるようになった。」とあります。
(1)、(2)混合説
『日本名城100選』P.114 「日本三名城という大阪城、名古屋城、熊本城を挙げる場合と、名古屋城、熊本城、姫路城を挙げる二種類がある。後者は明治以降のことらしく、姫路城は伊予松山城、和歌山城と共に、日本三大平山城となっていた。」とあります。
- 回答プロセス
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名城をキーワードにしらみつぶしに資料を当たった。諸説あり、断定しにくいものであると思われるので、百科事典、名数辞典の項目にはない。
下記、ウィキペディア「三名城」の項目には荻生徂徠「鈐録外書」の記述によれば、名古屋城・大坂城・熊本城が三名城ということになっているが、該当書籍にはそのような記述は見当たらなかった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%90%8D%E5%9F%8E (2017年9月30日最終確認)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本の建築 (521 9版)
- 日本語 (031 9版)
- 参考資料
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http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002334834-00 , ISBN 4490202105 -
井沢元彦 著 , 井沢, 元彦, 1954-. 逆説の日本史 別巻3 (ニッポン「三大」紀行). 小学館, 2012. (小学館文庫)
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大類伸 監修 , 大類, 伸, 1884-1975. 名城名鑑 中. 人物往来社, 1965.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001074848-00 -
中井均 著 , 中井, 均, 1955-. 日本の城郭鑑賞のコツ65. メイツ出版, 2009. (コツがわかる本)
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佐藤俊一, 『サライ』編集部 編 , 佐藤, 俊一, 1948-. 城の見方 : 歴史がわかる、腑に落ちる. 小学館, 2003. (ポケットサライ)
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西ケ谷恭弘 編著 , 西ケ谷, 恭弘, 1945-. ニッポンの城 : 全国の城を徹底網羅!! 完全保存版. [エイ]出版社, 2011.
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片山丈士/著 , 片山丈士. 清正の治政. 月刊ペン社, 1974.
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日外アソシエーツ株式会社 編 , 日外アソシエーツ株式会社. 事典・日本の観光資源 : ○○選と呼ばれる名所15000. 日外アソシエーツ, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009250666-00 , ISBN 9784816920868 -
"復元"名城完全ガイド : これがよみがえった"ホンモノ"の城だ!. イカロス出版, 2015. (イカロスMOOK)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026613748-00 , ISBN 9784802200363 -
井上宗和 著 , 井上, 宗和, 1924-2000. 日本の城と戦国の女性たち. グリーンアロー出版社, 1980. (グリーンアロー・ブックス)
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黒部亨/著 , 黒部亨. 播州歴史散歩 : 播磨をいろどる人々. 創元社, 1976.
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日本城郭資料館 編 , 日本城郭資料館. 日本名城100選. 秋田書店, 1969.
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西ケ谷恭弘 著 , 西ケ谷, 恭弘, 1945-. 城郭. 東京堂出版, 1993. (日本史小百科)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000215247