レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年06月26日
- 登録日時
- 2023/01/24 13:25
- 更新日時
- 2023/07/17 09:12
- 管理番号
- ASN2020-33
- 質問
-
解決
保存・閲覧用として残されている公文書は、どのような手段や技術で複製されてきたのか?(複製がない、手書きで複製する、謄写版、タイプライターなど)
※基本的に、その文書が制作された当時での話。後年に貴重資料としてデジタル化された、といったケースは含まない。
【全体の問いの概要】
歴史的(特に明治維新からゼロックスコピーの普及以前までの期間)に、日本において、資料保存や公文書管理のために、「アナログ的な複製技術」がいつ頃どのように導入され活用されてきたのかを知りたい。
【関連質問】
ASN2020-31 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327783
ASN2020-32 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327790
ASN2020-34 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327796
ASN2020-35 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327852
ASN2020-36 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327903
ASN2020-37 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000328000
- 回答
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該当時代においての、公文書の複製方法についての記載があるものはいくつかみつかりましたが、「保存・閲覧用として」とはっきり明記されているものは確認できませんでした。
詳しくは回答プロセスを参照してください。
- 回答プロセス
-
1.図書を確認する
1-1.レファレンス資料を確認する <分類:317(行政)>
*次の資料では、該当情報を確認できなかった。
『官公庁事典』(産業調査会事典出版センター 1997.11 317/KA561)
1-2.OPAC検索
<キーワード:公文書、アーカイブ、複製、明治時代、こんにゃく版(蒟蒻版)、謄写版、ガリ版など組
み合わせ>
【★1】『公文書管理と民主主義 : なぜ、公文書は残されなければならないのか』
p.28-29 「2.情報公開制度はなぜ必要か」
昔の複写を作る方法はカーボンコピーで、紙と紙の間にカーボンを挟み、上から筆写したり、
タイプライターで打ったりしていた、という記載あり。(時代不明)
【★2】『アーカイブ事典』
p.192-193「第8章 資料保存の科学 2 紙資料の劣化要因と対策 複写資料の劣化」
日本では、昭和26年に初期のジアゾ複写機が開発され、法務省が戸籍謄本・抄本類のジア
ゾ複写機の使用を認定したことが記載されている。
p.216-217「第9章 紙等を媒体とする記録技術 1 記録素材の歴史と紙に書かれた記録 (2)複写の変遷」
明治の公文書などの中に、こんにゃく版の複写物があることが記載されている。
また、京都府庁文書の明治15年6月付の内務卿から地方長官に送られた文書の中にこんにゃ
く版を公文書として使うことが明示されている、という記載あり。
その後、明治の終わりにこんにゃく版が姿を消し、謄写版がこんにゃく版に代わり登場し、
昭和戦中・戦後から昭和40年後半ごろまでの役所や学校のプリント物にこの手法が使われ
たと記載あり。
(※ここでは同じ情報を不特定多数の人に配付する出版は扱わなかったという記載あり。)
【★3】『ガリ版ものがたり』
p.23 「謄写器材の発展史 <謄写版ヤスリ>」
明治27年に謄写版が発売し、初期の印刷機には、普通製と特別製(諸官庁用)のものがあっ
たという記載あり。
p.67 「ガリ版と共に 鉱毒地農民のガリ版印刷物 国会の毛筆謄写版」
国会の事務文書に、毛筆謄写刷りプリントがあるという記載あり。
【★4】『文書と記録 : 日本のレコード・マネジメントとアーカイブズへの道』
p.172 明治4(1871)年に太政官記録担当部局記録課が国史編纂業務を担当し、各行政組織に設置され
た局で、謄写した公文書の類輯編纂と原本の保存が行われたという記載あり。
*次の資料では、該当情報を確認できなかった。
『近現代史料の管理と史料認識』(鈴江英一著 北海道大学図書刊行会 2002.2 018/SU93)
『入門アーカイブズの世界 : 記憶と記録を未来に : 翻訳論文集』
(記録管理学会, 日本アーカイブズ学会共編 日外アソシエーツ 2006.6 01809/KI54)
『アーカイブを学ぶ : 東京大学大学院講義録「アーカイブの世界」』
(小川千代子 [ほか] 著 岩田書院 2007.3 01809/O24-2)
『公文書は誰のものか? : 公文書管理について考えるための入門書』
(榎澤幸広, 清末愛砂編集代表 ; 飯島滋明 [ほか] 編 大学図書 (発売) 2019.4 3176/E63)
『公文書管理における現状と課題』
(中京大学社会科学研究所アーカイブズ研究プロジェクト編 中京大学社会科学研究所 2019.3
3176/C64)
『日本の公文書 : 開かれたアーカイブズが社会システムを支える』
(松岡資明著 ポット出版 2010.1 3176/MA86)
『公文書をつかう : 公文書管理制度と歴史研究』(瀬畑源著 青弓社 2011.11 3176/SE12)
『文書と記録のはざまで : 最良の文書・記録管理を求めて』
(小谷允志著 日外アソシエーツ 2013.12 3176/KO92)
『公文書館を取材して見えてきた現状と課題』(長井勉著 丸善プラネット 2017.4 01809/N14/1)
『時を貫く記録の保存 : 日本の公文書館と公文書管理法』
(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会近畿部会編 岩田書院 2011.3 01809/Z3-1)
1-3.ブラウジング <分類:018(専門図書館)、749(印刷)>
*次の資料では、該当情報を確認できなかった。
『公文書管理法とアーカイブズ : 史料としての公文書』(中野目徹著 岩田書院 2015.4 01809/N39)
『日本のアーカイブズ論』(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会編 岩田書院 2003.3 018/Z3-1)
『アーカイブズの科学, 上下』(国文学研究資料館史料館編 柏書房 2003.10 018/KO49/1,2)
『日本印刷大観』(ゆまに書房 2010.4 74921/KI42/1)
『名古屋印刷史ほか』(ゆまに書房 2010.4 74921/KI42/2)
『昭和堂月報の時代 : 戦前戦後「ガリ版」年代記』
(須永襄編 トランスアート市ヶ谷分室 2000.7 749/SU73)
2.論文を確認する
<キーワード:公文書、アーカイブ、複製、明治時代、こんにゃく版(蒟蒻版)、謄写版、ガリ版など組
み合わせ>
2-1.CiNii Articles https://ci.nii.ac.jp/ ※2022年4月~CiNii Researchに移行
【★5】小島 浩之 , 矢野 正隆 , 内田 麻里奈“蒟蒻版と青焼(ジアゾ)のデジタル処理による情報の保存に
ついて”[PDF]
蒟蒻版が、明治10年代から昭和初期の、官庁や学校、企業などの会議資料や内部文書に広く利用
されたという記載あり。
【★6】新田 和幸“わが国における 「蒟蒻版」印写法の発生と 「蒟蒻版」 公文書の存在意義-教育史料 (と
りわけ行政文書) 調査と保存によせて”[本学所蔵なし]
*次のデータベースでは該当情報に当てはまる文献を確認できなかった。
ざっさく プラス(雑誌記事索引集成)[契約DB]
Magazine Plus[契約DB]
NDL ONLINE https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/
3.Webサイトを確認する
3-1.国立公文書館 http://www.archives.go.jp/
【★7】「国立公文書館所蔵資料保存対策マニュアル(平成14年3月)」 [PDF]
p.7 明治期、大正期の資料として、こんにゃく版やガリ刷りなど、複部数の複写法や印刷法が開発され
てきたことや、こんにゃく版は明治10年代から大正にかけて公文書に多用されていることなどが記
載されている。
TOP > 画面下「報告書・資料等」>「◎調査研究報告書-保存・修復」項目内
3-2.福岡共同公文書館 http://kobunsyokan.pref.fukuoka.lg.jp/
【★8】「過去のイベント情報 国立公文書館所蔵資料展~公文書で再発見!近代日本と福岡のあゆみ~」
明治時代の公文書の形が、墨を使った手書きのみのものから、活字印刷やこんにゃく版、ガリ版な
どが増えてきたことが記載されている。
TOP > 展示・講座案内「過去のイベント情報」> 「企画展示」項目内
以上
<Web最終確認日:2023/01/23>
- 事前調査事項
- NDC
-
- 図書館.図書館情報学 (010 10版)
- 専門図書館 (018 10版)
- 印刷 (749 10版)
- 参考資料
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【★1】瀬畑源 著 , 瀬畑, 源, 1976-. 公文書管理と民主主義 : なぜ、公文書は残されなければならないのか. 岩波書店, 2019. (岩波ブックレット ; No.1000)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029637138-00 , ISBN 9784002710006 (当館請求記号:3176/SE12-2) -
【★2】小川千代子, 高橋実, 大西愛 編著 , 小川, 千代子 , 高橋, 実, 1946- , 大西, 愛. アーカイブ事典. 大阪大学出版会, 2003.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004283750-00 , ISBN 4872591747 (当館請求記号:01809/O24) -
【★3】志村章子 著 , 志村, 章子, 1939-. ガリ版ものがたり. 大修館書店, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023421363-00 , ISBN 9784469222180 (当館請求記号:7498/SH56) -
【★4】高山正也 監修 , 高山, 正也, 1941-. 文書と記録 : 日本のレコード・マネジメントとアーカイブズへの道. 樹村房, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029062905-00 , ISBN 9784883673056 (当館請求記号:018094/TS18) -
【★5】小島, 浩之 , 矢野, 正隆 , 内田, 麻里奈 , 小島, 浩之 , 矢野, 正隆 , 内田, 麻里奈. 蒟蒻版と青焼(ジアゾ)のデジタル処理による情報の保存について. 東京大学経済学部資料室, 2011-03-31. 東京大学経済学部資料室年報 1 p. 63-68
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000025-I005819398-00 (PDF) -
【★6】新田 和幸 , 新田 和幸. わが国における 「蒟蒻版」 印写法の発生と 「蒟蒻版」 公文書の存在意義-教育史料 (とりわけ行政文書) 調査と保存によせて. 1990-01-29. 教育史・比較教育論考 14 p. 41-50
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000024-I004986522-00 -
【★7】国立公文書館所蔵資料保存対策マニュアル(平成14年3月)[PDF].
https://www.archives.go.jp/about/report/pdf/hourei3_09.pdf (明治・大正期の複部数の複写法や印刷法などが記されている。) -
【★8】国立公文書館所蔵資料展~公文書で再発見!近代日本と福岡のあゆみ~.
https://kobunsyokan.pref.fukuoka.lg.jp/exhibition_detail.php?no=47 (明治時代の公文書の形が、墨を使った手書きのみのものから、活字印刷やこんにゃく版、ガリ版などが増えてきたことが記載されている。)
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【★1】瀬畑源 著 , 瀬畑, 源, 1976-. 公文書管理と民主主義 : なぜ、公文書は残されなければならないのか. 岩波書店, 2019. (岩波ブックレット ; No.1000)
- キーワード
-
- 資料保存
- 公文書
- 複製
- 謄写版
- タイプライター
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 資料保存
- 質問者区分
- 教員
- 登録番号
- 1000327791