レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/08/02
- 登録日時
- 2021/06/23 00:30
- 更新日時
- 2021/06/24 09:26
- 管理番号
- 所沢富岡-2021-003
- 質問
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解決
1990年代に、サンゴ礁が(全世界規模で)危機的な状況に陥ったことがあると聞いたのだが、その原因が知りたい。
- 回答
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1997~1998年のエルニーニョと相前後して、世界のほとんどのサンゴ礁分布域において、観測史上最大規模の「白化」が起きています。
この「白化」は高水温によるものであると考えられています。
以下の資料に記載があります。
〇『環境年表 第4冊(平成27-28年)』 国立天文台/編 丸善出版 2015年
〇『環境年表 第6冊(2019-2020)』 国立天文台/編 丸善出版 2018年
〇『サンゴの白化』 中村崇/共編著 成山堂書店 2020年
〇『サンゴとサンゴ礁のはなし』 本川達雄/著 中央公論新社 2008年
〇『サンゴ』 山城秀之/著 成山堂書店 2016年
〇『植物は人類最強の相棒である』 田中修/著 PHP研究所 2014年
- 回答プロセス
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1.市内所蔵資料の内容を確認する
〇『環境年表 第4冊(平成27-28年)』 国立天文台/編 丸善出版 2015年
p.201-202 「サンゴ礁の分布」の項目あり
p.202 「図3 サンゴ礁の白化」の地図があり、説明文に以下の記載あり
※「サンゴは様々なストレスを受けると、体内の共生藻を体外に放出して石灰質骨格が透けて白くみえる「白化」を起こす。1997~1998年にエルニーニョと相前後して世界のほとんどのサンゴ礁分布域において、観測史上最大規模の白化が起こった。白化の時期と位置は、衛星によって観測されていた高水温異常域と一致しており、この時の白化は高水温によるものである」
△『岩波生物学辞典』 巌佐庸/編集 岩波書店 2013年
p.550 「サンゴ礁」の項目あり
※「近年、地球温暖化のためにサンゴの分布が高緯度にシフトするとともに、多くのサンゴ礁で白化現象が見られている」
p.550 「サンゴ礁群衆」の項目あり
※「大発生したオニヒトデ(Acanthaster planci)による造礁サンゴの捕食と、高水温により造礁サンゴが共生する褐虫藻を失う白化現象による死亡が、サンゴ群衆(coral community)を減少させる主要な要因であり、それぞれ1960年代以降および1990年代以降、頻度が増加傾向にある。(中略)高水温は地球温暖化の進行によるために起こると考えられている」
2.追加調査事項
〇『環境年表 第6冊(2019-2020)』 国立天文台/編 丸善出版 2018年
p.192-196 「サンゴ礁の分布」の項目あり
〇『サンゴの白化』 中村崇/共編著 成山堂書店 2020年
p.93-96 「(1)1998年:最初の世界的な大規模白化現象」の項目あり
※「1998年には、世界的にみて初めての地球規模でのサンゴの白化現象が起こりました。1997年から1998年にかけて現れたエルニーニョおよびそれに続くラニーニャ現象は、1950年以降最大といわれ、世界各地で異常高水温域を出現させました。(中略)GCRMNでは、1998年の異常高水温により世界のサンゴ礁の約16%が死亡したと推察し、当時、それまでに観察された中でもっとも被害が大きい白化現象であったと結論づけられました」との記載あり
※(p.92 「サンゴ礁研究者の国際的なネットワークである地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(Global Coral Reef Monitoring Network:GCRMN)」)
p.64-91 「なぜサンゴは白化するのか」の項目あり
〇『サンゴとサンゴ礁のはなし』 本川達雄/著 中央公論新社 2008年
p.227-246 「危機のサンゴ礁」の項目あり
p.228 「世界のサンゴ礁が危機的状況にある。原因の一つは地球の温暖化による異常高温。一九九八年はとくにひどく、世界中でサンゴが白化し死滅した」との記載あり
p.228-230 「地球温暖化とサンゴの白化」の項目あり
※「一九九八年の白化は一〇〇〇年に一度の規模だと言われており、世界のサンゴ礁の、なんと一六パ-セントがこれにより手ひどく破壊された。(中略)この年は大規模なエルニーニョが起こり、海水温がとりわけ高かった」との記載あり
p.117-144 「褐虫藻との共生」の項目あり
p.138-139 「サンゴの白化」の項目あり
p.139-140 「白化する理由」の項目あり
〇『サンゴ』 山城秀之/著 成山堂書店 2016年
p.131-145 「サンゴが死滅していく」の項目あり
〇『植物は人類最強の相棒である』 田中修/著 PHP研究所 2014年
p.245-248 「美しいサンゴ礁が消える?」の項目あり
△『日本の渚』 加藤真/著 岩波書店 1999年
p.137-169 「サンゴ礁―光合成共生の海」の項目あり
p.168 「一九九八年は沖縄各地でサンゴの大規模な白化現象が見られた年だ。この年は台風が少なく、海水温度の高い状態が夏の数か月にわたって続いたことが、サンゴの共生藻の放出につながったらしい。異常気象がこの白化現象の一因ではあろうが、白化の被害が大規模になった背景には、それらのサンゴ礁の多くが、七〇年代の大量枯死からの回復途上にある、多様性の低いサンゴ礁だったことが関係しているだろう」との記載あり
△『サンゴの生物学』 山里清/著 東京大学出版会 1991年
p.135-136 「白化現象」の項目あり
※1979年から1988年の間に発生した白化現象についての記載あり
△『サンゴとサンゴ礁のビジュアルサイエンス』 中村庸夫/著 誠文堂新光社 2012年
p.104-108 「サンゴの白化と死」の項目あるが、「白化」の実例についての具体的な記載は見当たらない
- 事前調査事項
- NDC
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- 環境工学.公害 (519 9版)
- 無脊椎動物 (483 9版)
- 参考資料
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- 環境年表 第4冊(平成27-28年) 国立天文台/編 丸善出版 2015.12 519.036 978-4-621-08994-1
- 環境年表 第6冊(2019-2020) 国立天文台/編 丸善出版 2018.11 519.036 978-4-621-30334-4
- サンゴの白化 中村崇/共編著 成山堂書店 2020.2 483.35 978-4-425-83111-1
- サンゴとサンゴ礁のはなし 本川達雄/著 中央公論新社 2008.6 483.35 978-4-12-101953-0
- サンゴ 山城秀之/著 成山堂書店 2016.9 483.35 978-4-425-83071-8
- 植物は人類最強の相棒である 田中修/著 PHP研究所 2014.4 471 978-4-569-81879-5
- キーワード
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- サンゴ礁
- 白化
- エルニーニョ現象
- 地球温暖化
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000300636