レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年09月01日
- 登録日時
- 2017/01/21 12:59
- 更新日時
- 2017/01/21 12:59
- 管理番号
- 市川20160901-02
- 質問
-
解決
「夜に爪を切ってはいけない」といわれるのはなぜか。
- 回答
-
『故事・俗信 ことわざ大辞典』(小学館 1982)p.1207に、「夜、爪を切ってはいけない」は“各地で言う”とあり、他に、夜に爪を切ると「親の死に目に会えない(各地で言う)」、「牛の爪になる(和歌山県)」、「思う事が叶わない(山梨県)」、「怪我をする(青森県)」、「盗賊が入る(千葉県上総地方)」、「長病気する(石川県)」、「早死にする(福島県)」「夜道が怖い(京都府)」など地域によって異なる俗信として多数列挙されている。
各地で言われている「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」については、『茶柱が立つと縁起がいい:語り継ぎたい「日本の言い伝え」』(黒塚信一郎/著 原書房 2005)p.14-18「夜、爪を切ると親の死に目に遭えない」の項で、“うす暗がりの中で、便利な爪切りもない時代、刃物で爪を切ったりしたら、(中略)親から授かった大切な身体を傷つけてしまう。そんな親不孝をする者は、親の死に目に遭えない不幸に見舞われると、戒めたのである”という記述に併せ、別の解釈として“冬の夜なら、飛び散った爪が暖をとる火鉢に飛び込んでしまうこともある。そのときの異臭は、死体を焼いたときのような嫌な臭いを連想させる。(中略)爪を焼くことになるのは、爪を切る当人の早死にを連想させたのではないだろうか。早死にすれば、当然、親の死に目に遭えないことになる”という記述がある。
他に、『迷信・俗信大百科』(不二竜彦/著 学研 1996)p.174では、非常に広く言い伝えられてきた俗信であるとし、“暗い夜に爪を切ると指を切る恐れがあって危険だからとか、爪を魔物に盗まれて呪われる恐れがあるなどと説明されていますが、「姑(こ)獲(かく)鳥(ちょう)」への恐怖も背景にあったのではと、筆者は考えています。姑獲鳥は、鬼車(きしゃ)鳥、夜行(やぎょう)遊女、乳母(うば)鳥などとも呼ばれる中国の怪鳥で、(中略)夜間に飛び回っては人間の“爪”を食い、子どもに害をなすなどの凶事をまきちらすと信じられました。(中略)それだけ恐れられた怪鳥なので、夜に爪など切っていると姑獲鳥を引き寄せると考えられたのでしょう”とあり、いわれについては諸説あることがわかる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000207090