レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年07月03日
- 登録日時
- 2021/11/19 11:57
- 更新日時
- 2022/11/25 17:29
- 管理番号
- 愛知県図-03646
- 質問
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解決
昔、栄町にあった旧名古屋市役所の建物が全焼して跡地に百貨店が建ったと聞いたが、火災の詳細とその後の経緯について知りたい。
- 回答
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1 市役所の火災について
1907年(明治40年)10月24日、当時栄町五丁目にあった初代の名古屋市役所の庁舎及び議事堂が、議事堂西側にある仮倉庫からの出火により全焼しています(【資料1】から【資料5】より)。
出火したのが10月24日午後8時頃で市会議員選挙前夜だったことから、出火の原因について様々な憶測がなされたものの、煙草の吸殻が火元と見られ、仮倉庫で喫煙をしていた二人が火災翌日10月25日に取り調べを受けたとのことです(【資料6】より)。
火災後、市役所機能は10月25日から名古屋商業会議所内に移転、同年12月には新柳町六丁目二番地に仮庁舎が設置され移転しました。1909年(明治42年)10月には二代目の庁舎が新栄町一丁目に落成し、仮庁舎から移転しています。(【資料1】【参考1】等より)
2 市役所の跡地について
初代市役所の跡地については、【資料9】p.28「市当局はその跡地を売却して、市役所の移転新築を計画、土地払下げを公告したが高価のため買取希望者は皆無だった。」「(当時の)加藤市長は(略)土地の譲渡相談を伊藤家に持ち込んできた。」、【資料10】p.46「市は翌1908年1月に入札を行った。応札したのは伊藤家と八木家であったが、どちらも市の定めた落札予定価格には達せず、決定しなかった。」とあります。
1908年(明治41年)9月に伊藤家が購入し、1910年(明治43年)いとう呉服店(現・松坂屋)が開店しました。(【資料9】【資料10】より)
その後、いとう呉服店は南大津町(現在地)へ移転することとなり、1925年(大正14年)5月1日に屋号を「松坂屋」として新店舗が開店しました。栄町の旧店舗は子会社の栄殖産(株)が経営する食料品・日用雑貨を扱うマーケット式の「サカエヤ」として1925年(大正14年)12年に開店し、1927年(昭和2年)2月には松坂屋と合併、栄町営業部となりました。(【資料9】【資料10】より)
なお、現在では商業施設のスカイルが建っています。(【資料11】【資料12】より)
- 回答プロセス
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1 名古屋市役所について確認
明治時代、火災に遭い全焼したのは、初代の名古屋市役所庁舎であることが判明しました。なお、現在の名古屋市役所本庁舎は、1933年(昭和8年)9月6日に竣工した三代目の庁舎です。(【参考2】、【参考3】より)
2 「名古屋市史」等の地域資料を確認
【資料1】【資料2】には建物の規模や焼失した備品、簿冊数の記載(2つとも同一内容)があります。
【資料4】には翌日の状況を撮った写真の掲載があります。
3 火災について新聞記事を確認
【資料6】から【資料8】の新聞3紙について、火災発生日以降1週間の記事を確認しましたが、3紙とも火災については10月26日の記事が初出であり、【資料7】のみ翌10月27日にも記事が出ています。
【資料6】【資料7】には火災当時の様子を撮った写真の掲載があります。
4 栄にあった百貨店について社史等を確認
- 事前調査事項
- NDC
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- 中部地方 (215 10版)
- 参考資料
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【資料1】名古屋市. 大正昭和名古屋市史 第6巻 (市政篇). 名古屋市, 1954.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000871469-00 (・p.69「第一章 市政」「第一節 市政機関」「第三款 職制及び庁舎」「二 庁舎」
(資料コード:1102986358)(請求記号:A250/ナ/3-6)) -
【資料2】名古屋市. 名古屋市史 [第3巻] (政治編 第3). 愛知県郷土資料刊行会, 1980.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001474579-00 (・p.105 「市役所庁舎の沿革」
(資料コード:1101479048)(請求記号:A250/ナ/2-2-3)) -
【資料3】名古屋市会事務局 編 , 名古屋市会. 名古屋市会史 第2巻. 名古屋市会事務局, 1940.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001517632-00 (・p.975 「第十九章 明治四十年」「第十七節 市庁舎の焼失と位置変更」
(資料コード:1101501416)(請求記号:A314/ナ2/1-2)) -
【資料4】名古屋市会事務局. 名古屋市会80年のあゆみ. 名古屋市会事務局, 1970.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I010918451-00 (・p.26「議事堂及び庁舎の焼失」
(資料コード:1101501640)(請求記号:A314/ナ2/4)) -
【資料5】服部鉦太郎 著 , 服部, 鉦太郎, 1910-1998. 明治・名古屋の顔 : 写真図説. 六法出版社, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001216205-00 (・p.194 「街づくり新地図」「燃える市役所」
(資料コード:1101476233)(請求記号:A250/ハ2/2)) -
【資料6】名古屋新聞 マイクロフィルム版
(・明治40年10月26日 3面 1段目「名古屋市役所の火事」
(資料コード:2542990008)(請求記号:S/マイクロ)) -
【資料7】】新愛知縮刷版 明治40年9月・10月. 双光エシックス, 2013-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I110602195-00 (・p.326 明治40年10月26日 1面 1段目「市役所の焼失」
・p.336 明治40年10月27日 5面 3段目「市役所火災余聞」
(資料コード:2579629696)(請求記号:S/2579629696)) - 【資料8】朝日新聞(朝日新聞クロスサーチ(朝日新聞記事データベース)) (・1907年10月26日 朝刊2面 5段目「名古屋市役所の全焼(名古屋)」)
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【資料9】松坂屋70年史編集委員会編 , 松坂屋. 松坂屋70年史. 松坂屋, 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I000016266-00 (・p.27 「第1章 祐民の百貨店創設」「百貨店創業」
(資料コード:1106703675)(請求記号:A673/マツ/670367)) -
【資料10】[松坂屋百年史編集委員会編集] , 松坂屋百年史編集委員会 , 松坂屋. 松坂屋百年史. 松坂屋, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I006658324-00 (・p.45 「第1章 都市文化を象徴する近代百貨店の誕生」「第1節 デパートメントストア開業」
・p.67 「第2章 百貨店の大衆化にともなう店舗網の拡充」「第3節 商号統一と名古屋店の南大津町移転」
(資料コード:1110025760)(請求記号:A673/マツ/1002576)) -
【資料11】「一般社団法人 日本電気協会 中部支部」
https://www.chubudenkikyokai.com/ (・「プロジェクト紀行」「なごやの街角 今昔」
・【7】栄…移動した「栄町」
(最終アクセス2022/10/9)) -
【資料12】「三井住友トラスト不動産」
https://smtrc.jp/ (・「このまちアーカイブス」「名古屋」「7:百貨店が競い、老舗が守る街並み」
(最終アクセス2022/10/9)) -
【参考1】「Reiki-Base インターネット版」(「名古屋市公式ウェブサイト」の「市政情報」「条例・規則・公報」「名古屋市例規類集(外部リンク)」から)
https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_menu.html (・「第1類 通則」「第1章 開庁位置、区制及び市き章」「名古屋市役所の位置を定める条例」
(最終アクセス2022/10/9)) -
【参考2】「名古屋市公式ウェブサイト」
https://www.city.nagoya.jp/index.html (・「暮らしの情報」「施設案内」「市役所」「名古屋市役所」「名古屋市役所本庁舎について」「名古屋市役所本庁舎のご紹介」
(最終アクセス2022/10/9)) -
【参考3】「名古屋市公式note」
https://nagoya-city.note.jp (・「名古屋市役所本庁舎、昭和8年竣工で88年、令和3年に3代目庁舎を紹介(市役所本庁舎物語)」
(最終アクセス2022/10/9))
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【資料1】名古屋市. 大正昭和名古屋市史 第6巻 (市政篇). 名古屋市, 1954.
- キーワード
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- 名古屋市役所
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- 松坂屋
- 栄町
- 栄
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000307800