レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年09月22日
- 登録日時
- 2010/09/22 11:37
- 更新日時
- 2012/12/26 15:33
- 管理番号
- 若松一般 179
- 質問
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解決
「弘法にも筆の誤り」ということわざが広く知られていますが、
ここでいう弘法が、何という字を間違ったのかを教えてください。
- 回答
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応天門の「応」の字を間違ったようです。
今昔物語集 (巻十一の九話)に、勅命によって諸門の額を書くことになった弘法大師が、額を応天門に打ち付けてから見たところ、初めの字「応」の点が無く、筆を投げて点を打ったという逸話があり、この話からことわざが生まれたようです。
- 回答プロセス
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1.自館所蔵のことわざ辞典で、「弘法にも筆の誤り」を調べたところ、弘法大師が勅命により諸門の額を書くことになったが、応天門の額を打ち付けてから見たところ、初めの字の点が無く、驚いて筆を投げ点を打ったという話が今昔物語集 巻十一の第九話にあり、このような話からこのたとえが生まれたとの記述がありました。
『世界の故事・名言・ことわざ・総解説』自由国民社 P123
2.自館所蔵の語源辞典でも調べてみたところ、嵯峨天皇の命令で応天門の額の字を書いたが、「應(応)」の字の「心」の点を一つ落としてしまい、そこからこの句が使われるようになったとの記述がありました。
『暮しのことば語源辞典』講談社 P262
3.確認のため、今昔物語集を調べてみたところ、確かに巻十一の第九話に『弘法大師宋に渡り真言の教へを伝えて帰り来る語 第九』(弘法大師渡宋伝真言教帰来語第九)という逸話があり、「亦、応天門ノ額打付テ後、是ヲ見ルニ、初ノ字ノ点既ニ落失タリ」(ところが応天門の額をうちつけてから見ると、「応」の字の最初の点がいつのまにかなくなっている)との記述を確認できました。
『今昔物語集 一 日本古典文学全集21』 小学館 「弘法大師渡宋伝真言教帰来語第九」 P110~111
(補足:表題の「宋」は、正しくは「唐」とあるべきところ~との解説がありました。本来は「弘法大師渡唐伝真言教帰来語第九」という題が正しいようです。)
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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『世界の故事・名言・ことわざ・総解説』
自由国民社,1999年
<813.4/セ>,(123頁) -
『暮しのことば語源辞典』
山口 佳紀編,講談社,1998年,(262頁) -
『日本古典文学全集21 今昔物語集1』
小学館,1971年
<918/ニ/21>,(110頁-111頁)
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『世界の故事・名言・ことわざ・総解説』
- キーワード
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- 弘法にも筆の誤り
- 弘法も筆の誤り
- 弘法
- ことわざ
- 由来
- 今昔物語集
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000071635