レファレンス事例詳細

1.まず利用者の方がご覧になったミュシャのポスターを特定するため、画集『アルフォンス・ミュシャ』にて、図版を確かめました。
a) 「椿姫」は、ポスターに書かれた戯曲の題が" LA DAME AUX CAMELIAS" となっていました。オペラの題名 "La Traviata"　とは違うので、違う作品と考えられます。
b) 「トスカ」は、ポスターにある題名が "LA TOSCA" オペラの題名も"Tosca"と、大変似ていますが、図版の説明に「歌劇『トスカ』の原作は、サルドゥがサラのために書いた戯曲」との記述があり、これもオペラとは違う作品と考えられます。
2.裏づけのため、『最新名曲解説全集』19,20巻にて、オペラ「椿姫」「トスカ」の作品紹介記事を確認。「椿姫」のポスターに書かれていた題が、オペラの原作戯曲であったことが確認できました。「トスカ」に関しても、前述図版の説明と同様の記事があり、これもオペラの原作戯曲であることが確認できました。
3.サラ・ベルナールが「椿姫」「トスカ」には戯曲で主演したことはわかりましたが、オペラを歌ったかどうかはまだわかりません。彼女の経歴を調べました。『岩波＝ケンブリッジ世界人名辞典』にも、評伝『サラ・ベルナールの一生』にも、彼女は「女優」とあり、オペラ歌手と呼ばれたり、オペラの舞台に出たりしたことは書かれていませんでした。