レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/04/02
- 登録日時
- 2024/02/06 00:30
- 更新日時
- 2024/02/06 00:30
- 管理番号
- 小寺池図書館R1001293
- 質問
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解決
「月並・月次」の語源・由来のわかる本が知りたい。
元々月一回、先生の下に弟子が集い作品を発表する定例会の意で「月次」が使用されたようだが、正岡子規が旧来の俳句を「月並俳句」=陳腐・平凡と批判したことから「月並」が使用されるようになったと記憶している。この認識であっているのか。
- 回答
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『日本語語源辞典』(学研教育出版)p.71より。とくに、俳句などの月例会を「月並会」といった。「月並み」が陳腐の意になったのは、正岡子規が俳句革新運動のなかで、江戸天保期以後の俳諧を「月並調」、伝統的な旧派の俳句を「月並俳句」と言って批判したことによる。「月次」とも書く。とある。
『語源辞典 形容詞編』(東京堂出版)p.247にも、ツキナミが平凡なこと、陳腐なことを意味するようになったのは、正岡子規を中心とする俳句革新運動にともない、子規が自分の革新した新派の俳句に対して、伝統的な旧派(月並派)の俳句を排撃して言ったことによる。とある。
『獺祭書屋俳話・芭蕉雑談』(岩波書店)p.271~274には、『獺祭書屋俳話』において、子規がはじめて「月並流」批判をしたと解説している。同時代俳人の作品への批評、批判として、「右四句の如き月並社会の俗調に落ちずといへども、亦意至りて筆到らざるものなり。」、「「手持無沙汰」とは尤も拙劣なる擬人法にして、此類の句は月並集中常に見る所なり。故に余は之を称して月並流といふ。」とある。それが以後、「俳句の流行と共に今は広く広がりて、わけも知らぬ人迄月並調といふ語を用ゐる様になれり。従て或場合には、俳句以外の事に迄俗なる者は之を月並と呼ぶ事さへ少なからず。」と、やがて俳句に無関係な人まで「月並調」なる言葉を使うようになり、「俗なる者(物)」を「月並」と言うようになったということを、子規は書き付けている。とある。
詳細は解説を参照。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812)
- 詩歌 (911)
- 参考資料
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- 日本語語源辞典 学研辞典編集部/編 学研教育出版∥学研マーケティング(発売) 2014.9 812.033 , ISBN 978-4-05-304064-0 (p.71)
- 語源辞典 形容詞編 吉田金彦/編 東京堂出版 2000.10 812.033 , ISBN 4-490-10553-3 (p.247)
- 日常語の意味変化辞典 堀井令以知/編 東京堂出版 2003.6 812.033 , ISBN 4-490-10622-X (p.168)
- 獺祭書屋俳話・芭蕉雑談 正岡子規/著 岩波書店 2016.11 911.304 , ISBN 978-4-00-360025-2 (p.271~282)
- 正岡子規・革新の日々 復本一郎/著 本阿弥書店 2002.6 911.362 , ISBN 4-89373-827-5 (p.103~107)
- キーワード
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- 月並
- 月次
- 正岡子規
- 月次俳句
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 語学
- 内容種別
- 参考資料
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000345960