①『大震災に学ぶ社会科学 第4巻 震災と経済』には、復興予算の策定についての記述がある。「東日本大震災からの復興の基本方針の中で、復興予算の規模は19兆円とされ、さらに2013年度予算以降は25兆円まで膨らんだ。
2011年度第1次補正予算は、東日本大震災復興基本法によって復興施策実施を推進するために設置された東日本大震災復興対策本部の基本方針や同本部の下に置かれた東日本大震災復興構想会議の提言が出される前の5月2日に成立した。予算規模は4兆153億円に達し、その財源は、既定経費減額で3兆7102億円(年金国庫負担縮減、子ども手当積上げ見送り、高速道路無料化凍結など)、税外収入で3051億円(高速道路割引見直しなど)でまかなわれた。
2011年度第2次補正予算も、復興対策本部の基本方針が出される前の7月25日に成立した。予算規模は1兆9106億円にとどまった。なお、前年度剰余金の受け入れが、その主たる財源となった。
当初の議論では、第1次補正予算(約4兆円)と第2次補正予算(約2兆円)の財源を合わせた6兆円については、財源が確保されているという理解だったが、第1次補正予算の財源とされた年金国庫負担縮減分2.5兆円については財源とみなされなくなった。その結果、財源を手当てしなければならない規模は15.5兆円に達した。
7月29日には、東日本大震災復興対策本部が「東日本大震災からの復興基本方針」を決定した。同基本方針では、国と地方が実施する事業規模について2015年度までの5年間の集中復興期間で少なくとも19兆円程度が見込まれた。歳出削減と税外収入で調達できる額は約5兆円と見積もられた。その内訳は、子ども手当見直し、、東京メトロ株式売却などで約3兆円、エネルギー特別会計見直しで1千億円、財政投融資特別会計剰余金で8千億円、日本たばこ株式売却で5千億円、2012年度13年度の公務員人件費見直しで6千億円である。
歳出削減と税外収入の5兆円を除いた10.5兆円は、2020年度までの増税でまかなわれることになった。国税からは、10年間の所得税付加税で5.5兆円、所得控除などの見直しで0.7兆円、3年間の法人税付加税で2.4兆円、たばこ臨時特別税で1.7兆円の合計10.4兆円程度が見込まれた。一方地方税からは個人住民税均等割で0.15兆円、所得控除などの見直しで0.2兆円地方たばこ税引き上げで0.48兆円の合計0.8兆円が見込まれた。国税と地方税を合わせると、11.2兆円となるが、うち0.7兆円はB型肝炎対策の財源に充てられることから、それを差し引いた10.5兆円が復興財源とされた。
②『東日本大震災復興の正義と倫理』によると、東日本大震災の被害額は16.9兆円、その復興に要する費用は当初5年間で19兆円、その後の10年間をふくめると23兆円という。2011年11月には復興税源法が制定され、増税が決定された。
増税は今後10年ないし25年間におよび、今後25年間所得税額の2.1%が徴収され7兆5千億円、住民税は10年間にわたって1000円上乗せで6千億円、法人税は2兆4千億円、これ以外に、退職金にかかる市民税10%減額を10年間廃止することにより1700億円で総額10兆5千億円である。もっとも、法人税は予定していた減税を3年間先延ばしにするだけで、3年後からは減税になるので、「増税」というべきものではない。いずれにしても、19兆円という復興費の半分が増税で賄われる、とある。