レファレンス事例詳細

『映像の著作権』によれば、既存の映像作品の引用は、「報道、批評、研究その他の目的を達成するために、…必要最低限の映像を『引用』」できる」1)とされています。このとき、引用したい映像の「鑑賞自体が目的となったりすることがないよう注意」2)が必要です。なお、テレビ放送局が報道を目的として、他局の政治ニュース番組を引用する場合は、

　　引用の「明瞭区分性」には十分配慮する必要があります。具体的には、放送前に「〇月〇日××放送局
　　で放送された△△番組のA氏の発言です」等のアナウンスは不可欠でしょうし、引用する映像には縁取
　　り等の画面処理をし、更にテロップでの補足（出所明示）も必要になるでしょう。

とあり3)、さらに「実務上はその放送局の許諾を得ることが慣習となっています」4)と十分な注意が必要であることが分かります。

また、他者が製作または撮影した画像・写真を自分のレポートにそのまま掲載したい場合は、自身の文章（作品）が主で、それらの画像・写真が従である関係性が担保されていることが必要となります（著作権法32条、48条）。引用に当たらない場合は、転載となり、撮影者・製作者への「転載許諾の確認」が必要です。

映像作品のレポートでの出典の書き方の例を、以下に記載します。
※出典の書き方は、下記参考文献の5）を参照しています。
※以下の記述方法は一例であり、学問分野によって記述方法が異なる場合があります。


＜映画の出典記載法＞
監督者名．映画名：副題．出演者名．製作年．版表示，出版者，出版年，（シリーズ名）．（媒体表示），入手先．

＜映画の出典の記載例＞
田中亮監督．コンフィデンスマンJP：ロマンス編．長澤まさみ，東出昌大，小手伸也出演，2019．ポニーキャニオン，2019，（DVD）．

＜テレビ・ラジオ番組＞
番組シリーズ名：番組タイトル．放送会社名，放送年月日．（媒体表示）．

＜テレビ・ラジオ番組の出典の記載例＞
アメトーーク！：神社仏閣大好き芸人．テレビ朝日，2019-11-07．（テレビ番組）．

（参考文献）
1) 二瓶和紀, 宮田ただし著．“Q73　映像を利用する場合の「正当な範囲は」”．映像の著作権．第2版，ユニ知的所有権ブックス，2016，p126．

2)再掲1)

3)二瓶和紀, 宮田ただし著．“Q75　他局の政治ニュース番組を引用できるか”．映像の著作権．第2版，ユニ知的所有権ブックス，2016，p128．

4)再掲3)

5)藤田節子著．レポート・論文作成のための引用・参考文献の書き方．日外アソシエーツ，2009，p.92-93．

6)近畿大学中央図書館．“画像・写真を引用できるかどうか知りたい。”．レファレンス協同データベース．2015-12-25，https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000185627，（参照2020-08-04）．

7)文化庁．“著作物が自由に使える場合”．文化庁ホームページ．https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html，（参照2020-08-05）．

8)文化庁．“著作権Q＆A”．著作権なるほど質問箱．https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000581，（参照2022-04-27）．※メンテナンス中とあり、今後、公開されると思われる。（2022-04-27）