レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年06月26日
- 登録日時
- 2023/01/25 15:25
- 更新日時
- 2023/07/04 14:30
- 管理番号
- ASN2020-36
- 質問
-
解決
マイクロフィルム以前/以外に、図書館、資料館、文書館において、資料の耐久性向上や省スペース化のために、資料の現物ではなく複製を作成し収蔵するやり方は、どのようなものがあったか/ないか。
※基本的に、デジタルアーカイブの話は含まない。デジタルデータでの資料保存と閲覧が可能になる以前の状況が知りたい。
【全体の問いの概要】
歴史的(特に明治維新からゼロックスコピーの普及以前までの期間)に、日本において、資料保存や公文書管理のために、「アナログ的な複製技術」がいつ頃どのように導入され活用されてきたのかを知りたい。
【関連質問】
ASN2020-31 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327783
ASN2020-32 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327790
ASN2020-33 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327791
ASN2020-34 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327796
ASN2020-35 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327852
ASN2020-37 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000328000
- 回答
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回答プロセスを参照してください。
- 回答プロセス
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1.図書
1-1.レファレンス資料 <分類:010(図書館学)>
【★1】『図書館情報学ハンドブック 第2版』
p.222「2.7.4 新聞の保存・蓄積、検索・入手」
新聞の保存は、①原紙保存、②縮刷版、③マイクロ資料
縮刷版は、東京朝日新聞が1919(大正8)年に始めたのが最初とされ、毎日新聞が1950年から、読売
新聞が1958年から作成。
p.313-314「2.13 メディアの保存 d.酸性紙問題の対策」
保存のための媒体変換に関する記述(マイクロ化と電子化)。
※次の頁に図書館、文書館の項目があるが、媒体変換を伴う保存に関する記述は確認できない。
p.756「7.3.3 図書館の業務 蔵書管理」
p.884「7.14.4 文書館」
1-2.OPAC検索 <件名:文書館,資料保存 / 分類:0146(資料保存)、018(専門図書館)>
【★2】『アーカイブズの科学』全2巻
下巻p.297-422「Ⅴ アーカイブズの保存と修復」
p.310「図2 文書館の史料保存計画の範囲」
史料の代替化・代替物の種類・・・ マイクロ、コピー、写真フィルム、プリント、
光ファイル、電子ファイル、出版
p.392-397「3章 予防措置と実際 3 保存のための複製システム」
史料の代替化に関する記述を確認できる。
代替化の事例として、マイクロフィルム、カラー写真、レプリカ、電子式複写コピー、デジタル写真。
上巻p.336「3 行政文書の管理」
p.340「4 文書のライフサイクルとその管理」
公文書の管理の流れについて掲載されている。保存のための複製に関する記述は確認できない。
【★3】『資料保存のための代替』
p.27-46「2 代替保存の選択肢」
目的、方法、基本原則、手段の評価について解説。特に次の頁で代替物作成について書かれている。
p.28「2 代替保存の方法」
代替物の作成の方法は3つ。マイクロ化、デジタル化、電子式複写(紙の複製物を作成)
p.78-90「5 代替保存における意思決定プロセス」
代替化といえば、写真撮影やマイクロフィルムかが主流。ハードコピーやデータの紙焼きなど、紙か
ら紙への代替保存も決してその意味を失っていない、と記載。代替保存の事例5つを紹介している。
【★4】『IFLA資料保存の原則』
p.30「代替物」
貴重書の原本の利用制限、原形を保護できない資料の知的内容を保存するための代替物について明記。
マイクロ、電子式複写、凸版復刻、光ディスクなどを挙げている。
【★5】『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』
p.113-125「第7章 媒体変換」 電子式複写、マイクロ化、デジタル化の長所短所を概説。
*回答につながる情報を確認できなかった。
『近現代資料の管理と史料認識』(鈴江英一著 北海道大学図書刊行会 2002 018/SU93)
1-3.[1-1][1-2]の参考文献より
【★6】『歴史資料の保存と公開 (岩田書院ブックレット7)』
事例の中に、保存のための複製について記述がある。
p.139 古文書室から引き継いだ資料のうち、個人所蔵の文書の多くは古文書室でマイクロフィルム化
され、同時に複製本が作成されている。
*当館に所蔵がないため、確認する必要がある。
『記録史料の管理と文書館』(安藤正人・青山英幸編著 北海道大学図書刊行会 1996)
所蔵館:愛知県図書館、名古屋市図書館(鶴舞)など
*回答につながる情報を確認できなかった。
『史料保存と文書館学』(大藤修, 安藤正人著 吉川弘文館 1986 018/O86)
資料の散逸を防ぐための収集と保存、整理管理に関する内容を中心に解説。
『時を貫く記録の保存:日本の公文書館と公文書管理法(岩田書院ブックレット16)』
(全国歴史資料帆村利用機関連絡協議会近畿部会編 岩田書院 2011 01809/Z3-1)
『地域と歩む史料保存活動(岩田書院ブックレット9)』
(越佐歴史資料調査会編 岩田書院 2003 018/E74)
『日本の文書館(岩田書院ブックレット2)』(高野修著 岩田書院 1997 018/TA47)
2.論文
2-1.CiNii Articles https://ci.nii.ac.jp/ ※2022年4月~CiNii Researchに移行
<キーワード:資料保存 複製、資料 複製、原本代替資料 など>
【★7】八木 壮一“保存の方法としての複製出版 (図書館における資料保存<特集>)” [PDF]
【★8】松下 真也“早稲田大学図書館における資料保存問題の経緯と展望” [PDF]
今日における資料保存・・・ 他の媒体への移行として「マイクロフィルム化」と
「影印出版、複製作成」と明記。
【★9】大内田 貞郎“天理図書館における資料保存の現状” [PDF]
行っている「複写・複製」業務について明記。
マイクロフィルム撮影(35mm)、マイクロフィッシュ撮影(16mm)、掲載用撮影、
複製(オフセット印刷、コロタイプ印刷)
コロタイプ印刷はレプリカとして利用。
など
*回答につながる可能性のある資料 [当館所蔵なし]
藤原 秀之“講演 大学図書館における複製資料の役割 : 原本代替資料の将来像 (「コロタイプ技術の保
存と印刷文化を考える会」第16回研究会)” 玻璃彩 : 会報 (11) p.8-10 2014-02
桜庭 文雄“公文書書庫収蔵資料の複製本作成について”秋田県公文書館研究紀要 (5) p.75-92 1999
など
3.目録規則から
3-1.図書資料
【★10】『日本目録規則 1987年版, 改訂3版』
p.407 「原資料代替物」
複製物のうち、出版物とする意図なしに、原資料の代替として使用するために作成されたもの。
p.418 「複製物」
印刷、写真、複写、録音、録画、その他の方法により原資料を復元し、また復元できるように
再製したもの。美術品のレプリカ、データベースの別媒体へのコピー等を含む。
【★11】『日本目録規則 2018年版』
p.734「複製」
印刷、写真、複写、録音、録画などの機械的または電子的手段によって、原資料の内容を忠実に復元し
再製したコピー。
【★12】『日本目録規則 1965年版』
p.146「複製本」
既存の図書の全部または一部分を転写し、または写真等の手段によって作成したもの…(略)
p.146「影写本」
原本を紙の下にしいて、上からすかして書体などを忠実に写した図書
【★13】『日本目録規則』
p.43「附則」 1.フィルム,幻燈版
図書オ印畫紙又ワフィルムニ複寫セルモノワ原本ト同一ニ取扱イ...(略)
以上から、1943年の時点ですでに図書の複製を行っていたことがわかる。
3-2.Web情報
目録システムコーディングマニュアル http://catdoc.nii.ac.jp/MAN2/CM/mokuji.html
国立情報学研究所(NACSIS)の目録規則。
「2.0.4 複製・原本代替資料」
写真複製、電子的複写などの方法で原本を忠実に再現させた複製資料(マイクロ資料、録音資料、
コンピュータファイル等、媒体は問わない)
(1) 出版を目的とした複製資料(いわゆる復刻版等)
(2) 原本代替資料(出版を目的とせずに私的に複製された資料等)
(3) 注文生産による複製資料(博士論文などの、注文による複製・頒布資料等)
→2023/06/06現在、アクセス不可。下記より同様の内容を確認できる。
目録システムコーディングマニュアル(CAT2020対応版)
https://catill.bitbucket.io/CM/mokuji.html
【★14】「2.0.4 複製・原本代替資料」
以上
<Web最終確認日:2023/01/24>
- 事前調査事項
- NDC
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- 図書館.図書館情報学 (010 10版)
- 専門図書館 (018 10版)
- 情報資源の収集・組織化・保存 (014 10版)
- 参考資料
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【★1】図書館情報学ハンドブック編集委員会 編. 図書館情報学ハンドブック 第2版. 丸善, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002772560-00 , ISBN 4621045598 (当館請求記号:010/TO/726/ア) -
【★2】国文学研究資料館史料館 編 , 国文学研究資料館史料館. アーカイブズの科学 上巻. 柏書房, 2003.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004281781-00 , ISBN 4760124241 (当館請求記号:018/KO49/1) -
【★2】国文学研究資料館史料館 編 , 国文学研究資料館史料館. アーカイブズの科学 下巻. 柏書房, 2003.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004281784-00 , ISBN 476012425X (当館請求記号:018/KO49/2) -
【★3】日本図書館協会資料保存委員会 編集企画 , 安江明夫 監修 , 安江, 明夫, 1945-2021 , 日本図書館協会. 資料保存のための代替. 日本図書館協会, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010841838-00 , ISBN 9784820409229 (当館請求記号:0146/N77-2) -
【★4】ジャンヌ・マリー・デュロー, デビッド・クレメンツ 著 , 資料保存研究会 訳・編 , Dureau, Jeanne-Marie , Clements, D. W. G , 資料保存研究会. IFLA資料保存の原則. 日本図書館協会, 1987. (シリーズ本を残す ; 1)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001882786-00 , ISBN 482048706X (当館請求記号:0146/SH88/1) -
【★5】エドワード・P.アドコック 編 , 国立国会図書館 訳 , 木部徹 監修 , Adcock, Edward P , 木部, 徹 , 国立国会図書館 , 日本図書館協会. IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則. 日本図書館協会, 2003. (シリーズ本を残す ; 9)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004202447-00 , ISBN 4820403109 (当館請求記号:0146/SH88/9) -
【★6】文書館問題研究会, 横浜開港資料館 編 , 文書館問題研究会 , 横浜開港資料館. 歴史資料の保存と公開. 岩田書院, 2003. (岩田書院ブックレット ; 7)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004246805-00 , ISBN 4872942906 (当館請求記号:018/MO331) -
【★7】八木, 壮一 , 八木, 壮一. 保存の方法としての複製出版. 早稲田大学図書館, 1990-03-31. 早稲田大学図書館紀要 32 p. 92-98
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000025-I006014506-00 (PDF) -
【★8】松下, 真也 , 松下, 真也. 早稲田大学図書館における資料保存問題の経緯と展望. 早稲田大学図書館, 1990-03-31. 早稲田大学図書館紀要 32 p. 7-19
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000025-I006014498-00 (PDF) -
【★9】大内田, 貞郎 , 大内田, 貞郎. 天理図書館における資料保存の現状. 早稲田大学図書館, 1990-03-31. 早稲田大学図書館紀要 32 p. 35-44
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000025-I006014501-00 (PDF) -
【★10】日本図書館協会目録委員会 編 , 日本図書館協会. 日本目録規則 1987年版, 改訂3版. 日本図書館協会, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008233222-00 , ISBN 4820406027 (当館請求記号:01432/N77-1/キ) -
【★11】日本図書館協会目録委員会 編 , 日本図書館協会. 日本目録規則 2018年版. 日本図書館協会, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029403328-00 , ISBN 9784820418146 (当館請求記号:01432/N77-1/ク) -
【★12】日本図書館協会目録委員会 編 , 日本図書館協会. 日本目録規則 1965年版. 日本図書館協会, 1965.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001067793-00 (当館請求記号:01432/N77-1/ア1) -
【★13】青年図書館員聯盟目録法制定委員会 編 , 青年図書館員聯盟. 日本目録規則. 間宮商店, 1943.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001790854-00 (インターネット公開) - 【★14】「2.0.4 複製・原本代替資料」<https://catill.bitbucket.io/CM/mokuji.html> (国立情報学研究所(NACSIS)の目録規則。)
-
【★1】図書館情報学ハンドブック編集委員会 編. 図書館情報学ハンドブック 第2版. 丸善, 1999.
- キーワード
-
- マイクロフィルム
- 図書館
- 資料館
- 文書館
- 複製
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 資料保存
- 質問者区分
- 教員
- 登録番号
- 1000327903