レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/02/27
- 登録日時
- 2014/07/16 00:30
- 更新日時
- 2014/08/25 13:52
- 管理番号
- 0000000192
- 質問
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解決
泉鏡花の作品でハンミョウに噛まれるという描写があるが、ハンミョウの毒性について調べたい。
- 回答
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(1)『鏡花文学新論』p330~334に
「「由縁の女」をめぐって ハンミョウのこと」という項がある。
この中で、「カンタリンという毒を持つマメハンミョウの仲間」「昔の人が”道教え”ともいった本物のハンミョウは毒を持たず・・・」という記述がある。
(2)『私説博物誌』p,60には、
「斑猫という字に凄みがあるのは、発泡剤や催淫剤としてよく使われる、そういう名前の毒物があるからだ。しかし、昆虫のハンミョウは毒虫ではない。カンタリジンという毒成分を持っている日本薬局方ご指定の虫はマメハンミョウで、これはハンミョウとは別種の昆虫である」とある。
(3)『野外の毒虫と不快な虫』では、
毒のあるハンミョウは、「ツチハンミョウ類とマメハンミョウ類」(p127~p130)に紹介されており、「ツチハンミョウ類はツチハンミョウ科Meloidateに属する甲虫で、日本に15種が産する。マメハンミョウ類も同じ科に属するが、日本産は2種類だけで、とくにマメハンミョウが有名である。ツチハンミョウ科はすべて有毒甲虫だが、いずれも人接触する機会は少なく、山に行った時などにたまたま被害にあう程度である。」(p127)とある。
また、「和のはんみょう」とコラムがあり(p122)「大名家のお家騒動は時代劇の花形的なテーマで、そこにしばしば謀殺用の毒薬として「はんみょうの粉」が登場する。・・・・カンタリジンはツチハンミョウ科の甲虫類に含まれる致死量わずか30mgの物質で、日本にもその含有量のとりわけ多いマメハンミョウという種類がある(127頁参照)。ところが、当時の漢方医たちは、江戸時代初期に中国から伝来した『本草綱目』にある「斑?(はんみょう)」の日本の種類への当てはめを間違えてしまった。現在も「ハンミョウ科」という和名で呼ばれている無毒の甲虫類(写真113)を「和のはんみょう」と決めてしまったのである。そしてまったく効かないその粉が毒薬として江戸時代全期を通じてまかり通ることとなってしまった。」
と、マメハンミョウとハンミョウの関係を説明している。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 動物学 (48 9版)
- 日本文学 (91)
- 参考資料
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- 1 鏡花文学新論 蒲生/欣一郎?著 山手書房 1976.9 910.2/941 p330-334
- 2 私説博物誌 筒井/康隆?[著] 毎日新聞社 1976 460.4/40 p,60
- 3 野外の毒虫と不快な虫 梅谷/献二?編 全国農村教育協会 1994.10 486/107 p,122
- キーワード
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- ハンミョウ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000156207