レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年11月13日
- 登録日時
- 2019/11/15 12:13
- 更新日時
- 2019/11/15 17:18
- 管理番号
- 2019111303
- 質問
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小田原北条氏家臣の間宮氏について調べている。函南町間宮は、間宮信冬が移り住んだことから間宮と称されたと『相模風土記』に記されている。現在、この間宮に7か所の通称地名(下町・中町・上町・宮川町・四ツ街道・天池町・川向町)があるようだが、これは昔の小字なのか。それともそれほど古い地名ではないのか。通称地名に由来はあるのか。
- 回答
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函南町間宮の7つの通称名(下町・中町・上町・宮川町・四ツ街道・天池町・川向町)については、間宮区の宅地開発が進み、世帯数が多く、行政が管理しやすいように区内をさらに分けた通称名のため、比較的新しい地名といえる。
しかし、四ツ街道以外は小字の地名でも出てくるため、おそらくその区域位置を表すのにわかりやすい名称として通称名でも使われたのだと推測される。
『函南町誌 下巻』(函南町誌編集委員会/編、函南町、1985)に小字名の一部の名前の由来が記載されているが、間宮通称名に使われたと思われる小字の地名の由来は残念ながら記載はなかった。
参考までに、間宮の小字のうち、地名の由来が記載されている下記のものを紹介した。
・落合(おちあい)…「落合」という地名は、川と川が合流するところにつけられている。間宮の落合は、大場川と御殿川の合流点。
・桑原田(くわはらだ)…箱根権現、伊豆山権現へ寄進された土地の名残といわれている。
・夫田(ぶでん)…功績のあった者に田地を賜ったもの、別勅符田から由来したといわれている。
・伏ヶ坪(ふしがつぼ)・鎌ヶ坪(かまがつぼ)・瀬々ヶ坪(せせがつぼ)…大化改新後の条里制の名残といわれる坪のつく地名。
・花ノ木(はなのき)・茨之木(ばらのき)・上柚之木(かみゆのき)・中柚之木(なかゆのき)・下柚之木(しもゆのき)…植物や木の名のついた地名。それらの木が生えていたか、栽培していたことから命名されたといわれている。なお、松の名のついた地名が町内では特に多い。
・入用免(いりようめん)・観音免(かんのんめん)・杭打免(くいうちめん)…○○免という地名は新田開発のために公租を免除された土地と解されている。函南町内では塚本・間宮に多くみられる。
※以上、『函南町誌 下巻』(函南町誌編集委員会/編、函南町、1985)pp.397-411参照
また、間宮(まみや)そのものの地名の由来も所説あるようなので、紹介した。
①馬宮(昔の交通機関である馬の駅伝の地)が訛って間宮となった。
②蛭ヶ小島と三島大社の中間にある八幡宮によって間宮と称するようになった。
③間宮氏が住まったことから。
※⓶の説が有力。
※③の説については、「室町期の佐々木の一族・真野新左衛門信冬が間宮庄に移り、間宮氏を称した」という書かれ方をしている文献が見られ、間宮信冬が住んだから間宮という地名になったというよりも、間宮という地名が先で、間宮に移り住んだから真野氏が間宮氏となったように思われる。
間宮の地名の由来についての参考文献(どの説について掲載があるか番号で示した)
①②③『歴研 第17号』(函南町歴史研究会/編、函南町歴史研究会、1989)p.1
②『増訂 豆州志稿伊豆七島志』(長倉書店、1967)
②『函南村誌』(函南村役場、1912)
②『函南町誌 下巻』(函南町誌編集委員会/編、函南町、1985)p.396
②『角川日本地名大辞典22 静岡県』(角川書店、1982)p.897
③『新訂 寛政重修諸家譜 第7』(続群書類従完成会、1980)p.252
③『姓氏家系大辭典 第3卷下』(角川学芸出版、2012)p.5693
③『伊豆大事典』(羽衣出版、2010)pp.1018-1019
- 回答プロセス
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函南町についての基本史料である『函南町誌』をまずは見て、地名の由来が掲載されているページを参照した。
地名のことなので、静岡県の地名辞典も調べた。
間宮信冬が移り住んだから間宮(まみや)という地名になったという説があることから、人名辞典等も調べた。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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函南町誌編集委員会 編 , 函南町誌編集委員会. 函南町誌 下巻. 函南町, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I003974950-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=164469 -
函南町歴史研究会/編. 歴研 第17号. 函南町歴史研究会, 1983.
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=22839 -
秋山富南 著 , 萩原正平 校訂 , 萩原正夫 校訂 , 戸羽山瀚 編 , 戸羽山瀚 編 , 秋山富南 , 萩原正平 , 萩原正夫 , 戸羽山瀚 , 戸羽山瀚. 豆州志稿・伊豆七島志 増訂版. 長倉書店, 1967.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I004014377-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=22757 -
田方郡函南、宇佐美村誌. 1912. (〔田方郡町村誌〕 ; 〔5〕)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I015369888-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=22851 -
「角川日本地名大辞典」編纂委員会. 静岡県. 角川書店, 1982. (角川日本地名大辞典 ; 22)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I077725443-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=2300 -
寛政重修諸家譜 第7 新訂. 続群書類従完成会, 1980.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000034926-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=34395 , ISBN 479710211X -
太田 亮/著 , 上田 萬年/監修 , 三上 參次/監修 , 太田‖亮 , 上田‖万年 , 三上‖参次. 姓氏家系大辭典 第3卷下. 角川学芸出版, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I050595737-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=174908 , ISBN 4046227263 -
伊豆学研究会伊豆大事典刊行委員会 編 , 伊豆学研究会. 伊豆大事典 : 紙上博物館. 羽衣出版, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010923205-00
https://www.lib100.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/webopac/searchdetail.do?biblioid=114154 , ISBN 9784938138820
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函南町誌編集委員会 編 , 函南町誌編集委員会. 函南町誌 下巻. 函南町, 1985.
- キーワード
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- 間宮(まみや)
- 小字(こあざ)
- 地名
- 由来
- 間宮信冬(まみやのぶふゆ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物 地名
- 質問者区分
- 役場 団体 社会人
- 登録番号
- 1000265260