レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20210621
- 登録日時
- 2022/08/18 00:30
- 更新日時
- 2022/08/20 15:20
- 管理番号
- 中央-2022-14
- 質問
-
解決
おやじギャグはどうしてくだらなく、寒いのか。なぜ、テンションを下げたり意気をくじいたりすることがあるのか。
このようなことを解説している本や研究はあるか。どのような学問分野で研究されているのかも知りたい。
- 回答
-
都立図書館蔵書検索やオンラインデータベースでキーワード<おやじギャグ><親父ギャグ><オヤジギャグ><男性><だじゃれ><ユーモア><若者><苦手><嫌い>等のキーワードをかけ合わせて検索し、ヒットした資料や情報を調査した。また、俗語辞典などの辞典類を調査した。
インターネット情報の最終アクセス及び調査日は2022年6月30日。
1 「おやじギャグ」の定義
情報1、資料1、資料4による定義では、この言葉自体がすでに「おもしろくない」「つまらない」というニュアンスを含んでいる。
情報1「デジタル大辞泉(コトバンク)」
「親父ギャグ」の項(https://kotobank.jp/word/%E8%A6%AA%E7%88%B6%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%82%B0-455038)に「《多く、中年男性が口にするとされることから》俗に、言い古された冗談や、おもしろくないしゃれ。」と書かれている。
資料1『若者ことば辞典』
p.51「おやじギャグ」の項に「全くうけない、つまらぬギャグ。」と書かれている。
資料2・3『現代用語の基礎知識(1998年版)』『同(1999年版)』※1997年、2000年版には掲載なし
1998年版ではp.1187、1999年版ではp.1080にいずれも「若者用語」として「おやじギャグ」の項があり、次のように書かれている。
「古くさいギャグ。型にはまったギャグや冗談。」
資料4・5『広辞苑』第6版・第7版 ※1998年発行の5版には掲載なし
第6版はp.433「おやじ」の項に「―-ギャグ」の語があり、「年輩の男性が口にする、時代感覚からずれた面白くない冗談や洒落。」と書かれている。
第7版はp.452「おやじ」の項に「―-ギャグ」の語があり、「年輩の男性が口にする、時代感覚からずれた冗談や洒落。」と書かれている。
2 「おやじギャグ」の考察
資料6『ことばのおもしろ事典』
p.13-23「第I部 第2章 おやじギャグって知っていますか?【ことば遊び】」(瀬田幸人)
「おやじギャグは、一般に、主に、中高年層の男性が使うダジャレ(駄洒落)を含む安直なギャグ(受けを狙った言葉遣い・冗談)と言われています。」(p.14)とあります。併せて、シャレの歴史や様々な言葉遊びを紹介しています。
情報2『朝日新聞』2015年12月5日 夕刊 1面 西部本社「(西発見)さむい職場 救うのダレじゃ!? だじゃれ活用協会、不休で普及 【西部】」※「朝日新聞クロスサーチ」より
日本だじゃれ活用協会代表理事の鈴木英智佳が「だじゃれ」との違いとして「おやじギャグは自己中心的。自分が言いたいから言うだけ。相手の気持ちとかお構いなしに上からかぶせるように出し続ける。職場の上位にある人がその立場を利用して言うのはギャグハラスメント、ギャグハラです」と解説している。
資料7『毎日新聞』2000年6月1日 東京夕刊 2面「[特集ワイド1]「おやじギャグ」を考える 「駄洒落は言葉の教養」と擁護論」
「おやじギャグ」と「さむい」の関係を探った記事。擁護論や厳しい意見など複数の見解が紹介されている。
例えば、郵政省通信総合研究所主任研究官の滝沢修の言葉として、「駄洒落というのは、高度な知識や教養を必要とする洒落とは違い、笑わせようと思って言うもので、受けを狙っているのが見え見えというところがあります。その場にマッチしていればいいんですが、相手に理解されないと気まずいものです」という記述がある。
情報3「日経Biz Gate」「ダジャレを承認欲求に使うな!アップデートし復権を」(瀬沼文彰(西武文理大学サービス経営学部専任講師))2021年3月17日(https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO6992044012032021000000)
オヤジギャグに負のイメージがついた2つの原因について分析している。「問題の所在は、会話を切ってしまうことにあるのではないだろうか。会話の流れを止めないこと――それが、いつの間にかコミュニケーションの暗黙のルールとなり、それを守らないと空気が読めないことになってしまうというわけだ。」や「ダジャレを言うことが自己満足で、自分の知的さを見せるためだったり、頭の回転の速さを周りに知らせるためだったり、ボキャブラリーの豊かさを見せびらかすためだったり――のように見えてしまうことが問題」とある。
3 駄洒落に関する研究
資料8『言語の事典』
p.410-415「ことば遊びの語用論」(滝浦真人)
「ただ文脈を脱線させただけの洒落は、文脈を物理的に阻害するだけに終わってしまい、そこで会話を邪魔されたと感じた人は、相手の洒落を「非協調的」と受け取るだろう。」(p.412)とあります。
論文が調べられる「CiNii Research」(https://cir.nii.ac.jp/)をキーワード<駄洒落><だじゃれ><ダジャレ>等で検索すると、以下のような駄洒落に関する研究論文が複数ヒットする。どのような学会や大学の学部で研究されているかを知ることができる。
情報4『日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集』第35回ファジィシステムシンポジウム 2019.8.29-2019.8.31 日本知能情報ファジィ学会
p.332-336「オノマトペに着目した駄洒落の面白さの分析―駄洒落の自動生成に向けて―」(内田ゆず, 荒木健治)
(https://doi.org/10.14864/fss.35.0_332)
駄洒落中のオノマトペを分析し、オノマトペが駄洒落の面白さに与える影響を調査している。
情報5『日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集』第32回ファジィシステムシンポジウム 2016.8.31-2016.9.2 日本知能情報ファジィ学会
p.237-242「駄洒落の面白さにおける要因の分析」(谷津元樹, 荒木健治)
(https://doi.org/10.14864/fss.32.0_237)
駄洒落の面白さの推定において、音韻・統語的な要因に加えて、方言や類義語といった語彙的要因を駄洒落の面白さを推定するための手がかりとして用いることが有効か検討している。
【調査した都立図書館契約データベース】
・JapanKnowledge Lib(ネットアドバンス)
・MAGAZINEPLUS(日外アソシエーツ)
・雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社)
・朝日新聞クロスサーチ (朝日新聞社)
・ヨミダス歴史館 (読売新聞社)
・毎索 (毎日新聞社)
・産経データベース(産経新聞社)
・中日新聞・東京新聞記事データベース (中日新聞社)
・ELDB(エレクトロニック・ライブラリー)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 辞典 (813 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】若者ことば辞典 / 米川 明彦/著 / 東京堂出版 / 1997.3 <R/8139/3007/97>
- 【資料2】現代用語の基礎知識(1998年版) / 自由国民社 / 1998.1 <R/8137/11/98-1>
- 【資料3】現代用語の基礎知識(1999年版) / 自由国民社 / 1999.1 <R/8137/11/99-1>
- 【資料4】広辞苑 第6版 / 新村 出/編 / 岩波書店 / 2008.1<R/813.1/5077/2008>
- 【資料5】広辞苑 第7版 / 新村 出/編 / 岩波書店 / 2018.1<R/813.1/5077/2018-1>
- 【資料6】ことばのおもしろ事典 / 中島 平三/編集 / 朝倉書店 / 2016.4<804.0/5118/2016>
- 【資料7】毎日新聞 縮刷版 51巻 6号 通巻606号(2000年6月) / 毎日新聞社
- 【資料8】言語の事典 / 中島 平三/編集 / 朝倉書店 / 2005.6 <R/803.6/5003/2005>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000320014