レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年10月03日
- 登録日時
- 2015/06/11 16:30
- 更新日時
- 2015/06/23 18:43
- 管理番号
- 福井県図20141003
- 質問
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解決
「丼」という漢字がいつごろからどんぶりの意味を表す「丼」として使われるようになったか。もともとは「井」の異体字として使われていたものらしい。
- 回答
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(1)『大漢和辞典 巻1』諸橋轍次/著 修訂版 1984 大修館書店 p337に「丼」掲載あり。「井(1-258)の本字」、「邦 どんぶり」とあり。
p519に「井」記載あり。「丼(1-101)に同じ」とあり。
(2)『日本国語大辞典 第9巻(ちゆうひ-とん)』日本国語大辞典第二版編集委員会/編,小学館国語辞典編集部/編 第2版 2001 小学館 P1479に「どんぶり【丼】」掲載。「どんぶりばち」の意味の出典に、*随筆・耳嚢(1784-1814)、*鳩翁道話(1834)「「どんぶりもの(丼物)」の略」の出典に、*俳諧・二葉の松(1690)、*西洋道中膝栗毛(1870-76)*当世書生気質(1885-86)と記載。
(3)『語源大辞典』堀井令以知/編 1988 東京堂出版 p181に記載あり。「丼 寛文ごろの江戸で、ケンドンヤの名で、盛切りのめし、そば、うどんを売る店があった。客に突けんどんに盛切りのたべものを出したから、慳貪(けんどん)の名が付けられたという。盛切りの鉢をケンドン振りの鉢といったのが、上略してドンブリ鉢となり、ドンブリとなった。丼の字は、井戸の中に小石を落とすとドンブリと音がする意で作られた。」と記載。
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2015年6月23日 レファ協事務局経由で、一般の方から下記資料に記載があるとの情報を頂きました。ありがとうございました。
『文字答問』(白川静 著. 平凡社, 2014.5)
福井県立図書館所蔵の上記資料p35-39「4 井と丼」を確認いたしました。
この章の初めには、次のように書かれています。
”古い字形と用法とによっていえば、井はもと刑罰の刑にあたる字で、丼が井戸を示す字であったのです。しかし後には井が井戸になり、丼はそれに釣瓶を加えた字として用いられる。私の知人に丼(いのもと)という姓の方があった。井に対して、丼が本字だという意味か、井上・井口・井尻などに対する語かとも思うのですが、本来は井と丼とは、本家・分家というような関係ではないのです。”
なお、「井と丼」の初出は、次の資料です。
『桂東雑記1』白川静/著 2003 平凡社
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 音声.音韻.文字 (821 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000175771