レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/7/18
- 登録日時
- 2013/10/25 00:30
- 更新日時
- 2021/04/14 12:58
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-130105
- 質問
-
解決
「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」という歌は太田道灌が詠んだものですか。
- 回答
-
1 和歌「七重八重…」について
資料1 犬養廉[ほか]『後拾遺和歌集新釈 下巻』笠間書院, 1997【911.13/コシ962/2】
pp.643-644 「1154」の項に下記の記載があります。
「「ななへやへはなはさけども山ぶきのみのひとつだになきぞあやしき」
(中略)
【現代語訳】小倉の山荘に住んでいました頃、雨が降った日、蓑を借りる人がいましたので、山吹の枝を折って取らせました。その人はわけもわからずに通り過ぎまして翌日、(蓑を借りようとしたのに)山吹を折って渡された意味がわからなかったということを言って寄こしてきましたので、返事として詠んで送った歌
七重八重に(あでやかに)花は咲くけれども、山吹には実の一つさえもないのがふしぎなことです。わが家には、お貸しできる蓑一つさえないのです。
(中略)
【作者】兼明親王
(中略)
【補説】若き日の太田道灌が蓑を借りるべくある小屋に入ったところ、若い女が何も言わず山吹の花一枝を差し出したので、道灌は怒って帰宅した。後に山吹には「七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞ悲しき」の意が託されていたのだと教えられ無学を恥じたという有名な話が『常山紀談』に載る。」
資料1の底本についてはpp.1-4の「凡例」に下記の記載があります。
「本書は宮内庁書陵部蔵『後拾遺和歌抄』(四〇五-八七)を底本として全釈を試みたものである」
資料2 藤原通俊撰『後拾遺和歌集』和泉書院, 1991【911.13/コシ913】
p.290「1154」の項に下記の記載があります。
「ななへやへはなはさけども山ぶきのみのひとつだになきぞあやしき」
作者は中務卿兼明親王となっています。
2 和歌「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞ悲しき」と太田道灌について
資料3 湯浅常山『定本常山紀談 上』新人物往来社, 1979【210.47/ユ1】
pp.42-44「太田持資歌道に志す事」に記載されています。
資料4 『日本史大事典 1』平凡社, 1992【210.03/92Y/1タR】
pp.1071-1072「太田道灌(おおたどうかん)」の項に下記の記載があります。
「(前略)道灌が鷹狩に出て雨に遭い、蓑を借りようとしたとき、若い女に山吹を差し出され、それが『七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞ悲しき』という古歌(『後拾遺集』雑)の意だと後で知り、無学を恥じたという逸話は『常山紀談』や『雨中問答』(西村遠里著、一七七八)等に記されて著名。(後略)」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 太田, 道灌(オオタ, ドウカン)
- .山吹伝説
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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国立国会図書館レファレンス協同データベース事業サポーター様より,下記のコメントをいただきました。
太田道灌山吹譚について
水原 一
駒澤國文 32, 183-185, 1995-02
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007002670
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000139487