レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年12月16日
- 登録日時
- 2022/12/16 20:31
- 更新日時
- 2023/05/01 14:04
- 管理番号
- 京髙図司-2022-G2
- 質問
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解決
・卵(鶏卵)を割る前に鮮度を見分ける方法を知りたい。
・なぜ家庭では冷蔵しなくてはいけないのか知りたい。
- 回答
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以下の書籍を紹介、提供した。
①『服部栄養専門学校に教わる いまさら聞けない料理の基本』(自館所蔵)
②『くらべてわかる食品図鑑② 肉と乳製品』 (自館所蔵)
③『たまご大事典』(他館取り寄せ)
④『料理の科学大図鑑』(他館所蔵)
・卵を割ることなく鮮度を判別する方法については、「殻」の状態をみる、塩水につける(水と記載されている場合もあり)、照明に透かしてみる等が、書籍及び企業や団体のサイトで紹介されている。ただし、これらの方法についても、情報によってはまったく逆の見解が述べられていることもあり、判別方法を確定することはできなかった。
・食品衛生法に基づく表示基準により「冷蔵庫(10℃以下)で保存すること」と表示することとされ、家庭では冷蔵保存が望ましいと考えられる。
- 回答プロセス
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【卵を割る前の鮮度の見分け方】
パック等に記載されている賞味期限等の情報だけに頼ることなく、卵そのものから新鮮度を見分けられる方法を知りたいという事が質問内容である。
自館の蔵書①②によると、鮮度の判別方法については、①には【卵の殻の表面がざらざらしている】こと、②では、食塩水につけて沈まないものは新鮮でないとする方法があるということを言及した上で、殻の厚さが違うのでこれだけで判別することは難しいということが記載されていた。
①と②の書籍中に鮮度を判別する確実な方法として共通して紹介されているものもあり、それは割卵し、卵白の状態をみるというものであったが、〈卵を割ることなく〉という条件を満たさないため保留とした。
次に他館より取り寄せた③の資料は、①よりも出版年は古くなるが、前述の①の【殻の表面がざらざらしている】という方法について、洗卵して出荷されるため、現在はあてにできないと逆の説明があり、さらに良い卵を選ぶ方法として、卵全体のキメが細かく、なめらかで光沢があり、表面が汚れていないものと紹介されていた。また②の文中で難しいと指摘のあった、食塩水に浸ける「比重法」についても、殻の厚さによって比重が異なるので一応の目安にしてほしいとはあるものの、判別方法の一つとして紹介していた。
さらに、卵の品質評価について「ハウユニット」(※「割卵」して「卵白の高さ」を調べ、「卵の大きさ」で調整した値によって評価を行うこと)も紹介されている。(他館蔵書④にも記載あり)ただし、この「ハウユニット」も、パッケージ等に表示されている数値をみるという点から、〈卵そのものからの見分け〉という条件から外れており、保留とした。
次に、インターネットで検索してみたが、鮮度の見分け方については「殻の表面をみる」「ハウユニット」「卵黄係数」「比重法」等、書籍と同様の方法が挙げられていた。ただどの情報についても、正確に判別できる方法とは言いきれないため、書籍を参照として提供するにとどまり、質問者とも〈卵を割ることなく〉という条件の下では、確実に鮮度を判別することは難しいという結論に至った。
【なぜ冷蔵保存をするのか】
卵の保存方法に関する書籍については、書籍②『くらべてわかる食品図鑑②』と書籍④『料理の科学大図鑑』を参照した。
②には「冷蔵庫から出した卵を暖かいところにおいておくと、殻の表面に水滴がついて、カビや細菌が卵の中身まで侵入してしまう原因になる」とある。④は翻訳された書籍であり、国ごとの事情が関係してくるのか「ヨーロッパでは冷蔵庫内での結露が細菌の増殖を助長すると考えられていて、涼しい食器棚で保存するのがよいとされている」との記載もあった。
保管場所については差異がみられるが、いずれにしても温度変化によって殻の表面に水滴が生じることを問題視していることがみられる。
サルモネラ菌等による食中毒を防止する目的で定められた鶏卵の表示基準には、以下の文言がある。
【生食用の鶏の殻付き卵については、特に家庭又は飲食店営業者等直接消費者に生食用の卵を用いて客に料理等を提供する者に対して、卵の適正な取扱いを周知するため、10℃以下で保存することが望ましい旨の表示をする。】(JA全農たまご株式会社「厚生省通知(平成10年11月25日 第1674号)食品衛生法に基づく鶏卵の表示基準(抜粋)」より)
また鶏卵公正取引協議会による「鶏卵の表示に関する公正競争規約及び施行規則(H28.4.1施行)」には、保存方法について、
【「お買い上げ後は冷蔵庫(10℃以下)で保存してください」等と具体的に記載する。】という一文もある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 畜産製造.畜産物 (648)
- 食品.料理 (596)
- 参考資料
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服部栄養専門学校 監修. 服部栄養専門学校に教わるいまさら聞けない料理の基本. 宝島社, 2016. (TJ MOOK)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027738525-00 , ISBN 9784800263391 -
家庭科教育研究者連盟 編著 , 田村孝 絵 , 田村, 孝 , 家庭科教育研究者連盟. 肉と乳製品. 大月書店, 2007. (くらべてわかる食品図鑑 ; 2)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008739700-00 , ISBN 9784272406029 -
高木伸一著 ; I/O編集部編集 , 高木, 伸一 , I/O編集部. たまご大事典. 工学社, 2013. (I/O books,)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I005751578-00 , ISBN 9784777517718 -
スチュアート・ファリモンド 著 , 辻静雄料理教育研究所 日本語版監修 , 熊谷玲美, 渥美興子 訳 , Farrimond, Stuart , 熊谷, 玲美 , 渥美, 興子 , 辻静雄料理教育研究所. 料理の科学大図鑑. 河出書房新社, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029271764-00 , ISBN 9784309253824 -
「厚生省通知(平成10年11月25日 第1674号)食品衛生法に基づく鶏卵の表示基準(抜粋)」. JA全農たまご株式会社
https://www.jz-tamago.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/E05_3_1.pdf (2022年12月16日確認) -
「鶏卵の表示に関する公正競争規約及び施行規則(H28.4.1施行)」. 鶏卵公正取引協議会
http://www.jpa.or.jp/keiran_root/pdf/rules150710_01.pdf (2022年12月16日確認)
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服部栄養専門学校 監修. 服部栄養専門学校に教わるいまさら聞けない料理の基本. 宝島社, 2016. (TJ MOOK)
- キーワード
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- 卵
- 保存法
- 判別
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- NHK「チコちゃんに叱られる」で、過去(2022年7月22日放送分)に「卵を常温で売っているのはなぜ」というテーマで放送があったようだが、動画を確認できなかった。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000325907