レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2003年6月5日
- 登録日時
- 2015/12/25 11:13
- 更新日時
- 2015/12/25 18:00
- 管理番号
- 千県西-2015-22
- 質問
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解決
にぎり寿司にワサビがつくようになったのはいつ頃か
- 回答
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江戸後期の文化年間(1804~1818年)から文政年間(1818~1830年)頃と考えられます。
【資料1】『日本料理由来事典 (中)』(川上行蔵監修 同朋舎出版 1990)
p548-549「江戸後期の一八二〇年ごろにはサバの生臭みを消すためにワサビを用い、おろしワサビをはさんだ握り鮨が考えだされた。」
【資料2】『ワサビ栽培』(足立昭三 秀潤社 1987)
p189「ワサビはかなり昔から香辛料として用いられてきたが、すしに使われるようになったのは江戸時代文政年間(1818~1830年)に江戸前の握りずしが登場してからである。」
【資料3】『日本大百科全書 24』(小学館 1995) ワサビ(山葵)の項
p762「すしとワサビの結び付きは江戸後期からで、1820年(文政3)ころ江戸のすし屋華屋与兵衛がコハダやエビの握りずしにワサビを挟むことを考案し、評判となった。」
【資料4】『現代すし学』(大川智彦著 旭屋出版 2008)
p149「すしにワサビを初めて使ったのは「與兵衛ずし」の華屋與兵衛という説もあるが、この「松ヶ鮓」が初めてであるという説もある。」
p436‐437に江戸前ずしの系譜の一覧あり。
「・砂子ずし(松ヶ鮓)(文化・1810頃)・與兵衛ずし(文政・1820頃)」
【資料5】『日本の味探究事典』(岡田哲編 東京堂 1996)
p165「与兵衛ずしは、甘口のすしで売り出し、(中略)競争相手に「松のずし」があり、山葵を初めてのせた辛口の握りずしを売り出す。」
【資料6】『日本の食文化大系 13 すし通』(永瀬牙之輔 東京書房社 1986)
p196「山葵は元来、鯖の生臭味を消すため、文化年間に深川の松ヶ鮓で初めて使い始めたもので」
【資料7】『守貞謾稿 第5巻』 (喜多川守貞著 東京堂出版 1992)
※1837年から約30年かけて書かれた、主として江戸時代の風俗に関する考証的随筆
全5巻で索引あり。
p59「刺身及びこはだ等には飯の上肉の下に山葵を入る。」
【該当する情報が見当たらなかった資料】
『日本食物史』(江原絢子著 吉川弘文館 2009)
『図説江戸時代食生活事典』(日本風俗史学会編 雄山閣 1978)
『図説江戸料理事典』(松下幸子著 柏書房 1996)
『日本料理事物起源』(小出昌洋編 岩波書店 2006 完本日本料理事物起源)
※すしのワサビについての記載は見当たらず。
『日本初めて話題事典』(富田仁編著 ぎょうせい 1998)
※ 索引に、すし、にぎりずし、わさびなし。
『食材図典 Food’s food』(小学館 1995)
※「ワサビ 山葵」の項(p327)に「栽培は江戸時代に駿河の有東木(うとうぎ)(静岡市)で始められた。」とあるが、寿司については触れられていない。
『日本料理 イラスト・調理方法・手順付き』(辻勲著 辻学園調理技術専門学校 1998 専門料理全書)
※「すし」の節があり、「すしの歴史」の小見出しもあるが(p155)、わさびをつけるようになったのがいつかについては触れられていない。
『平凡社大百科事典』 (平凡社 2007)
※「すし」の項(15巻p22-24)「握りずしが出てくる最古の文献は文政12(1829)年『誹風柳多留108編』「妖術という身で握るすしの飯」」とあり。ワサビに言及なし。
『日本国語大辞典』 (小学館 1995)
※「すし」の項(7巻p916-917)「文化・文政年間(1804-30)頃、江戸で握鮨が登場、大流行した。」とあるがワサビについてはなし。「わさび」の項(13巻p1285)「一般に消費されるようになったのは近世以降のこと」とあり。「にぎりずし」の項(10巻p396)「文化文政期に江戸で創始された早鮨」とあるがワサビについてはなし。
『図説江戸時代食生活事典』(日本風俗史学会編 雄山閣出版 1996)
※わさびと鮨に関する記述なし。
『すしの本』(篠田統著 岩波書店 2002 岩波現代文庫)
※歴史的なことが詳しく書かれているが、わさびに関しては見当たらず。
- 回答プロセス
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・百科事典(日本十進分類法031)、食物史(383.8)、食品(498.5)、料理(596)、林産物(657)の棚を調査。
・千葉県立図書館蔵書検索システムで検索項目【件名】「すし」、「わさび」(この言葉と一致する)で検索。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 食品.料理 (596 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『日本料理由来事典(中)』(川上行蔵監修 同朋舎出版 1990)| 0105651222
- 【資料2】『ワサビ栽培』(足立昭三 秀潤社 1987)|1100506060
- 【資料3】『日本大百科全書 24』(小学館 1995)| 1101516357
- 【資料4】『現代すし学』(大川智彦著 旭屋出版 2008)| 1102100369
- 【資料5】『日本の味探究事典』(岡田哲編 東京堂 1996)| 0105305420
- 【資料6】『日本の食文化大系 13 すし通』(東京書房社 1986)|1101079494
- 【資料7】『守貞謾稿 第5巻』 (喜多川守貞著 東京堂出版 1992)|1101102387
- キーワード
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- すし
- 寿司
- ワサビ
- 山葵
- 食生活-歴史
- 江戸時代
- 握り寿司
- 事物起源
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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レファレンス協同データベース類似事例「江戸のにぎりずし(寿司・鮨)の発祥は?」(東京都江戸東京博物館図書室)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000013730
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000186188