レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/12/11
- 登録日時
- 2018/12/14 13:01
- 更新日時
- 2019/02/01 10:02
- 管理番号
- 島根参2018-12-003
- 質問
-
解決
様々な伝承が伝わる「鈴鹿御前」について調べたいです。調べ方を教えてください。
- 回答
-
(1)「鈴鹿御前」の概略を知る
◆【資料1】『国史大辞典 8』(吉川弘文館)p102~103「鈴鹿峠」に以下の記述があります。
この鈴鹿越の道は、京より伊勢神宮への勅使や斎宮らの通路となったが、またしばしば山賊の出没する難路であった。・・・(中略)・・・「鈴鹿山の立烏帽子」や、坂上田村麻呂と戦った女盗賊鈴鹿御前の物語など、盗賊の伝説は数多い。
◆【資料2】『日本伝奇伝説大事典』(角川書店 1986)p492「鈴鹿山」に以下のように書かれています。
(前略)・・・さらに、坂上田村麻呂が名剣鬼丸を手に鈴鹿御前と剣合わせをした舞台でもある(『太平記』巻三十二)。・・・(中略)・・・『田村の草子』では、坂上田村麻呂が鈴鹿御前の援助を受けて鈴鹿山の鬼神大だけ丸を討伐したとする。
(2)「鈴鹿御前」の伝承・伝説を探す
◆【資料4】『国書総目録』(岩波書店)で「鈴鹿御前」の伝承・伝説が書かれた文献を調べることができます。
例えば、第三巻(す-て)p42 『すゝか』、『鈴鹿姫』・・・
◆伊勢志摩地方の民話として当館所蔵に以下の資料があります。
【資料3】『伊勢・志摩の民話 日本の民話 31』(未来社 1961)
p63~68 「鈴鹿峠の鬼人」
◆国立国会図書館デジタルコレクションに以下の資料があります。
『東海道五十三次』 芳賀矢一/著(富山房, 1916)※国立国会図書館/図書館送信限定
『東海道五十三次 : 附・名数雑談』 芳賀矢一/著(富山房, 1912)※インターネット公開(保護期間満了)
「七一 鈴鹿御前」
鈴鹿の多津加美阪、阪路廿六町、最も険しい所が八町、二十七曲あるといふ。箱根についての海道の難所である。それ故昔から色々の妖怪話がある。三人の男がこの山を越えて夕立に逢ひ、詮方なく、鬼が住むといふので人の宿らぬ堂に宿った。さて其の中の二人は膽試しに、晝の内に見附けて置いた死人の屍を取りに行くといふ話が今昔物語に出て居る。此の時二人の出て行った跡で、天井の格子から色々な珍しい顔が現れた。これは多分狐の所為だらうなどと書いてある。此処には昔鈴鹿御前といふ鬼女が住んで居った。田村麿が之を征伐して、遂にこれと夫婦になったなどの古伝説も御伽草子に作られて居る。・・・(後略)・・・
『独立行政法人国立文化財機構年報』 平成20年度(国立文化財機構)
平成20年度新収品一覧
「すゝか」奈良絵本改装絵巻 3巻 江戸時代前期
作品概要 「すゝか」は一名「田村草紙」とも呼ばれ、・・・(中略)・・・ 「すゝか」の名は、後半に俊宗に加勢する天女「鈴鹿御前」に由来。・・・(後略)・・・
(3)「鈴鹿御前」について書かれた論文・雑誌記事を探す
◆当館OPACで「鈴鹿御前」を検索すると以下の資料がヒットします。
【資料5】『國語國文 第八十一巻 第七号』(臨川書店 2012.7)
p15~39 「『鈴鹿の物語』と『諏訪の本地』 <鬼に捕られる鈴鹿御前>と<飛ぶ剣>から」安藤秀幸/著
室町物語『鈴鹿の物語』(『田村の草子』『鈴鹿の草子』とも)は、俊祐・俊仁・俊宗(田村将軍)三代の将軍の物語である。・・・(中略)・・・本稿では、それら様々な要素の中から、<鬼に捕られる鈴鹿御前>と<飛ぶ剣>について、すなわち、物語後半の女主人公である鈴鹿御前が、夫の田村丸に鬼を退治させるためにあえて鬼に捕られる点と、作中において剣がほぼ常に投げるもの・飛ぶものとして描かれる点とを取り上げる。・・・
◆以下のオンラインデータベース等で、論文や雑誌記事の情報を調べることができます。
Google Scholar(https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja)
国立国会図書館オンライン(https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/)
国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)
CiNii Articles (https://ci.nii.ac.jp/)
国際日本文化研究センター>データベース>怪異・妖怪伝承(http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB/)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 伝説.民話[昔話] (388 8版)
- 日本史 (210 8版)
- 参考資料
-
-
【資料1】国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第8巻 (すーたお). 吉川弘文館, 1987.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001887623-00 , ISBN 4642005080 (p102~103 当館請求記号 R210/532/8 ※貸出禁止資料) -
【資料2】乾克己 [ほか]編 , 乾, 克己, 1929-. 日本伝奇伝説大事典. 角川書店, 1986.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001824191-00 , ISBN 4040313003 (p492 当館請求記号 R388/ニ/86 ※貸出禁止資料) -
【資料3】倉田正邦 編 , 倉田, 正邦, 1921-. 伊勢・志摩の民話. 未来社, 1961. (日本の民話 ; 第31)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001015701-00 (p63~68 当館請求記号 388/34/31 ※書庫資料) -
【資料4】岩波書店. 国書総目録 第4巻 (し) 補訂版. 岩波書店, 1990.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002036370-00 , ISBN 4000086049 (p42 当館請求記号 R025.1/コ/4 ※貸出禁止資料) - 【資料5】安藤秀幸. 『鈴鹿の物語』と『諏訪の本地』 <鬼に捕られる鈴鹿御前>と<飛ぶ剣>から. 中央図書出版社, 2012. 国語国文 第八十一巻第七号 p. 15~39, ISSN 0910-7509
-
【資料1】国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第8巻 (すーたお). 吉川弘文館, 1987.
- キーワード
-
- 三重県
- 昔話
- 民話
- 坂上田村麻呂
- 鬼
- 難所
- 妖怪
- 絵巻
- 草子
- 熊野
- 東北
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000248378