レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年06月22日
- 登録日時
- 2015/10/06 09:26
- 更新日時
- 2015/10/15 18:49
- 管理番号
- 宮城県白石高-2015-12
- 質問
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解決
かつおのたたきは、なぜ皮を焼くのか?
- 回答
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諸説あります。どれも正しいようです。
- 回答プロセス
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本校所蔵資料のうち「料理」「特産物」などの観点でブラウジング。料理法については多少記述があるものの,
皮を焼く理由などは記述が少ない。
依頼日から数日後,宮城県図書館の資料を同様にブラウジング。比較的わかり易い記述のものを選び,
該当箇所を書き写し,依頼者に提供。
調査資料1のp106に「鰹叩き」の項があり,「硬くて食べにくいカツオの皮が,
焼き霜にすると柔らかくなって食べやすくなると同時に,香ばしさがカツオ
特有の生臭みを消す効果もある。」と書かれています。
調査資料2のp37-39には「カツオのたたき-なぜ表面を焼くのか-」という項があり,
「カツオが漁獲される頃は,気温が温かくなり,生の魚の表面には殺菌が繁殖しやすいので,
その部分を焼くことは殺菌のためにも効果があった。(中略)カツオの皮はコラーゲンが多いので
硬くて食べにくいが,焼くと皮は軟らかくなる。さらに,皮下に多い脂肪細胞の膜が熱で溶けて
脂肪が流れ出てくるので,舌ざわりが濃厚に感じられて一層おいしさが増す。」とあります。
調査資料3のp164-166には「タタキとガワ」の項があり,「土佐のタタキは,以前はカツオが
ゴシイ(生臭い)ときに作った。「手をきれいに洗ってたたけよ」と先輩たちに言われたように,
手に塩を付けてたたいたのが,その始まりであった。」などたたきと呼ぶようになったいきさつ
などが書かれています。
※※※ 事例登録後,高知県立図書館より以下の補足コメントをいただきました。 ※※※
カツオのたたき発祥の地といわれる高知から「なぜ皮を焼くのか」に絞って補足コメントいたします。
宮城県内で手に入る資料ですと、
塩竈市民図書館が所蔵する「カツオ学入門-枕崎カツオマイスター検定公式テキスト」(枕崎カツオマイスター検定委員会/編著、2011年)
https://ilisod001.apsel.jp/shio-tosyokan/wopc/pc/OpacServlet?disp=searchResultDetail&id=283340
のp.100-101には起源が5つ出ており、その2つ目に「江戸中期にヒスタミンによるアレルギー性食中毒が発生し、土佐藩が生食を禁じたために、カツオの刺身を焼き魚風にして毒消しのニンニクなどを添えた説」もあります。
なお、非売品資料で所蔵館が限られます(高知県立図書館では所蔵しています)が、土佐料理研究家の宮川 逸雄 氏が書かれた「カツオのたたきのルーツを探る」(宮川 逸雄/著、1993年)には
p.17でたたきのルーツは「焼き切り」という調理法であるという同氏の見解が述べられており、その「焼き切り」についてはp.6に、高知県大月町在住の方からの聞き取りとして、磯魚は皮が堅いので皮を取って刺身にするが、皮と身の間のうまい脂肪も取れてしまう。その部分を取らずに刺身にする方法として皮だけを焼くと皮が軟らかくなり、脂肪が魚肉全体にまわり、また釣り立ての身が堅い魚が適度の柔らかさになる。という旨が書かれています。
以上、ご参考まで。
※※※ 補足コメントはここまで ※※※
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 9版)
- 参考資料
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- 調査資料1 一〇〇の素材と日本料理 上 魚・珍味篇 柴田書店 2006
- 調査資料2 和食の魚料理のおいしさを探る 下村道子 成山堂書店 2014
- 調査資料3 カツオ漁 川島秀一 法政大学出版局 2005
- キーワード
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- かつお
- タタキ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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調査資料1-3は宮城県図書館で資料調査を行ったもの。
(2015年10月15日 追記)
コメントをいただき,事例に反映しました。高知県立図書館様に感謝いたします。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 高校生
- 登録番号
- 1000182127