レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年03月29日
- 登録日時
- 2016/04/14 14:02
- 更新日時
- 2021/06/18 11:30
- 管理番号
- 0131224444
- 質問
-
解決
明治の初め頃に日本の河川工事が低水工事から高水工事(淀川・利根川など)に移行したのは何がきっかけについて知りたい。
また、これを指導したオランダ人技術者についても知りたい。
- 回答
-
低水工事とは舟運や灌漑用水の確保を目的に行う工事のことをいい、高水工事とは洪水防御を目的とした工事のことをいいます。河川の改修工事は目的からこの二種類に分かれます。
明治時代当初の河川工事は、当時の国内の物資輸送は河川舟運に頼っていたため、舟運維持のための低水工事が中心でした。しかし明治18年から明治29年までに全国的に大水害が頻発、さらに鉄道の普及とともに、天候や水位に左右される舟運の輸送機関としての地位が低下し、河川工事の中心課題は洪水対策である高水工事へと急速に移っていきました。
また、明治29年には河川法が成立し、低水工事だけが受けられていた国庫負担が、府県負担であった高水工事にも開放されました。
明治政府は明治5年にファン・ドールンを団長とするオランダ人技師団を招聘し、デ・レーケ、ムンデルら多数の技術者が来日しました。
なかでもデ・レーケは約30年もの間日本に滞在し、木曽三川分離の改修計画、淀川、吉野川、常願寺川などをはじめとした、日本全国の河川改修計画の立案・指導にあたり、西欧科学技術の方法論や考え方を日本に根付かせ、日本の河川工事技術の近代化に大いに貢献しました。
以下、当館所蔵の参考資料になります。
河川工学 p.75-80
明治維新と近代治水の誕生
沖野忠雄と明治改修
オランダ技術者の来日と活躍 p.42-43
ファン・ドールン、リンド、エッセル、デ・レイケ、チッセン、ムルデル
表「オランダ人技術者の来日」あり(名前・資格・月給・雇用期間)
この他に、河川法の成立や、高水工事の進展、各河川の改修について詳細に記述あり。
洪水と治水の河川史 増補 p.149-
第4章 近代技術の登場と水害への対応の変化
水害(中公新書)
水の文化史
補章 日本における水工技術発達の概観
明治初期のお雇い外人 p.391-394
明治期前半の治水体制 p.394-395
国土の変貌と水害 p.100-107
明治政府の河川事業
日本土木史総合年表 p.129,131,167
技術と情熱をつたえた外国の人たち p.18-27
ファン・ドールン
G.A.エッセル
I.A.リンドウ
ルーエンホルスト・ムルデル
デ・レーケ
お雇い外国人 15 p.172-179
ファン・ドールン 猪苗代湖の水を御す p.152-167
リンドウ 最初の水準原標 p.168-171
デ・レーケ 近代的砂防工事の嚆矢 p.172-179
日本の川を甦らせた技師デ・レイケ
えりあぐんま 第22号 p.19-34
高校地理が目指すべき防災教育のあり方に関する考察 大林和彦著
榛名山麓に現存するデ・レーケの遺産を事例として紹介している。
群馬県の治山史 p.151-156
第一期森林治水事業実施以前の治山事業
明治政府がオランダ人技師をよんだことや、デレーケ工法一覧、石堰堤の写真あり。
箕郷町誌 p.849-850
明治初年のオランダ人による白川水源工事
詳説デ・レイケ堰堤ガイドブック
明治期の榛名山麓に築かれた「デ・レイケ堰堤」について述べられている。
- 回答プロセス
-
上記資料以外に調査した資料
水害の世紀 日経BP社 2005
木曽川は語る 風媒社 2004
日本の水制 山海堂 1996
川を制した近代技術 平凡社 1994
木曽三川に生きる 山海堂 1992
利根川治水の変貌と水害 東京大学出版会 1981
水の文化史 文芸春秋 1980
利根川と淀川 中公新書 1979
利根治水論考 崙書房 1974
- 事前調査事項
- NDC
-
- 河海工学.河川工学 (517 9版)
- 参考資料
-
-
玉井信行 編 , 玉井, 信行, 1941-. 河川工学 改訂2版. オーム社, 2014. (大学土木)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025836508-00 , ISBN 9784274216534 (当館資料番号 115208100) -
土木学会土木図書館委員会沖野忠雄研究資料調査小委員会 編 , 土木学会. 沖野忠雄と明治改修. 土木学会, 2010.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010862157-00 , ISBN 9784810606553 (当館資料番号 114871353) -
大熊孝 著 , 大熊, 孝, 1942-. 洪水と治水の河川史 : 水害の制圧から受容へ 増補. 平凡社, 2007. (平凡社ライブラリー ; 611)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008570652-00 , ISBN 9784582766110 (当館資料番号 113972384) -
宮村忠 著 , 宮村, 忠, 1939-. 水害 : 治水と水防の知恵. 中央公論社, 1985. (中公新書)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001754705-00 , ISBN 4121007689 (当館資料番号 110683984) -
アシット・K.ビスワス 著 , 高橋裕, 早川正子 共訳 , Biswas, Asit K , 高橋, 裕, 1927- 土木工学 , 早川, 正子, 1940-. 水の文化史 : 水文学入門. 文一総合出版, 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001419351-00 -
高橋 裕/著 , 高橋‖裕. 国土の変貌と水害. 岩波書店, 1979. (岩波新書 青版)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000178581-00 (当館資料番号 111488425) -
三浦基弘, 岡本義喬 編 , 三浦, 基弘, 1943- , 岡本, 義喬, 1929-. 日本土木史総合年表. 東京堂出版, 2004.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007428659-00 , ISBN 4490205171 (当館資料番号 113571871) -
かこさとし 作 , 加古, 里子, 1926-. 技術と情熱をつたえた外国の人たち : モレル・ブラントン・デ=レーケ・ケプロン. 瑞雲舎, 2004. (土木の歴史絵本 ; 第3巻)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007528136-00 , ISBN 4916016475 (当館資料番号 120864533) -
お雇い外国人 15 (建築・土木). 鹿島出版会, 1976.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001211732-00 (当館資料番号 110161452) -
上林好之 著 , 上林, 好之, 1934-. 日本の川を甦らせた技師デ・レイケ. 草思社, 1999.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002843426-00 , ISBN 4794209282 (当館資料番号 112876909) -
大林和彦著. 高校地理が目指すべき防災教育のあり方に関する考察. えりあぐんま 第22号 p. 19-34, ISSN 1341-6855
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000094491-00 (当館資料番号 117266163) -
群馬県治山治水協会/編. 群馬県の治山史. 群馬県治山治水協会, 1970.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I050449542-00 (当館資料番号 110371895) -
箕郷町誌編纂委員会 編. 箕郷町誌. 箕郷町教育委員会, 1975.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001231865-00 (当館資料番号 110323789) - 大林和彦著. 詳説デ・レイケ堰堤ガイドブック. 上毛新聞社出版部, 2021.5. , ISBN 978-4-86352-283-1 (当館資料番号 117301234)
-
玉井信行 編 , 玉井, 信行, 1941-. 河川工学 改訂2版. オーム社, 2014. (大学土木)
- キーワード
-
- 河川工事
- 低水工事
- 高水工事
- お雇い外国人
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
2016.7.7:「えりあぐんま 第22号」を追加。
2016.8.19:「群馬県の治山史」、「箕郷町誌」を追加。
2021.6.18:「詳説デ・レイケ堰堤ガイドブック」を追加。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000191126