レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/10/24
- 登録日時
- 2016/01/21 00:30
- 更新日時
- 2016/01/22 14:21
- 管理番号
- B151013142948
- 質問
-
未解決
厚生省が定めた平成10年当時の高血圧の基準値を掲載している資料があれば紹介してください。
- 回答
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資料(1)-(5)で、日本における高血圧のガイドラインの変遷について述べており、それらによると、厚生省と日本医師会によって発刊された資料(6)が、2000年に高血圧治療ガイドライン(JSH2000)が発行されるまでは日本における高血圧治療のガイドラインであったようです。ただし、資料(6)には、血圧値の分類・評価として、WHOなどの他機関が提示した数値に関する記述はありますが、厚生省が高血圧の基準値を規定したとする記述は見当たりませんでした。
そのほか、下記の[調査済み資料及びデータベース]にある資料等を調査しましたが、厚生省が高血圧の基準値を明確に規定したとする資料は見当たりませんでした。(【 】内は当館請求記号です。)
(1)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編. 高血圧治療ガイドライン. 日本高血圧学会, 2004.12【SC274-H22】
「序文」に、次のように記載されています。
「これまで高血圧治療のガイドラインとして、日本では厚生省/日本医師会編の「高血圧診療のてびき」が1990年、日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH2000)が2000年に発行されました。」(p.ii)
(2)猿田 享男. 高血圧治療ガイドラインの変遷. 臨牀と研究. 88(2) (通号 1033) 2011.2. pp.139-143【Z19-300】
「はじめに」(p.1―(139))に、高血圧の一般臨床医向けのガイドラインとして日本で最初に作成されたのが、1990年に厚生省と日本医師会との共編による高血圧診療のてびきであると記載されています。また、このガイドライン作成時には高血圧治療に関する日本人のエビデンスが乏しかったため、作成委員の臨床経験と海外の臨床試験やガイドラインを参考として作成されたこと、2000年に日本人のエビデンスに基づく高血圧治療ガイドラインを作成したこと等が記されています。
(3)猿田 享男. 高血圧治療ガイドライン. 臨牀と研究. 85(1) (通号 996) 2008.1. pp.11-15【Z19-300】
「I.日本の高血圧治療ガイドライン作成の経緯」の項に、高血圧治療に関するガイドラインとして、厚生省と日本医師会が共同で1990年に「高血圧診療のてびき」を発刊したこと、また厚生労働省が1998年に設置した医療技術評価推進検討委員会で高血圧もガイドラインの作成が必要な疾患の一つとされ、2000年に高血圧治療ガイドライン2000年版(JSH2000)が発刊されたこと等が記載されています(pp.11―(11)-12―(12))
(4)西野 康宏. 島本 和明. 高血圧の治療ガイドライン. 医学のあゆみ. 189(9) (通号 2251) 1999.05.29. pp.657-661【Z19-96】
「日本におけるガイドラインの現状」として、1990年に厚生省と日本医師会で“高血圧診療の手引き”がつくられたこと、以後改訂のないこと等記載されています。(p.659)
(5)毎日新聞. [大阪]. 2000.07.09 朝刊 3ページ【YB-7】
日本高血圧学会が8日に高血圧の治療に関する医師対象のガイドラインを発表したこと、これまで国内では1990年に厚生省などが作った「高血圧診療のてびき」しかなかったこと等が記載されています。
(6)厚生省・日本医師会編. 高血圧診療のてびき. 日本医師会雑誌 / 日本医師会 [編]. 104(2) 1990.7.15.付録【Z19-211】
「2 高血圧の検査と診断 2 血圧値の分類,評価」(pp.8-)の項に、次のように記載されています。
「・高血圧の診断や治療のためには「高血圧の検診,評価,治療に関する米国合同委員会の1988年報告(1988年の米国合同委員会)」の分類が便利である(表1).この分類では,日を替えて2回以上測定した拡張期血圧の平均が90mmHg以上のときを高血圧とし、90~104mmHgを軽症,105~114mmHgを中等症,115mmHg以上を重症と区分している。(後略)
・血圧の分類には米国合同委員会の分類のほかに1962年のWHO(世界保健機構)分類と1978年のWHO分類がある(表2).両者は正常血圧の範囲で一致しないが,わが国では1962年のWHO分類(表2下段)を使うことが多い。(後略)」(pp.8-9)
「表1 18歳以上の成人における血圧の分類」(p.9)で示されている数値は、以下の通りです。
拡張期血圧
85~89:高値正常血圧
90~104:軽症高血圧
105~114:中等症高血圧
>=115:重症高血圧
収縮期血圧(拡張期血圧が90mmHg未満のとき)
140~159:境界域収縮期高血圧
>=160:収縮期高血圧
「表2 血圧の分類(WHO, 1978)」(p.9)で示されている数値は、以下の通りです。
収縮期血圧が140mmHg以下でかつ拡張期血圧90mmHg以下である場合は正常血圧
収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期血圧95mmHg以上のいずれかを満たす場合は高血圧
正常血圧と高血圧の中間は境界域高血圧
「*1962年のWHO分類による正常血圧」(p.9)で示されている数値は、以下の通りです。
収縮期血圧が140mmHg未満でかつ拡張期血圧90mmHg未満である場合は正常血圧
[調査済み資料及びデータベース]
・日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編. 高血圧治療ガイドライン. 日本高血圧学会, 2009.1【SC274-J11】
・日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編. 実地医家のための高血圧治療ガイドライン. 日本高血圧学会, 2001.10【SC274-G98】
・今井潤 著. わかりやすい高血圧Q&A. 改訂新版. 保健同人社, 2007.12【SC274-J1】
・島本和明 編. 血圧をみる・考える. 南江堂, 2000.4【SC274-G81】
・藤井潤 監修 ; 芦田映直 著. 今日の高血圧診療. 中外医学社, 2000.3【SC274-G85】
・日和田邦男, 荻原俊男 監修 ; 檜垣實男, 小原克彦 編. 高血圧治療ガイドブック. フジメディカル出版, 1999.4【SC274-G70】
・真興交易 (株) 医書出版部 編. 高血圧の診断と治療. 真興交易医書出版部, 1999.2【SC274-G57】
・日和田邦男 編著. 質疑応答による高血圧. 日本醫事新報社, 1998.2【SC274-G42】
・梅村敏 編著. 最新高血圧診療. 南山堂, 1998.1【SC274-G39】
・大塚邦明 著. ここが知りたい高血圧. 主婦と生活社, 1996.11【SC274-G17】
・須永俊明 著. 高血圧-最新実践ガイド. メジカルビュー社, 1996.5【SC274-G16】
・藤田敏郎 編. 高血圧. 羊土社, 1995.12【SC274-G6】
・国立循環器病センター 編. 高血圧治療と予防. PHP研究所, 1995.9【SC274-G1】
・築山久一郎 著. 高血圧教室. 新興医学出版社, 1995.9【SC274-G13】
・甲斐 久史. 今泉 勉. 私の診療経験から 高血圧治療ガイドラインの変遷. 臨牀と研究. 87(1) (通号 1020) 2010.1. pp.125-131【Z19-300】
・築山久一郎. 血圧正常値の設定について(解説). Therapeutic Research. 25(6) 2004.6. pp.1078-1083【Z19-1550】
・菅沼源二. 基準値(考)(解説). 日本総合健診医学会誌. 27(2) 2000.6. pp.189-198【Z19-915】
※JSTAGEでも公開されています。( https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhep1985/27/2/27_2_189/_pdf )
・土橋 卓也. 川崎 晃一. 24時間血圧:その正常値を考える(解説/特集). Mebio. 15(2) 1998.2. pp.24-27【Z19-1591】
・医中誌Web [当館契約データベース]
・日経テレコン21 [当館契約データベース]
・毎索 [当館契約データベース]
・ヨミダス歴史館 [当館契約データベース]
・「厚生白書(平成10年版)」( http://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/kousei/1998/ )
・「厚生白書(平成9年版)」( http://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/kousei/1997/ )
・「東邦大学・医中誌 診療ガイドライン情報データベース」(東邦大学医学メディアセンター/医学中央雑誌刊行会)( http://guideline.jamas.or.jp/ )
・「Minds」((公)日本医療機能評価機構)( http://minds.jcqhc.or.jp/ )
・「高血圧ガイドラインの変遷」(大日本住友製薬 医療情報サイト)( https://ds-pharma.jp/gakujutsu/contents/cv_guideline/vicissitude/01.html )
・「21世紀における国民健康づくり運動 (健康日本21)について 報告書」(厚生労働省)( http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/pdf/all.pdf )
・「高血圧の新基準とは」(オムロン)( http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/guide/hightbp/02.html )
・「高血圧治療ガイドライン 2014」(日本高血圧学会)( http://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014v1_1.pdf )
・「一般向け『高血圧治療ガイドライン』解説冊子 「高血圧の話」」(日本高血圧学会)( http://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014_gen.pdf )
・「猿田享男. 高血圧ガイドラインの改訂と今後の高血圧治療」(未病社会の診断技術研究会)( http://www.mibyo-shindan.org/contents/201406_1.pdf )
インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2015年10月19日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・『平成17年国民健康栄養調査結果の概要』(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/05/h0516-3a.html)
- NDC
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- 内科学 (493 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 高血圧
- 基準値
- 厚生省
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000187272