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レファレンス協同データベース

レファレンス事例詳細

事例作成日
2013年03月10日
登録日時
2013/03/10 14:19
更新日時
2013/03/10 14:19
提供館
神奈川県立図書館 (2110018)
管理番号
相-120016
質問

解決

孫悟空の頭にはまっている輪の名前を知りたい。西遊記には三種類同じような輪が出てきたと思うので、それぞれの名称が知りたい。名称の由来などもわかれば知りたい。
回答
岩波文庫版『西遊記』によると、孫悟空の頭の輪は『緊箍児(きんこじ)』という名のようです。『緊箍児呪(きんこじじゅ)』(またの名『定心真言(じょうしんしんごん)』 )という呪文を唱えると、頭をしめつけます。ただし緊箍(きんこ)、緊箍呪(きんこじゅ)としている翻訳もあります。

東土に赴こうとする観音菩薩に、如来が三つの箍(たが)を与える際に(『西遊記 1』 中野美代子訳 岩波書店 2005 <イ923/ゴ/1A> ( 21793401 )第8回 p296)、
「これは、緊箍児という宝である。三つとも、見た目には同じだが、使い道はちがうぞ。わたしには《金・緊・禁》という三種の呪文がある。(略)弟子になってから取経人たる師匠の言うことをきかぬようなら、この箍をそやつのあたまにのっけてやるがよい。さすれば肉に食いこんで、根が生えるであろう。そこで、使い道に応じた呪文をとなえると、目がはれあがり、あたまが痛くなり(略)」と述べています。

そして老婆に化身した観音菩薩は三蔵法師にこの箍のついた頭巾と『緊箍児呪』(またの名『定心真言』)を授け、三蔵が孫悟空にこの箍をはめます。(『西遊記2』中野美代子訳 岩波書店 2005 <イ923/ゴ/2A> ( 21798798 ) 第14回 p155~168)

残りの二つの箍については観音菩薩が
「この宝はな、如来さまより賜わったもの。わたしが取経僧を探しに東土へ行くときに、金と緊と禁の三つの箍をくだされたのだ。このうち緊箍は、とっくにそなたのあたまに嵌めてある。禁箍は、守山大神をとり押さえたときに嵌めた。(第17回)この金箍だけは、まだだれにもやっていなかったのだが、この妖怪め、無礼千万なるゆえ、こいつにやるとしよう」(中略)
「この呪文はね、そなたのための『緊箍児呪』じゃないよ。『金箍児呪』といって、この童子のためじゃ」(『西遊記5』 中野美代子訳 岩波書店 2005 <イ923/ゴ/5A>
 ( 21817309 ) 第42回 p89~90)と述べています。

物語の最後、第百回において、孫悟空は三蔵法師に
「お師匠さま、いまじゃおれさまも、あなたと同じように、仏になった身なんですぜ。もうあたまに金箍を嵌めておくこともないでしょうが?それともまだ、『緊箍呪』とやらをとなえて、おれさまを無理やり、しめつけるつもりですかい?(略)」(『西遊記 10』 中野美代子訳 岩波書店 2005 <イ923/ゴ/10A> (21831573) p404)と言いますが、三蔵に言われて頭をさわってみると、いつのまにか金箍はなくなっているのでした。

以上のことより三種の箍は、緊箍児(きんこじ)、禁箍児(きんこじ)、金箍児(きんこじ)で、それぞれに緊箍児呪(きんこじじゅ)、禁箍児呪(きんこじじゅ)、金箍児呪(きんこじじゅ)という呪文があるようです。ただし禁箍、禁箍、金箍や緊箍呪と呼ばれている場合もあります。


なお上記の岩波書店刊行の西遊記は『李卓吾先生批評西遊記』(内閣文庫所蔵)の全訳ですが、この李卓吾本は西遊記の現存する最古・最長のテクストとほぼ同一で明代に刊行されたと推定されています。一方清代に刊行された簡本『西遊真詮』の全訳である『西遊記』(中国古典文学大系31、32 平凡社 1971-72)ではほぼ緊箍(きんこ)、緊箍呪(きんこじゅ)と記載されています。ただし第百回の場面では
「師父、今では、わたしはあなたと同様、仏になったのです。もう金箍児をはめていて、あなたに緊箍呪とやらを唱えられ、おどかされる必要もありますまい。(略)」とされています。(『中国古典文学大系32』 平凡社 1972 p464)

 名称の由来についてはっきり記述した資料は見つけられませんでしたが、上記の岩波書店刊行の『西遊記 1』訳注(19)p442-443には、
「《金・緊・禁》という三種の呪文―道教には古くから「禁呪」があり、さまざまな災難除けに用いられていた。「禁」と同音の「金」と「緊」は、そこから考え出されたのであろうが(略)」と記載がありました。
回答プロセス
(1)レファレンス協同データベースを「孫悟空 輪」で検索すると2件ヒットあり。インターネット検索でも数件ヒットあり。
   その結果、孫悟空の頭の輪は、緊箍児(きんこじ)あるいは緊箍(きんこ)と記載されているらしいことがわかる。

(2)所蔵している『西遊記』を確認してみる。西遊記には諸本があるが、明代本の全訳である岩波文庫版、清代簡本の全訳である平凡社版とも所蔵していたので、両方確認してみる。

(3)資料により、また場面によっても名称が微妙に異なっていることがわかる。
事前調査事項
NDC
  • 小説.物語 (923 9版)
参考資料
キーワード
  • 西遊記
  • 箍
  • 孫悟空
  • 観音菩薩
照会先
寄与者
備考
調査種別
内容種別
質問者区分
社会人
登録番号
1000128702
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000128702 コピーしました。
アクセス数 545581
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