レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/06/12
- 登録日時
- 2007/08/15 02:10
- 更新日時
- 2007/08/15 09:39
- 管理番号
- C2007M0737
- 質問
-
解決
教科書で戦争中か戦後で教科書が新聞2枚折り程度であったというが、それを見てみたい。教科書センター以外に所蔵館がないのか教えてほしい。
- 回答
-
(【】内は当館請求記号)
『文部省著作戦後教科書: 解説』(大空社 1994 【FC49-E65】)のpp.58-72の「四、暫定教科書の刊行と供給」、pp.73-84の「五、文部省著作・戦後教科書の影響と評価」によると、昭和21年度用に文部省が作成した暫定教科書が分冊形態で、各分冊は折本あるいは仮綴であったようです。p.78には「文部省の通牒では「暫定教科書」としている昭和二十一年度使用教科書をこれらでは“パンフレット”“折りたたみ本”“タブロイド”“分冊教科書”などさまざまな表現で語っている。英語ではInterim or “stop-gap”textsと書かれた。これらは、教科書が薄く、貧弱な紙質の粗末な点から名づけられたもので、なかには、母親が新聞紙と間違えてベントウの包み紙にしてしまったという話さえもある(間接聴取)」との記述があります。p.77には『初等科理科 二 第5学年用』を展開したものの白黒写真と、「『初等科国語 五』第五学年前期用第一分冊展開図」が掲載されており、約42cm×60cmの1枚の紙を八ツ折にして1面に8ページ分印刷していた様子がわかります。p.69の表「国民学校用暫定教科書の冊数・ページ数」に1分冊平均20.4ページとあります。なお、本書のpp.309-328に「昭和二一年度使用暫定教科書目録」(中村紀久二)、p.322のあとがき中に復刻版作成協力機関名(※)が挙げられています。
※協力機関名(所蔵機関とは限りません):大阪市教育研究所、(財)教科書研究センター、国立教育研究所附属教育図書館、(財)信濃教育博物館、島根大学附属図書館、東京大学教育学部図書室、北海道教育大学附属図書館、三重県総合教育センター
次の資料にも同様の記述があります。
●『日本の教育と教科書のあゆみ』アカデミー 文教政策研究会 1993
【FC49-E57】 p.417
「昭和二十一年春から使用される教科書を仮り印刷して全国の小学校に配布することとなった。その際に文部省は第五期国定国語教科書をもととして不適切な教材をすべて削除し、僅かの修正を加えて本文とした。その際に新しく加えられた教材もあるが、それらは第六期国定国語教科書に引き継がれている。この仮り印刷の教科書は全く暫定の処置による教材であって、粗末な用紙に印刷して折りたたんだもので、教科書としての体裁をとっていなかった。」
●『英語教科書の歴史と解題』(『英語教科書名著選集』別巻) 大空社 1993
【FC49-E42】 pp.196-197
「昭和二一年の新学期から、国民学校や中学校では暫定教科書が使用された。
ザラ紙の折りたたみ教科書で、分冊で配給になったが、(中略)暫定教科書は、
占領軍当局の指令によって急いで編集されたものであった。戦時中に出ていた
国定教科書の中から軍国色を一掃したものである。」
なお、上記3点の資料を確認した限りでは戦前・戦中にタブロイド形態で教科書を刊行したという記述は見当たりませんでした。
当館は昭和21年文部省作成の教科書はほとんど所蔵しておりません。教科書センター附属図書館
以外では広島大学図書館が所蔵しているようです。
●広島大学図書館所蔵教科書コレクション(http://cross.lib.hiroshima-u.ac.jp/)
中央図書館に所蔵されている教科書の中から、江戸時代の寺子屋で使用された「往来物」から昭和25年までを画像化したものです(約5,600冊収録)。時期区分を「文部省著作教科書期」に指定して検索すると195件ヒットします。検索結果から表紙、表題紙、目次および奥付、本文1ページの実物の画像見ることができます。広島大学図書館 利用方法(一般利用者の方へ)
(http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/riyoan/ippanriyou_service.html)
その他に下記関連機関の目録データベースにあたりましたが、広島大学図書館のように当該資料を一括指定することができませんでした。教科書は学校の種類、学科、学年で書名が異なります。個々の資料の所蔵機関については、上述の『文部省著作戦後教科書: 解説』掲載の「昭和二一年度使用暫定教科書目録」と復刻版作成協力機関名等を参考に下記目録データベース等にて調べることができます。
・東書文庫(http://www.tosho-bunko.jp/)
・国立教育政策研究所教育研究情報センター教育図書館
(http://www.nier.go.jp/homepage/jouhou/toshokan/)
・福岡教育大学附属図書館
(http://www.nier.go.jp/homepage/jouhou/toshokan/)
・東京学芸大学附属図書館 E-TOPIA教育総合データベース教育資料検索画面
(http://libdbsv.u-gakugei.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_makehtml.cgi?CGILANG=japanese&HTMLFILE=sr_sform_ep.html)
なお、当館HPの「テーマ別調べ方案内」中の「教科書」
(http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/theme_honbun_102022.html)にて、当館の教科書所蔵状況や教科書所蔵機関(HPへのリンク有り)を紹介しています。
(インターネット最終アクセス日:2007年6月11日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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調査済み資料:『日本教科書大系』
- NDC
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- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 教科書
- 文部省著作暫定教科書
- タブロイド版
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 公共図書館
- 登録番号
- 1000036553