レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20050304
- 登録日時
- 2005/12/01 02:13
- 更新日時
- 2005/12/01 17:52
- 管理番号
- D2005F0155
- 質問
-
解決
「小医は病を医す 中医は人を医す 大医は国を医す」ということばの語源
- 回答
-
当館が所蔵する主要な成語、諺、格言の辞典を参照しましたが、同一の表現は見当たりませんでした。ただし、下記文献1のp.46に、「上医は国を医し、中医は人を医し、下医は病を医す」という言葉が唐代の資料に書かれているとの記載がありましたので、中国の古代の医学書に関する文献を調査したところ、関連する記述が下記文献2にありました。お尋ねの「小医・・・」という言葉との関連については不明ですが、参考までに以下に紹介いたします。
同書によれば、六朝時代の陳延之の著書『小品方』に「上医医国、中医医民、下医医病」の語があり、これは『国語』晋語八の「上医医国、其次医人」に由来するものであろうとしています(p.379及びp.468)。また唐代の名医、孫思〓(バク)の著書『千金方』巻一「診候」に見える「上医医国、中医医人、下医医病」という一文は、恐らく『小品方』から引用された文章であり、『小品方』の「民」が『千金方』で「人」に改められたのは、唐の太宗、李世民の「民」という字を避諱したものとしています(p.441)。『小品方』、『千金方』、『国語』の当該文については、当館所蔵資料の文献3~6などを確認しました。
< >内は当館請求記号です。
1.『ことわざ東洋医学 : 現代に生きる養生の知恵』山本徳子著 横須賀 医道の日本社 1999
pp.44~46に「上医は国を医し、その次は疾人」の項目あり。
2.『中国医学古典と日本:書誌と伝承』小曽戸洋著 東京 塙書房 1996
第四章「晋~唐の医学典籍」第三節「小品方」(PP.346~386)、第五節「千金方」(pp.438~470)
3.『小品方・黄帝内経明堂 : 古鈔本残巻』北里研究所附属東洋医学総合研究所医史文献研究室編 東京 北里研究所附属東洋医学総合研究所 1992
p.9に・・・故經傳云「醫者上醫醫國中醫醫民小醫醫病」という文の写真複製、p.35にその翻字あり。
4.『東洋医学善本叢書』 第9冊:備急千金要方 : 宋版. 上 / 〔孫思〓(バク)著〕 大阪 オリエント出版社 1989(国立歴史民俗博物館蔵の複製)
p.50に・・・古之善為醫者「上醫醫國中醫醫人小醫醫病」という文あり。
5.『東洋医学善本叢書』第12冊:新雕孫真人千金方 : 宋版、真本千金方 : 古鈔本 大阪 オリエント出版社 1989
p.23に・・・古之善為醫者「上醫醫國中醫醫人小醫醫病」という文あり。
6.『新釈漢文大系』67 国語. 下 / 大野峻著 東京 明治書院 1978 <082-Si498>
p.615に・・・「上醫醫國、其次疾人、固醫官也」とあり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)、『春秋外伝国語定本 晋語8』
- NDC
-
- 語彙 (824 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 医
- 語源
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 公共図書館
- 登録番号
- 1000025171