「広辞苑」で「行」をひくと
文字などの縦または横のならび、とあります。
(確かに、縦書きのときは、縦の文字列を一行と考えます。
「改行」ということばは縦書きのときにも横書きのときにも
使いますね)
「列」をひくと、その意味には、縦とか横とかいう概念は含まれて
いないような印象を受けました。
「行列」をひくと、
数学用語では「・・・横ひとならびの要素を行列の行、
縦ひとならびの要素を行列の列という。」という記述があり、
「表」の「行」、「列」の概念に近いものがあります。
*
他にも
全13巻からなる「日本国語大辞典(小学館 2000.12)」で
「行」、「列」、「行列」、「表」のことばをひいて見ましたが
特にこのことについて参考になりそうな記述はありませんでした。
また
「図説漢字の成り立ち事典(辻井京雲/著 教育出版 1993.10)」も見てみましたが
特にこのことについて参考になりそうな記述はありませんでした。
(インターネットで関連するかもしれない内容がありましたので
ご参考までに紹介させていただきます)
http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/mathhistory.htm「 行列式のことを、ドイツ語では Determinante(Gauss の命
名)、
英語では determinantまた、行列のことを、英語では
matrix(Sylvester の命名)というが、
明治の日本では、あまりいい邦訳はなかった。
行列式はデテルミナント、行列は方列などと呼ばれていた。こ
れらを、現在の呼び名である行列式、行列としたのは、高木貞治である。
(参考文献:永田雅宜 著 線形代数の基礎(紀伊國屋書店))」
http://www.nn.iij4u.or.jp/~hsat/techterm/matrix.html「・・・数学用語としての matrix は「行列」。行と列で出来ているからであるが,
こういういい訳をつけたのは代数学者高木貞治であるという。大体この時代に付けた
日本語訳は名訳が多い。唯一失敗したのは「有理数」rational number だろう。
Rational を「理性のある」と解したのがそもそも間違いで, 「比の」という意味で
あることに気付かなかったのが失敗の元である。だから「有比数」の方がいいだろう
という人がいるのだが, 今更変えるわけにはいかない。 (因みに行列は中国では
「矩陣」 と呼ぶらしい)
閑話休題。Matrix は英和辞典を引くと「母体」と出ているが, もともと数学では連
立一次方程式が解けたり解が一意に定まらなかったり, 解がまったく存在しないとい
うものを判定する方法として行列式 determinant (直訳すると「決定式」) というも
のが研究されていたのだが, その行列式を生成するいわば母体としての係数行列を
matrix と名付けたものらしい。複数形は matrices である。・・・」