レファレンス事例詳細

事前調査
当館が所蔵するP.コトラー氏の翻訳本から関連する記述が確認できた。

●請求記号：210-KOT
『マーケティング・マネジメント』
　（P.コトラー　著、村田昭治　監修、プレジデント社、1983）
→p.5～6　1　現代の組織体におけるマーケティングの役割
　　　　　　　『ピーター・ドラッカーはマーケティングの起源を17世紀の
　　　　　　　　日本に求めている・・・』

補足
ドラッカーの言うマーケティングの起源とは、
1650年頃、三井家が最初の百貨店（越後屋呉服店）と呼ぶべきものを
江戸に開いたときにマーケティングは創られた。
越後屋呉服店（実際には1673年駿河町に開店）が始めた
「現金(銀) 安値 掛値なし＝正札販売」などの手法をさしている。

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回 答
1.事前調査の本、『マーケティング・マネジメント』では、該当部分が
　本文から２字下げになっており、「引用」ということがはっきりして
　いた。
　その引用文献を探すが、同書には記載なし。

2.上記の原著を探す。
　当館OPACで調べたところ、下記を所蔵し、該当部分が確認できた。

●請求記号：210-KOT
『Marketing management』(Philip Kotler、 Prentice-Hall、1980)
→p.7～
　「Peter Drucker thinks marketing fast arose in the seventeenth
　　century―and in Japan,not in the West.」
　
　　と記述され、ページ下に引用文献の記載があった。
　
　“Peter F.Drucker,Management:Tasks,Responsibilities,Practices
　　　　　( New York: Harper & Row，1973),p.62”


●請求記号：210-DRU
『Management tasks,responsibilities,practices』
　　(Peter F.Drucker、 HARAPER BUSINESS、1985)
→p.62-3～17


3.　P.Drucker著作の翻訳本でも該当部分を確認できた。

●請求記号：540-DUR
『マネジメント：上』
　　(Peter.F.Drucker著、野田一夫、村上恒夫　監訳、ダイヤモンド社、
　　　1974）
→p.95-96「6　企業とは何か」
　　　　『東洋では、マーケティングはさらに早くから起こっていた。･･･』

抜粋：
マーケティングは、日本で1650年ごろ、三井家の始祖（三井高利）が商人
として東京に定住して、最初の百貨店とでもいえるものを開業したときに
発明された。彼は
①顧客のための「仕入係（バイヤー）」であること
②顧客にとって当を得た製品を設計し、その製造元を開発すること
③「異議を唱えないで、返金いたします」という原則
④ある職種とか製品種目、製法に絞るよりも、広く製品をとりそろえて
　顧客に提供するという考え方（アイデア）
というように、シアーズ・ローバックの基本方針よりも優に250年も先んじ
ていた。それだけでなく彼は、当時の日本の社会変動によって新たに
都市化した、紳士階級［武士］と新興ブルジョアジー［町人］という
新しい潜在的顧客が創出されたことに目をつけた。


4.その他の参考資料

●請求記号：146.2-INO
『江戸コマーシャル文芸史』（井上隆明 著 、高文堂出版社 、1986）
→p.50　「越後屋の新商法」


●請求記号：540-DUR-2008
『マネジメント：上　
　　―課題、責任、実践　　ドラッカー名著集13』
　　(Peter.F.Drucker著、上田惇生　訳、ダイヤモンド社、2008）
→p.70　「第6章　企業とは何か」
　→p.75　『アジアでは、マーケティングが実行されたのは早かった。･･･
　1650年頃、今日の東京に進出してデパートの原型となるものを
　開店した三井家の人間によって、マーケティングは発明された｡』


●請求記号：262-TAK
『三越三百年の経営戦略
　　その時経営者は何を決断したか』
　　（高橋潤二郎 著 、サンケイ新聞社出版局 、1972）