レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20180113
- 登録日時
- 2018/11/29 00:30
- 更新日時
- 2021/02/25 11:17
- 管理番号
- 中央-2018-08
- 質問
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解決
「裁判」という言葉の語源を知りたい。
ある語源辞典で明治時代に作られた言葉という記載を見つけたが、いつから使われているのか。
- 回答
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都立図書館の蔵書検索、CiNii Articles、オンラインデータベース『聞蔵Ⅱビジュアル』を<裁判><語源><初出><由来>等のキーワードで調査したところ、以下の資料に関連する記載が見られた。
資料1のp.1327-1328「さい-ばん 裁判・宰判」の項には語義(1)「裁き決定すること」について、
「(イ)特に、古代末から中世末、裁判所が訴訟の理非を判断して決定すること。」と、
「(ロ)特に現代、法律上の争いについて裁判所が判断を下すこと。(後略)」の2つに分かれており、
(イ)では1013(治安3)年の文、(ロ)では1875(明治8)年の文がそれぞれ古い年代の用例として掲載されている。
「語誌」欄には、「漢籍例はないが、日本では平安時代からすでに見え、(1)の挙例「内閣文庫本建武以来追加‐貞和二年一二月一三日」では法律用語として扱われている。(後略)」と記載がある。
資料2のp.420「裁判」の項には、「中国語の、「裁(さばく)+判(判定)」が語源です。(中略)英語judgementの訳語として明治期に当てた語です。」と記載がある。
資料3のp.340「裁判官」の項の「意味」欄には、「字音語語基の「裁判」は、中古の『岩清水文書』(治安三年(一〇二三)十月五日・僧兼清解案(平安遺文二・四九二)に「(引用部分略)」と、あるのは、訴訟のよしあしをさばき決定することの意である。」と記載がある。
参考までに、「裁判所」の初出について記載があった資料を以下に紹介する。
資料3のp.340「裁判所」の項には、用例として①~⑤があげられ、「意味・出自」欄に「(前略)①~③から、幕末期の訳語と考えられる。」と記載がある。
なお、①~③の用例の出典は以下のとおり。
①『官板バタヒヤ新聞』巻八 文久元年(1861)八月二十一日
②『英和対訳袖珍辞書』文久二年(1862)
③『万国新聞紙』四集 慶応三年(1867)五月下浣
資料4の「政治篇」p.115「裁判所の始」の項には、「明治元年(中略)一月十九日に会計裁判所を学習院におき萬里小路(までのこうじ)博房をして総督を兼ねさせたのが裁判所の名称のおこりである。」と記載がある。ただし、裁判の語源については記載されていない。
資料5のp.26「裁判制度」には、「(前略)明治四(一八七〇)年七月の司法省設置にともない(中略)四年一二月二六日の『太政官日誌』には「(前略)来廿七日ヨリ同省内ヘ引移、別局ヲ設ケ、当分東京裁判所ト称シ(後略)」とあるが、これが裁判所と呼んだ最初である。」と記載がある。
資料6のp.256「一八六八(明治一)年」には、「裁判所」の小見出しがあり、「一月二七日に大阪鎮台を大阪裁判所と改称し、(中略)司法と行政の分離は明らかでなく、地方行政機関の性格が強かった。一八七一年一二月、司法省内に東京裁判所が設置され、司法機関としてはこれが最初である。(後略)」と記載がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】日本国語大辞典 第5巻 第2版 / 小学館国語辞典編集部/編集 / 小学館 , 2001.5 <R/813.1/5020/5>
- 【資料2】日本語源広辞典 増補版 / 増井金典/著 / ミネルヴァ書房 , 2012.8 <R/812.0/5036/2012>
- 【資料3】現代に生きる幕末・明治初期漢語辞典 / 佐藤亨/著 / 明治書院 , 2007.6 <R/813.4/5022/2007>
- 【資料4】事物起源選集 12 / 紀田順一郎/監修・解説 / クレス出版 , 2005.4 <031.4/5008/12>
- 【資料5】図説明治事物起源事典 / 湯本豪一/著 / 柏書房 , 1996.11 <R/0314/3009/96>
- 【資料6】明治・大正・昭和の新語・流行語辞典 / 米川明彦/編著 / 三省堂 , 2002.10 <814.7/5010/2002>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000246582