レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年09月09日
- 登録日時
- 2021/12/27 00:30
- 更新日時
- 2022/12/09 00:30
- 管理番号
- 3A21007544
- 質問
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解決
大正14年年始に発行された「大大阪最新地図」大阪朝日新聞社編纂には西淀川区が姫島区、東淀川区が中島区となっている。当初は姫島区、中島区との検討があって途中で西淀川区、東淀川区に変わったと考えられるが、その経緯がわかる資料はあるのか。
- 回答
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『西淀川区史』『東淀川区史』等によると、西淀川区、東淀川区は大正14年4月に実施された大阪市の第二次市域拡張で誕生しました。区の名称は、西淀川区の名称は「下淀区」という案から「姫島区」となり、最終的に「西淀川区」に決定、東淀川区の名称は「上淀区」から「中島区」になり、最終的に「東淀川区」に決定したと記載されています。
関連記述のあった資料を以下にご紹介します。
(1)『西淀川区史』(大阪都市協会/編集 西淀川区制七十周年記念事業実行委員会 1996.3)
「第一編 通史 第三章 近代の西淀川区 三 西淀川区発足」のp.84「西淀川区誕生」の項に、「大正十四年四月一日、(中略)第二次市域拡張が実現した」
「区の名称は、当初の内申案では「下淀区」、市会に対する諮問案では「姫島区」となり、市会答申案も「姫島区」であったが、最終的には「西淀川区」と決定した。」とあります。
(2)『東淀川区史』(川端 直正/編集 東淀川区創設三十周年記念事業委員会 1956)
「第一編 総説 第一章 東淀川区の誕生」のp.3「区名の選定」の項に「新区の区名について市より府当局への内申は初め上淀区であったが、府知事より大阪市会に諮問した際は中島区(西淀川区は姫島区)であった。市会はそのまま中島区として決して府参事会に答申のところ再び中島区を東淀川区、姫島区を西淀川区と修正され、ここに区名は東淀川区と確定をみた。」とあります。
(3) 国立国会図書館デジタルコレクション『大阪市域拡張史 : 十周年記念』(大阪市 編 大阪市 昭和10) (インターネット公開)〈当館書誌ID:0070052043〉
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1233700 (2022.11.4確認)
p.249-253(コマ番号 150-152)
「第四章 市域拡張に関する諸問題 二 行政区の分割」のp.249-253「編入地域の行政区設置」の項に、区の分割や区名の決定の経過ついて記述があります。p.253の「行政区画設定経過」の表にて、西淀川区、東淀川区は、「内申案」ではそれぞれが「下淀区」「上淀区」、「市会ニ対スル諮問案」および「市会答申案」では「姫島区」「中島区」、「府参事会案(決定案)」で「西淀川区」「東淀川区」となった経過が簡潔に示されています。
(4) 国立国会図書館デジタルコレクション『大阪市会史. 第19巻』大阪市 編 大阪市 大正3-15 (インターネット公開) 〈当館書誌ID:0080262350〉
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/945888 (2022.11.4確認)
p.762-764(コマ番号398-399)「大正十三年ノ市会 第九章 十二月ノ市会」のp.762-764「行政区設備ニ関スル諮問ノ件」に、大阪市会に対する大阪府知事の諮問書(大正13年12月9日付)が掲載されています。資料(2)の「市会ニ対スル諮問案」です。「大正十四年四月一日ヨリ大阪市ニ編入スヘキ町村ノ地域ヲ以テ左ノ五区ヲ設置セムトス」とあり、「姫島区」「中島区」の名前があります。
(5)『新修大阪市史 史料編第15巻 近代 2』(大阪市 2013.11)
「第二章 大正末期から昭和初期の市政 第四節 市域の拡張・再編」にp.400-401「4 行政区名称に関する知事宛内申 大正十三年十一月二十二日」があり、上述(2)(3)(4)にある「内申案」で、「第一区 下淀区」と記載されています。「姫島区」の記述ではありませんが、ご参考までにご紹介します。なお出典資料は大阪市公文書館の「大阪行政文書二七三」です。
(6)大阪市立図書館:大阪市史編纂所:編纂所だより:編纂所だより40号(大阪市史編纂所2013.3)〈当館書誌ID:0070052043〉
https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?key=muc7vhspw-6606#_6606 (2022.11.4確認)
p.2-3「まぼろしの福島区」で、p.3に「当初の案となっていた姫島区・中島区は、西淀川区・東淀川区と名称を改められました」とあり、註には「※本文で引用した史料はすべて『大阪市増区ニ関スル綴』(大阪市公文書館蔵・整理番号317)に収録されています。」とあります。
(7)『大大阪最新地図 -編入接続町村都市計画区域及路線明細-』(大阪朝日新聞社/編 大阪朝日新聞社 1925)
大正14(1925)年2月20日発行の地図中に姫島区、中島区と書かれています。地図の左側欄外に、「訂正 中島区を東淀川区、姫島区を西淀川区と改訂す」と記載があります。
(8)大阪市:公文書検索
http://dps.city.osaka.jp/dps/move.do?menu=1 (2022.11.4確認)
簿冊検索条件入力画面で簿冊名称に“大阪市増区に関する綴”を入れて検索すると、以下の簿冊がヒットします。※インターネット上では閲覧することはできません。
簿冊名称「大阪市増区に関する綴」
編集年度「大正13年度」
保存期間「永年」
簿冊整理番号「00000317」
所管担当名「総務局行政部総務課」
所管担当名「公文書館」
- 回答プロセス
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1.質問者事前確認資料『大大阪最新地図』を確認。(資料(7))
2.当館データベース「大阪関係資料目次検索」(外部非公開)で、“中島区”“姫島区”を検索。 “中島区”で資料(2)が見つかる。“姫島区”ではヒットなし。
3.『西淀川区史』を確認。(資料(1))
4.両区の誕生は大正14年の第二次市域拡張時のため、『新修大阪市史』第6巻の第二次市域拡張の記述を確認、参考文献より資料(3)が見つかる。
5.『明治大正大阪市史』などの区の変遷に関する記述を確認、新たな有用情報なし。
6.当時の大阪市会史を確認、資料(4)が見つかる。
7.国会サーチで「中島区」「姫島区」を検索、有用情報見つからず。
8.「Googleブックス」をキーワード“姫島区”で検索。有用情報見つからず。
9.「Google」をキーワード“姫島区”で検索、資料(6)が見つかる。
資料(6)の記述より資料(5)が見つかる。
10.資料(6)の記述にあった「大阪市増区に関する綴」を「大阪市:公文書検索システム」( https://www.city.osaka.lg.jp/somu/page/0000003647.html )の簿冊検索で確認。(資料(8))
11.「聞蔵Ⅱビジュアル」で全国の地域面「大阪」で大正12年12月14日-16日を確認、有用情報見つからず。
- 事前調査事項
- NDC
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- 地方自治.地方行政 (318 9版)
- 近畿地方 (216 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0080349893> 大大阪最新地図 -編入接続町村都市計画区域及路線明細- 大阪朝日新聞社/編 大阪朝日新聞社 1925 資料(7)
- 当館書誌ID <0000253623> 東淀川区史 川端 直正/編集 東淀川区創設三十周年記念事業委員会 1956 資料(2)
- 当館書誌ID <0070052043> 大阪市域拡張史 -十周年記念- 大阪市役所 1935 資料(3)
- 当館書誌ID <0080262350> 大阪市会史 第19巻 大阪市役所/編 大阪市役所 1926.5 資料(4)
- 当館書誌ID <0000531056> 西淀川区史 大阪都市協会/編集 西淀川区制七十周年記念事業実行委員会 1996.3 資料(1)
- 当館書誌ID <0012839725> 新修大阪市史 史料編第15巻 近代 2 大阪市 2013.11 資料(5)
- 編纂所だより 40号 https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?key=muc7vhspw-6606#_6606 (2022.11.4確認) 資料(6)
- 大阪市:公文書検索 https://www.city.osaka.lg.jp/somu/page/0000003647.html (2022.11.4確認) 資料(8)
- キーワード
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- 姫島区
- 中島区
- 大阪市西淀川区
- 大阪市東淀川区
- 下淀区
- 上淀区
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000309629