レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年11月21日
- 登録日時
- 2024/12/18 16:48
- 更新日時
- 2024/12/18 17:40
- 管理番号
- 横浜市中央2743
- 質問
-
解決
メンドリが卵を産む時に鳴くのはなぜか知りたい。
卵を産んだことを知らせるためだと聞いたことがある。
- 回答
-
メンドリの産卵前後の鳴き声について、記述がある資料をご紹介します。
1 産卵前の鳴き声について
(1) 『鶏の繁殖と産卵の生理』
D.J.ベル,B.M.フリーマン/編 国立出版 1977.10
p.215~216に、「産卵前に特有な”鳴声”は、エストロジェンによって、誘起されると
考えられている」との記述があります。
この部分の出典とされているのは、
「Wood-Gush,D.G.M. and Gilbert,A.B.(1969)Anim.Behav.17,586-589.」
です。
(2) 「Oestrogen and the pre-laying behaviour of the domestic hen」
D.G.M. Wood-Gush, A.B. Gilbert
(「Animal Behaviour」Volume17Part3 Elsevier August1969 p.586~589)
上記(1)で紹介されている論文です。
収録誌「Animal Behaviour」は当館では所蔵がありませんが、国立国会図書館等で
所蔵しています。
また、エルゼビア社によるデータベース「ScienceDirect」で要旨を閲覧することができます。
ア 「Animal behaviour」所蔵状況 (国立国会図書館サーチ)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000119841
イ 「ScienceDirect」 (ELSEVIER)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0003347269901675
2 産卵時・産卵後の鳴き声について
(1) 『鶏・蜘蛛・蜜蜂 (野外観察叢書)』
堀関夫/著 日新書院 1942
※「国立国会図書館デジタルコレクション(図書館・個人送信限定)」で閲覧可能です。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1064277/1/87
p.159~「産卵後の鳴聲」
・「大人から鶏は卵を産むと人に知らせる為コケツコツコツコと鳴くものだ(中略)と聞かされて
ゐたものだからあの聲を聞くと鶏小屋に走つて行かざるを得なかった。」(p.164)
・「或る程度の恐怖によつて起された生理的變化が鳴聲を呼起す。
逆に生理的變化が恐怖を呼起すであらうから、産卵前後の内部的變化が空腹と
合して恐怖と相似た働きを来たすので、少しの刺激でも鳴立てるのだと結論することが
出来る。」(p.185)
なお、下記の資料には、この論文の要旨がまとめられています。
「鶏を観る(2)-産卵後になぜ鳴声を発するのか?」
佐藤清次(「養鶏之日本」37巻10号 養鶏之日本社 1952.10 p.36~39)
※「国立国会図書館デジタルコレクション(図書館・個人送信限定)」で閲覧可能です。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1737480/1/20
(2) 『ラ・プラタの博物学者 改訳 (岩波文庫)』
ハドソン/著 岩田良吉/訳 岩波書店 1975
上記(1)p.167で「この産卵後の牝鶏の鳴聲に就てハドソンは一つの説を立てゝゐる」と
している資料です。半野生のニワトリについて、下記のように記しています。
p.121「産卵後鳴きたてる本能が、熱帯の深い密林中で産卵後の雌鶏をその群に
帰らせるのにどの位有利であるかはこの例で見ればわかると思う。もし、密林中で
好んで卵を喰う動物でこのような声を低めた短い鳴き声の意味をさとれるほど
かしこいものがいたとしても、ニワトリの臭いをたどって行くことによってその巣を発見
することはできないだろう。」
(3) 『牛乳とタマゴの科学 完全栄養食品の秘密 (ブルーバックス)』
酒井仙吉/著 講談社 2013.5
p.170「それでも痛みをともなう作業であることに変わりなく、ニワトリは放卵するとき
鳴き声をあげるが、それは陣痛の痛みを伝える悲鳴だった。」
3 その他
下記の資料でも、メンドリが産卵時に鳴くことについて触れていますが、
理由の記述はありませんでした。
(1) 『ニワトリの科学 (シリーズ〈家畜の科学〉)』
古瀬充宏/編 朝倉書店 2014.7
p.157「放卵に際しては、その60~30分前より盛んに鳴き、落ち着きなく動きまわるなど
短時間に著しく行動が変化する」
(2) 『ニワトリと暮らす 増補改訂版』
和田義弥/著 今井和夫/監修 グラフィック社 2021.3
p.71 「メスはオスほど大きな声では鳴きませんが、まったく鳴かないわけではありません。
産卵の前などは「コケーッ、コケーッ」と落ち着きなく甲高い声をあげます。」
(3) 『自給養鶏Q&A エサ、育すう、飼育環境、病気、経営』
中島正/著 農山漁村文化協会 2009.9
p.95~96「ときおり産卵宣言の鳴き声をあげる場合もありますが、ほんの短い二声
三声なので、ほとんど苦情の対象とはなりません。」
(4) 『自給飼料養鶏法 (食糧増産叢書2)』
中村吉隆,美並東/共著 霞ケ関書房 1945
※「国立国会図書館デジタルコレクション(図書館・個人送信限定)」で閲覧可能です。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1067330/1/5
p.6 「雄鶏は暁を告げ、牝鶏はコゝゝコケツコゝゝとけたゝましく卵を産んだ事を報らせる。」
Webサイト最終確認日:令和6(2024)年12月6日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 家禽 (646 10版)
- 鳥類 (488 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000360776