レファレンス事例詳細

『堺市史』で採録されている「芝辻文書」について、詳細な内容や現在の所蔵者について調査いたしましたが、結論としては残念ながら情報を得ることはできませんでした。

『堺市史』編纂時に収集した資料につきましては、現在、堺市立中央図書館で「堺市史史料」として保管されているようですが、下記の資料および堺市立図書館ホームページにて、史料目録を確認しましたが、下記の通りで代々の記録といえるものは見当たりません。
・『堺市史史料目録』（堺市立図書館　1960）
ｐ33　
芝辻文書
鉄炮関係往復書翰
尾州逗留中御用留丁　正徳六年
願書留　明和元年
鉄炮一件諸事控　文政十年
鉄炮修覆御用願書
西川ヨリ芝辻へ合力請求訴訟控
以上　奈良市　芝辻理一氏蔵

ただ、これらは「史料の筆耕集」ですので、「芝辻文書」の一部分必要な文書のみ取り上げていて、他にも採録されなかった史料が存在する可能性もありますが、その点に関しては残念ながら不明です。また、文書原本自体は、奈良市の芝辻氏個人蔵のもののようですので、現在もご子孫の方が所蔵されているかと存じますが、連絡先等はわかりません。弟子に関してなどの情報が出てくるとすれば、「鉄炮関係往復書翰」が比較的可能性が高いかと思いますが、往復書翰の詳細についてはわかりませんので、堺市立中央図書館にお問い合わせされてはいかがでしょうか。

問合せ先：堺市立中央図書館
〒590-0801　堺市堺区大仙中町18-1　電話：072-244-3811　FAX：072-244-3321

また、堺鉄砲研究の第一人者である堺鉄砲研究会主宰の沢田平氏は、様々な史料をあたりつつ古式銃について研究をつづけておられるようです。当館は所蔵しておらず、内容を確認できておりませんが、日本銃砲史学会の会誌『銃砲史研究』にも堺鉄砲に関する論文を寄稿されていたようですので、芝辻文書についてもなにか情報をお持ちかもしれません。(下記『鉄砲　伝来とその影響』ｐ170-171に沢田氏の論文について書かれています。)昨年12月の読売新聞で、同氏の資料館と問合せ先電話番号が公開されていましたので、参考までに記入しておきます。
住所：大阪市東成区大今里南４　電話：06-6974-1186

『堺の鉄砲鍛治(堺の豆本シリーズ)』によりますと、「芝辻家は天保年間、爆発事故で倒産したといわれた」とありますが、明治16年の鉄砲鍛冶仲間に名前は出てくるようです。その頃までは細々ながら鉄砲鍛冶を続けていたようですが、それ以降はわかりません。江戸時代、公儀より鉄砲所持が禁止されてからは、堺鉄砲をはじめ鉄砲鍛冶は衰退の一途をたどったようで、公的な施設で所蔵している堺鉄砲関係の記録については、堺市立図書館のものくらいしか見つかりませんでした。下記の資料ほか、鉄砲関係の資料を調査しましたが、『堺市史』以上の情報は得られませんでした。
◆主な参考資料◆
・『鉄砲500年　第18回特別展』（大阪市立博物館　1965.3）
・真木嘉裕「堺鉄砲ものがたり」(『フォーラム堺学　第3集』堺都市政策研究所　1997.3【216.3/350N/3】ｐ167-197)
・澤田平「堺の鉄砲鍛冶」(『フォーラム堺学　第9集』堺都市政策研究所　2003.3【216.3/350N/9】ｐ3-34)
・「堺の鉄砲とその源流」(『変貌する大阪』山内篤[ほか]/編著　東京法令出版　1986【378/1213/#】ｐ203-211)
・『堺の鉄砲鍛治(堺の豆本シリーズ)』（小谷方明/著　広文堂）【天/1029/#】
・『鉄砲　伝来とその影響』（洞富雄/著　思文閣出版　1991.10）【559.1/5N】
・『堺鉄砲　その源流と背景をさぐる』（堺市博物館/編集　堺市博物館　1990）【559.1/2N】

〔事例作成日：2013年02月12日〕