レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/05/13
- 登録日時
- 2012/05/16 02:00
- 更新日時
- 2012/05/16 02:00
- 管理番号
- 相-120002
- 質問
-
解決
アグリコッラ著の「デ・レ・メタリカ」に約300の木版図があります。
この図版の作者はどのような画家なのか知りたい。
- 回答
-
当館所蔵資料では判明しなかったので、インターネット情報での調査になりました。
ミュンヘンにあるドイツ博物館(Deutsches Museum)のHP
チェコのヤーヒモフ(Jachymov)の観光案内のHP
ドイツのMax Planck Institute for the History of Science.のpreprint
等の記載から判断すると
・Basilius Wefring
(「Blasius, Weffring」, 「Blasius Weffringer)」と記載することもあるようです)
・Hans Rudolf Manuel Deutsch
・Zacharias Specklin
の3名が「デ・レ・メタリカ」の木版図の作成に関わったようです。
Basilius Wefringはデ・レ・メタリカの著者アグリコラが長く滞在した鉱山町ヨアヒムシュ
タール(Joachimsthal)の鉱山技師だったようです。
Hans Rudolf Manuel Deutschについては
Answers.com
(イスラエルに本拠を置くインターネット企業 Answers Corporationによって運営されて
いる統合型の辞書・百科事典サイト)で検索すると
Oxford University Pressの The Concise Grove Dictionary of Artからとして、記載が
ありました。
Hans Rudolf Manuel Deutsch(1525‐1571)は画家・デザイナー・詩人。
Niklaus Manuel Deutsch.の息子でありBasleのMaximilian Wischackに弟子入り。
自分はBerne.に住んでいたがBasleの出版者のためにしばしば仕事をしたようです。
RMDというモノグラムを使用しており、当館所蔵の「デ・レ・メタリカ」のp91、100、
102などに掲載されている図版でも確認できます。また父のNiklaus Manuel Deutsch は
著名な画家・版画家・著述家で、
『世界美術大事典5』小学館 <703.3/11/5 常置>(20195350)p331
『新潮世界美術辞典』新潮社 <703.3/6 常置> (11663341)p1410
にも項目をたてて記載されています。
『Hans Rudolf Manuel (Deutsch), Tobias Stimmer』1987-1988 Abaris Books
(慶応大学 実践女子大学 青山学院女子短期大学 お茶の水女子大学 明治大学 東京
芸術大学等が所蔵)
『Das Weinspiel』1892 M. Niemeyer
(東京大学、立教大学等が所蔵 木版画ではなく謝肉祭のための劇のようです)
といった資料も刊行されています。
Zacharias Specklinについては
先述したドイツ博物館(Deutsches Museum)のHPやドイツのMax Planck Institute for
the History of Science.のpreprintから1530年に生まれ1576年に亡くなったらしいこと、
Basel近辺で活動していたらしいことがわかります。
また『Zacharias Specklin to Hans Ulrich Stampfer II』
German engravings, etchings and woodcuts: 1400-1700. Vol. 74
という資料が刊行されていて、同志社大学が所蔵していますが、それ以上のことはわかり
ませんでした。
- 回答プロセス
-
(1)当館所蔵資料で「デ・レ・メタリカ」について記載があるものに目を通したが、木版画の作者については、
『世界大百科事典 第2版 19巻』<031/15E/19> 常置 (22113294 )p243に
“圧巻は画家ウェフリングB.Wefringが協力して添えた292枚にわたる木版画で,”
『自然科学の名著100選 上』田中実ほか編 新日本出版社 1990<403.1Z/101/1> (20270930) p100に
“画家のウェルリングが三百枚に近い木版画で、当時の進んだドイツの鉱山を生き生きと描き出している”と記載されているのみだった。
(2)「Wefring デ・レ・メタリカ」でインターネット検索をしたところ
「ドイツの切手に現われた科学者、技術者達4 ゲオルギウス・アグリコラ」原田馨著
(THE CHEMICAL TIMES 2003 No4(通巻190号)がヒットし、
内容を確認したところ“この書物にはB,ヴェフリング(Basilius.Wefring) による289の鮮明な木版画が含まれており”という記載があった。
(3)「Basilius.Wefring」で再度インターネット検索をするとヒットした中に、
“Basilius Wefring (also spelled Blasius, Weffring, and Weffringer)”(CIM MAGAZINE JUNE/JULY 2006 VOLUME1 NO4)www.cim.org
という記載があったので、
「Blasius, Weffring」, 「Blasius Weffringer)」等でも検索した。
その結果、
・ミュンヘンにある世界屈指の自然・科学・技術に関するミュージアム ドイツ博物館(Deutsches Museum)のHP
・チェコのヤーヒモフ(Jachymov)の観光案内のHP
(デ・レ・メタリカの著者アグリコラが長く滞在した鉱山町ヨアヒムシュタール(Joachimsthal)は現在ヤーヒモフになっている。)
・ドイツのMax Planck Institute for the History of Science.のpreprint407
がヒットした。
(4)Hans Rudolf Manuel Deutschについてもインターネット検索をしたところ、
Answers.comがヒット。
(5)当館所蔵の「デ・レ・メタリカ」の挿絵にRMDというモノグラムが記されているか
確認。
(6)父のNiklaus Manuel Deutschが著名な画家・版画家・著述家であることがわかったので、美術辞典等を確認。、
(7)Zacharias Specklinについてもインターネット検索をしたが、詳細な記述は発見できなかった。
(8)GeNiiで3名の画家関連の資料を検索
- 事前調査事項
- NDC
-
- 木版画 (733 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 木版画
- 画家
- 鉱山
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000105906