レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年07月18日
- 登録日時
- 2020/08/20 12:13
- 更新日時
- 2020/08/31 15:43
- 管理番号
- R-068
- 質問
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『越後国角田山妙光寺縁起』(請求記号 175.941/Ta21)とは、どのような資料か。遠方に住んでいるため、書誌情報や内容を教えてほしい。
- 回答
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1) 刊写の別
『越後国角田山妙光寺略縁起』は版本だが、写本の『阿蘭陀文』と合冊されている。『阿蘭陀文』は、オランダへ渡った堀屋清兵衛の娘のふみが、天保11年(1840)に日本へ向けて出したといわれる書状である。堀屋清兵衛は大坂の人のため、妙光寺とは特に関係がない(白石広子「「阿蘭陀文」の謎」」、『長崎出島の遊女―近代への窓を開いた女たち』勉誠出版、2005年、121~164頁を参照)。『阿蘭陀文』を合冊したのは旧蔵者と考えられるが、なぜ合冊したのかは不明である。
2) 書誌情報
立正大学図書館OPACの書誌情報(https://opac.ris.ac.jp/detail?bbid=AB20227862)に加え、以下の補足情報を案内した。
・『越後国角田山妙光寺略縁起』の部分は、共紙表紙で本文は4丁。
・表紙中央に刷題簽があるが、外題は内題と変わらない。
・本文は毎半丁10行で、漢字かな交じり文(漢字はくずし字、仮名は変体仮名)で書かれており、漢字にはルビが振られている。
・奥書の記載から、文政6年(1825)に妙光寺39世の志辨院日泰が刊行したもか。ただし、江戸時代末期に作られた可能性もある。
3) 内容
冒頭と終わりの部分を翻字し、以下に記載する(振り仮名は省略)。
〈冒頭五行〉
越後国角田山妙光寺縁起
我越後国蒲原郡角田山妙光寺の来由を尋るに文永
八年辛未年九月十二日高祖日蓮大菩薩龍口の難を
脱れ給ひ鎌倉より依智に御うつり佐渡が嶋え配流の砌
十月十日依智を御出立同廿一日越後国寺泊え御着の処頃
〈終わり〉
大悲の恩特を深く仰き奉り不退修行肝要たるへし
弥以廣宣流布無令断絶のため遍く世の人に角田山
の霊場をしらしめんと略縁起を述ることしかり
于時
文政六年癸未六月 角田山妙光寺
卅九世
志辨院日泰
4) その他
・旧蔵者は、越後の村上藩の医師であった藤井家。藤井家旧蔵書は、大正12年(1923)当時、立正大学が購入したものと推定される。藤井家の一人であった藤井正(政)紀(1866~1925)の墓は、新潟県村上市岩船三日市の本證寺にある。藤井家の詳細については、『日本古書通信』の84(5)、84(6)を参照。
・『越後国角田山妙光寺縁起』は、藤井家が新潟で入手したものと考えられるため、妙光寺が寺で刷って配ったものではないかと推測される。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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白石広子著 , 白石, 広子. 長崎出島の遊女 : 近代への窓を開いた女たち. 勉誠出版, 2005. (智慧の海叢書, 17)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I007086694-00 , ISBN 4585071113 -
小此木 敏明 , 小此木 敏明. 古書資料館の蔵書(5)村上藩の医者、藤井家の旧蔵書(1). 2019-05. 日本古書通信 84(5) (1078) p. 18-19
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029664996-00 -
小此木 敏明 , 小此木 敏明. 古書資料館の蔵書(6)村上藩の医者、藤井家の旧蔵書(2). 2019-06. 日本古書通信 84(6) (1079) p. 16-17
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029723541-00
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白石広子著 , 白石, 広子. 長崎出島の遊女 : 近代への窓を開いた女たち. 勉誠出版, 2005. (智慧の海叢書, 17)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000286026