レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年08月01日
- 登録日時
- 2017/09/01 00:30
- 更新日時
- 2017/12/03 00:30
- 管理番号
- 0A17003722
- 質問
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解決
其角(きかく・芭蕉の弟子)の句で、「卵塔(らんとう)の鳥居やげにも神無月」というものがある。それぞれの単語の意味は分かるが、句の意味、解釈を知りたい。宗教的な本に掲載されていた句で、あまり有名な句ではないらしい。
- 回答
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お尋ねの句について解説が記載されている資料のほか、収録されている句集や関連記述のある資料を以下にご紹介いたします。
『榎本其角』(乾 裕幸/編著 蝸牛社, 1992.6)
p.98に当該句や解説が掲載されています。
『句兄弟』所収との記載があります。
「「卵塔」は墓石。墓石の御影石で出来た鳥居をくぐる。ここ高野山奥の院は御仏のいます所で神様はいまさぬ。まことに神無月の詣でにふさわしいところだ。「神無月」に神無しを言いかけた語法。(神無月・冬)」とあります。
『古典俳文学大系 7:蕉門俳諧集 2』(宮本 三郎/校注 ; 今 栄蔵/校注 集英社, 1976)
「句兄弟 下」(p.62-70)のうち、p.66上段に、「随縁紀行」の中の一句として「つねにもまいりうとき所也」の文章のあとに「卵塔の鳥居やげにも神無月 晋子」と記載されています。
ただし、解説はありません。
・国立国会図書館デジタルコレクション:『俳諧文庫 第4編』(博文館, 1897-1900)(図書館送信参加館内公開)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1876114 (2017.10.16確認)
上記『句兄弟』が収録されており、57コマめにお尋ねの句が掲載されています。
なお、お尋ねの句は「其角」作ではないことがわかったという内容の記事がありましたので、ご参考までご紹介します。
「高野山21世紀全国俳句大賞 高野山俳句ウオーク&シンポジウム 10月7日、8日」(『毎日新聞』2001年8月10日大阪朝刊)p.21
高野山の旧参道に建つ「卵塔の鳥居やげにも神無月」の句碑について、「「其角句碑」と立て札が設けられ。室井其角とされていた。しかし(中略)其角から約180年後に江戸深川に住んだ江戸座其角堂六世の鈴木義親の作であることがわかったという。」との記載があります。
ご参考まで、通称や別名として「鈴木義親」が挙げられている人名を以下にご紹介します。いずれも没年月日は「嘉永5(1852)年8月28日」となっています。
・商用データベース「JapanKnowledge」(日本人名大辞典)
「穂積永機(1)」(ほづみえいき)の項目に、「江戸時代後期の俳人」とあり、「通称は鈴木義親。別号に其角堂鼠肝(6代)。」とあります。
・商用データベース「日外e-レファレンス・ライブラリー」(人物レファレンス事典 日本」
「穂住勝助」(ほずみかちすけ)の項目に、「別名=鈴木義親、堪水、深川永機」、「江戸時代後期の歌舞伎役者」とあります。
- 回答プロセス
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1.当館所蔵の名句辞典を確認したが、関連記述は見つからず。
2.日文研俳諧データベース(http://tois.nichibun.ac.jp/database/html2/haikai/menu.html)(2016.10.16確認)で作者名“其角”、語句検索“卵塔”を確認したが、関連記述は見つからず。
3.CiNii Atricles(http://ci.nii.ac.jp/ja)(2016.10.16確認)をキーワード“其角”で検索してヒットした論文を確認したが、関連記述は見つからず。
4.国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp/)(2016.10.16確認)をキーワード“其角”、“卵塔の鳥居”、“神無月”で検索してヒットした論文を確認したが、関連記述は見つからず。
5.商用データベース「JapanKnowledge」をキーワード“其角”、“卵塔の鳥居”、“神無月”で検索してヒットした項目を確認したが、関連記述は見つからず。
6.商用データベース「毎索」(資料1)をキーワード“其角”、“卵塔の鳥居”、“神無月”で検索してヒットした記事から、当該句が「宝井(榎本)其角」ではなく「鈴木義親」作であることがわかる。
7.商用データベース「JapanKnowledge」を“鈴木義親”で全文検索してヒットした項目から、“鈴木義親”の別名として「穂積永機」、「其角堂鼠肝(6代)」があることを確認(資料2)。
8.商用データベース「日外e-レファレンス・ライブラリー」をキーワード“鈴木義親”で検索してヒットした項目から、“鈴木義親”の別名として「穂住勝助」、「堪水」、「深川永機」があることを確認(資料3)。
9.国立国会図書館サーチ、CiNii Atriclesをプロセス7、8で確認した別名で検索したが、有用資料は見つからず。
10.Googleブックスを俳句全文で検索してヒットした資料を確認したが、解説が記載されている資料は見つからず。
11.其角の句であると考えられていた時代に発行されていた資料に関連記述がある可能性があるため、当館所蔵資料をフリーワード“其角”ד鑑賞”で検索してヒットした図書を確認したが、解説が記載されている資料は見つからず。
12.商用データベース「日外e-レファレンス・ライブラリー」をフリーワード“其角”でヒットした図書を確認したが、有用資料見つからず。
14.当館所蔵の其角の句集を確認し、資料4が見つかり、『句兄弟』に所収とわかる。
15.当館所蔵資料をフリーワード“句兄弟”で検索し、資料5が見つかる。
16.国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(2017.10.16確認)をキーワード“句兄弟”で検索し、資料6が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000265491> 榎本其角(蝸牛俳句文庫 1) 乾 裕幸/編著 蝸牛社 1992.6 9784876612116 (資料4)
- 当館書誌ID <0080037083> 古典俳文学大系 7 蕉門俳諧集 2 集英社 1976 (資料5)
- 商用データベース「毎索」 (資料1)
- 商用データベース「JapanKnowledge」 (資料2)
- 商用データベース「日外e-レファレンス・ライブラリー」 (資料3)
- 国立国会図書館デジタルコレクション:『俳諧文庫 第4編』(博文館, 1897-1900)(図書館送信参加館内公開) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1876114 (資料6)(2017.10.16確認)
- キーワード
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- 穂住勝助
- 鈴木義親
- 深川永機
- 堪水
- 其角
- 其角堂鼠肝
- 穂積永機
- 俳句
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000221304