レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年05月09日
- 登録日時
- 2012/05/11 14:20
- 更新日時
- 2017/02/27 11:33
- 管理番号
- 長野市立長野-12-004
- 質問
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解決
「長野では1月3日にとろろを食べるという習慣があるそうだが本当か」と聞かれた。
このあたり(長野市)ではそのような習慣は聞いたことがないのだが本当にある習慣なのか。
- 回答
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長野県の南信を中心に1月2日に「すり初め」として、とろろを食べる習慣がありました。
また、三日とろろや四日とろろなど地域によって食べる日に違いがあるようです。
節分にとろろ汁を食べるという習慣も掲載されていました。
- 回答プロセス
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郷土資料コーナーの590(生活科学)の棚へ行くが、食文化の資料は見当たらない。
習慣などなら、民俗学の棚だと検討をつけ、郷土資料380の棚を見る。
★『信州の年中行事』
p44-45
<スリゾメ> 諏訪や下伊那では、一月二日か三日の朝、長芋をすって芋汁を作る。この日、豆腐やイワシなども添えてごちそうするが、三ヶ月(※注:三ヶ日の間違いかと思われる)の中に芋汁を食べると風邪をひかないといわれている。また、この日は初めて飯を炊くのでタキゾメともいっている。
★『信州の郷土食』
p411
伊那・木曽地方では一月二日の仕事始め、すり始めにトロロ汁を作る。県下全般にみられるのは秋の収穫祝いの時。
p442
正月三が日にはいろいろなごちそうを食べるが、二日に「すりぞめ」としてトロロ汁(長芋)を作るところが伊那地方や木曽地方にあるのが注目される。
p449 年中行事と食べ物一覧
<時期> <行祭事名> <品目> <いわれ・意義>
八千穂村 1月1日~3日 正月 夕食 とろろ汁 年中すべこくいくように。
宮田村 1月2日 大正月 すり初め(イモ汁) 今年初めてすり始める。
南箕輪村 1月2日 とろろ 縁起の上で、白髪になるまで健康で暮らすようにと願った。
阿南町 1月2日 すり初め 長イモ 残ったイモ汁を洗い流す。水を戸間口にこぼすと、悪い神がすべって家の中に入らないようになる。
大桑村 1月2日 二日年 とろろ汁 長イモは野菜の内で高級品。長生きできる。
★『信州の年中行事と食』
p37-38
すりぞめ・たきぞめ(二日) とろろを食べる。いも汁を食べる。白米をたく(三日のところもある。)
p116-122 年末からお正月にかけておこなった行事ほか
上田 二日とろろ(四日とろろ)
上伊那 二日とろろを食べる
お正月にとろろを食べる習慣も共通していますが、食べる日は二日、三日、四日など地域によって異なっています。
p155
お正月には一年の平安を願って、縁起をかつぐものを食べました。その代表が「とろろ汁」で、二日に「すりぞめ」といって長いもを食べたといいます(上田、伊那、飯田、遠山)。また、地域によっては、三日とろろ(上田、阿南、天龍)、四日とろろ(松本)といって、とろろを食べる日には違いがありました。とろろは長いものなので、長生きを願ったともいいます。今日、長いもは、東筑摩郡山形村と長野市松代町が、青森県と並ぶ全国的な産地として知られています。
◎節分に関しては
★『信州の年中行事』
p133
県下全般に夕食は麦飯にトロロ汁をかけて食べるところが多い。そして、トリガチといって早く食べるほどよいといっている。
(中略)トロロ汁を食べるのは、寒明けになるので胃袋を試すために大食するのが目的だといっている。
★『信州の郷土食』
p416
二月三日(ころ)の節分にイワシなどを食べる地域も各地にある。トロロ汁に魚という組み合わせは、かなりのごちそうであった。
- 事前調査事項
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節分にとろろを食べるという話ならきいたことがあるが…。
- NDC
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- 風俗習慣.民俗学.民族学 (38)
- 参考資料
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- 『信州の年中行事』斉藤 武雄/著 信濃毎日新聞社 1981 <N386サ>
- 『信州の郷土食』長野県商工会連合会婦人部/編 銀河書房 1985 <N383シ>
- 『信州の年中行事と食』八十二文化財団 2007 <N386シ>
- キーワード
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- 長野県
- 長芋
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000105723