レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年09月30日
- 登録日時
- 2021/12/15 15:53
- 更新日時
- 2021/12/16 09:38
- 管理番号
- 0000110943
- 質問
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解決
萩藩で行われた日本初の女体解剖について、その解剖された女性に関する資料はあるか。(処刑された事情など)
- 回答
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日本初の女体解剖は、宝暦9年(1759年)に萩藩医・栗山孝庵によって行われた。
下記回答資料1『防長医学史』が最も詳しく、一次史料に近いものと思われる。「宝暦九年六月二十一日に、萩藩において阿美濃という夫をころさうとした十七歳の姦婦を、南郊の大屋刑場において磔にすることになつた。そこで献臣(調査者注:栗山孝庵のこと)は再び解剖のために屍体下附を請願したところ、当局もその志を諒承して、刑をかるくして斬首にし、その屍を下げわたした。」(下巻部分p127)
上記の記載内容は、同書上巻部分p109-112に収録されている、山脇東洋あて書状原文とおおむね一致していると思われる。
回答資料2-5にも同様の記述がある。
回答資料2『郷土史事典山口県』では「萩の奥地川上村の百姓久右衛門の妻阿美濃が、折檻する夫に逆上して斧を打ちつけるという事件が発生、殺人未遂として阿美濃の死刑が判決された」と経緯が紹介されている。
回答資料3『風雪百年 郷土を築いた人たち』では「阿美濃」には「おみの」と読みが書かれている。また、栗山孝庵らによる解剖の記録は藩にはあまり残っていないともある。
回答資料6『討賊始末』には、この出来事を基にした、古川薫による歴史小説「女体蔵志」が収録されている。
小説ではあるが、人物名や経緯など他の資料と大枠は一致しているため、参考になると思われる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 医学 (490 9版)
- 参考資料
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1.田中助一 著 , 田中, 助一, 1911-1999. 防長医学史. 聚海書林, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001701409-00 , ISBN 4915521230 (上巻部分p109-112,下巻部分p124-132) -
2.松岡利夫 編 , 松岡, 利夫, 1914-1994. 郷土史事典山口県. 昌平社, 1980.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001447922-00 (p129-131) -
3.朝日新聞社山口支局 編 , 朝日新聞社. 風雪百年 : 郷土を築いた人たち. 謙光社, 1967.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001092724-00 (p88-90) -
4.河谷日出男 著 , 河谷, 日出男. おんな風土記 : 西日本の群像をさぐる. 赤間関書房, 1970.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001303044-00 (p127) - 5.安藤 紀一. 栗山孝庵のこと 中外医事新報別刷. 1930.
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6.古川薫 著 , 古川, 薫, 1925-2018. 討賊始末. エルム, 1975.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001256815-00 (p195-232)
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1.田中助一 著 , 田中, 助一, 1911-1999. 防長医学史. 聚海書林, 1984.
- キーワード
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- 解剖学--歴史
- 医学--歴史--山口県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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参考事例:萩藩の医師、栗山孝庵(くりやまこうあん)が行った、日本初の女体解剖に参加した者の名前が分かるものはないか。また、その女体解剖についての資料がないか。(山口県立山口図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000223795
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000308998