以下は、確認したが質問と同じ内容の記述がなかった資料。
『「宵待草」ノート』品川 洋子/著 Dioの会 2011年
p19 彼はマツヨイグサを「宵待草」と名づけ直して詩にした。(略)
『少女』(明治45年6月)に発表された原詩「宵待草」において、マツヨイグサの「待つ」と「宵」を入れ替えて造語したネーミングを題名にした。
『秋山清著作集 第6巻 竹久夢二』秋山 清/著 ぱる出版 2006年
p52~65 宵待草のうた
p53 面白いことには「セノオ楽譜の初版から三版まで表紙には夢二自身によって待宵草とかかれ、その以後宵待草となっている」とこれもまた長田幹雄説である。してみると「宵待草」という名は、マツヨイグサをもじった夢二の創作であるかもしれない。
『宵待草 竹久夢二歌の絵本』竹久 夢二/[画] 大月書店 1992年
p96 宵待草が植物名として誤りであることがわかり、妹尾は「待宵草」と訂正させて初版を発行した。夢二は、歌詞の方はいまさら改める気はないと、そのままにしたが、一九二四年版では本書に掲げたように表紙も「宵待草」に改められた。
『竹久夢二』木村 毅/著 恒文社 1996年
p265~281 宵待草
p271~ 宵待草という植物はないそうで、これは月見草を呼ぶ夢二の造語といわれる。(略)しかし「待宵草」というのはあり(略)小さな黄色い花をひらき、よく月見草と混同されるとある。夢二は口調の上から待宵草をさかさにして「宵待草」という言葉を作り出した。
『竹久夢二抄』尾崎 左永子/著 平凡社 1983年
p40~47 宵待草のひと
p45~ ところで、ヨイマチグサというのは夢二の誤りでマツヨイグサがほんとうだ、それもツキミソウとは別ものである、という議論があるが、ヨイマチグサの呼びかたが夢二の発明だとすればたいへんおもしろい。(略)丸山尚敏氏によれば、詩歌でいうところの月見草は学問上のオオマツヨイグサであるが、通称ツキミソウでもヨイマチグサでもいっこうに構わない、との見解である。マツヨイグサの類を総称してツキミソウといってもマツヨイグサもしくはヨイマチグサとよんでもとがめ立てすることはないのである。(略)この「ヨイマチグサ」は、夢二の誤用というよりは、選択であったのではないか、と想像している。
『うたのいしぶみ 1』松尾 健司/著 ゆまにて 1977年
p83~100 7 まてどくらせどこぬ人を 宵待草
p85~ ところでオオマツヨイグサ・マツヨイグサ・宵待草・月見草と四者を並べてみると(略)結局夢二は標題並びに歌詞として、この四者の中から、一番詩的な情感をもった発音・響きのする宵待草を選んだのだろう。つまり彼にとっては、実態は待宵草でも月見草でもどちらでも差支えないが、発音は「ヨイマチグサ」でなければならなかったのである。