レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年05月16日
- 登録日時
- 2024/06/18 11:41
- 更新日時
- 2024/07/30 14:25
- 管理番号
- 1008
- 質問
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解決
本能寺の伝説(本能寺の変の前に鳴いて知らせたという蛙の香炉や、天明の大火の時に火を防いだイチョウの話)について、書かれている本はないか。
- 回答
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火伏のイチョウについて記載のある本は多いが、蛙の香炉について書かれた資料は多くないようである。
以下の資料に記載を確認。
〈資料1〉『京の寺不思議見聞録』【1110872361】
p43-46に「本能寺 火伏のイチョウ」という項あり。イチョウと香炉、どちらの記述もあり。
・火伏のイチョウについては、天明の大火の時と蛤御門の変の時のことが書かれており、イチョウの木の写真も掲載。以下引用。
“…「火伏のイチョウ」と呼ばれる木がある。(略)この木から、一七八八年(天明八)の大火で市中が火の海に包まれたとき、不思議なことに突如、勢いよく水が噴出したという。”
“さらに一八六四年(元治元)幕府軍と長州軍との戦い(蛤御門の変)のときには、本能寺の近くにあった長州藩邸は幕府軍の攻撃によってことごとく焼きつくされてしまうが、やはりイチョウから水が噴き出し、木のすぐ側にあった龍雲院という塔頭寺院だけは類焼をまぬがれたという。”(p45)
・蛙の香炉について
“…なかでも香炉の「三足の蛙」は人気が高い。伝えによると、本能寺の変の前夜、この蛙が突如鳴き出し信長に異変を知らせたという。”(p46)
〈資料2〉『京都千年 7 伝説とその舞台』【1100286176ほか】
「第三章 町々・辻々の伝説」に「樹の伝説」の項があり、「西本願寺の水吹き公孫樹」の部分に本能寺の“火伏の大公孫樹”の話が出てくる。
“…同じ天明の大火の時、寺町三条界隈の人々は火を逃れて北へと走った。逃げ遅れ、逃げ場を失った人々は、やむなく近くの本能寺境内に群れ集まり、神木とされていた公孫樹の木の下に身を伏せた。火が本能寺にまで及んだ時、この公孫樹は水を吹き上げて人々を守ったという。爾来、この公孫樹は“火伏の大公孫樹”として敬われているという話もある。…”(p202)
〈資料3〉『京都 神社と寺院の森 京都の社叢めぐり』【1110429014ほか】
「第3章 京都の社寺の樹木」の「イチョウ(銀杏・公孫樹・鴨脚)」の項にイチョウの防火伝説として
“本能寺の「火伏せ銀杏」はこれも天明の大火の際、水を噴き出しこの木の下に身を寄せていた人々を救ったとされる。防火樹としての役目を果たしている。”(p56-57、写真あり)
そのほか、以下の資料にも本能寺のイチョウについて記載あり。
〈資料4〉『京の火事物語』【1110960539ほか】
p35「水噴きイチョウ」
〈資料5〉『樹木にまつわる物語』【1107852020】
p101「水吹きイチョウ」
〈資料6〉『京都の自然 原風景をさぐる』【1100332749ほか】p81
〈資料7〉『歴史への招待 26』【1107501163】
p54に蛙の香炉の写真あり。キャプションに、
“香炉「三足の蛙」 明智勢が本能寺をとりまいたとき、突然鳴き出したとの言い伝えがある(本能寺蔵)”
とあり。
〈資料8〉『クリエイターのためのファンタジー世界構築教典』【1111063804】
p448に「信長に火急を告げた三足の蛙」というコラムあり。
“天災を予知するという中国の伝説の霊獣「青蛙神(せいあじん)」。織田信長はこれを象った「三足の蛙」の香炉を携えていましたが、これが本能寺の変の夜に枕元で鳴き声をたてたという伝承があります。”
〈資料9〉『京都民俗志』【1101274015】には、三足蛙の香炉が所蔵されていることは書かれているが、伝説については記載なし。(p226)
【 】内は当館資料コード。
- 回答プロセス
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「本能寺」で検索すると、「本能寺の変」についての歴史的な資料が多くヒットするので、あまり使わず。
本能寺について1冊にまとまっているような本も見つけられなかったので、ブラウジングできる京都コーナー(あるいは書庫)で、京都の伝説や謎、樹木等の資料を中心に探した。
また、蛙の香炉については、GoogleBooksで「本能寺」「蛙」「香炉」などをキーワードに探したが、マンガやラノベといった本が多くヒットし当館に所蔵がなさそうであったが、〈資料7〉や〈資料8〉を見つけることができた。特に〈資料8〉は思ってもいない分野の本であった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 10版)
- 参考資料
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〈資料1〉佐々木昇 著. 京の寺不思議見聞録. 光村推古書院, 2004.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007499277 , ISBN 4-8381-0338-7 -
〈資料2〉原田伴彦 [ほか]編集. 京都千年 7. 講談社, 1984.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001706205 , ISBN 4-06-187107-2 -
〈資料3〉渡辺弘之 著. 京都神社と寺院の森 : 京都の社叢めぐり. ナカニシヤ出版, 2015.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I026303056 , ISBN 978-4-7795-0915-5 -
〈資料4〉京を語る会 編. 京の火事物語 復刻版. 三人社, 2019. (緑紅叢書 ; 第51輯)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I029767800 , ISBN 978-4-908976-99-5 -
〈資料5〉浅井治海 著. 樹木にまつわる物語 : 日本の民話・伝説などを集めて. フロンティア出版, 2007.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008798554 , ISBN 978-4-902410-12-9 -
〈資料6〉塚本珪一 著. 京都の自然 : 原風景をさぐる. ナカニシヤ出版, 1984.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001721648 -
〈資料7〉歴史への招待 26. 日本放送出版協会, 1983.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001686989 -
〈資料8〉宮永忠将 著. クリエイターのためのファンタジー世界構築教典. 宝島社, 2020.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030647615 , ISBN 978-4-299-00978-4 -
〈資料9〉井上頼寿著. 京都民俗志 改訂. 平凡社, 1968.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130000797335132928 , ISBN 4582801293
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〈資料1〉佐々木昇 著. 京の寺不思議見聞録. 光村推古書院, 2004.
- キーワード
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- 本能寺
- イチョウ
- 天明の大火
- 本能寺の変
- 三足の蛙
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000351625