レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年08月16日
- 登録日時
- 2019/11/07 14:00
- 更新日時
- 2019/12/20 17:48
- 管理番号
- 企-190001
- 質問
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解決
掛け算の九九の一の段で1×1を「いんいちがいち」と言うが、なぜ「いん」と読むか。
その由来を知りたい。また、他の用法で「いん」を使うことがあるか。
- 回答
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三浦勇二,「『九九』の唱え方 音声学的一考察」,『言語生活』(230),70-76p., 1970.
「九九」という呼び名の由来について、70pには「昔の九九は「九九、八一」から始まっており、従って「九九」と名づけられておったわけである」との解説があった。それに続く形で、「「九九」と数字の呼び方」「「九九」の特殊な唱え方」「「九九」の発音上の工夫」等、発音に関わる様々な点について言及があった。73pには特殊な読み方になっている箇所のみを抜き出した表等も掲載されている。
大高博美,「九九の音韻論:日・英語比較」,『エクス:言語文化論集』(2), 95-105p., 2002.
http://hdl.handle.net/10236/4646
※ リンク先は、関西学院大学機関リポジトリ
抄録は英語、本文は日本語で記述されている。96pでは「九九において数字が様々に読まれるのはなぜだろうか。この答えは、各等式の読みを語彙化するための手段として日本語に固有の様々な音韻規則を利用するためである。一種の記憶術と言ってよい。」と記述があり、日本語の音韻規則に基づきその特殊な読み方について論じている。
98pでは「例えば1×2=2(インニガニ)(中略)の暗唱句において音節/ti/(中略)が(中略)/n/(撥音)(中略)に変わるのは、2音節の数(イチ、ロク)を中国語式に単音節で発音しようとする意識が働いたからなのであろう」と具体的な言及があった。
その他、当館所蔵資料を調査し、以下の資料を紹介した。
『明治初期教育稀覯書集成 13小学入門教授方法』唐沢富太郎 編
22p.に「乗算九九の圖(ず)」が掲載され、一部に読み仮名がついている。当時は必ずしも「いち」を「いん」とは読まず、「いんはちがはち」を「いつぱち」と読ませていたことが分かる。
なお、以下の資料について、直接の言及はなかったが参考として紹介した。
『日本人と数 江戸庶民の数学』 佐藤健一 著
72pに九九の表が掲載されている。江戸時代の書物『塵劫記』に掲載されているもの。
『日本数学教育史Ⅰ 算数編(1)(2)』 松原元一 著
数学教授の歴史が江戸から書かれ、当時の教科書等についても言及があった。
- 回答プロセス
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キーワード「九九」and「音読」で検索
キーワード「九九」and「音韻」で検索
- 事前調査事項
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なし
- NDC
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- 教育史.事情 (372)
- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375)
- 参考資料
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三浦 勇二 , 三浦 勇二. 「九九」の唱え方--音声学的一考察. 1970-11-00. 言語生活 / 筑摩書房 [編] (230) p. 70~76
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I252716-00 -
大高 博美 , 大高 博美. 九九の音韻論--日・英語比較. 2002. エクス : 言語文化論集(2) p. 95~105
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I6299173-00
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三浦 勇二 , 三浦 勇二. 「九九」の唱え方--音声学的一考察. 1970-11-00. 言語生活 / 筑摩書房 [編] (230) p. 70~76
- キーワード
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- 九九
- 音読
- 音韻
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000264828