レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/03/27
- 登録日時
- 2015/03/28 00:30
- 更新日時
- 2021/08/23 15:07
- 管理番号
- 1000000823
- 質問
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解決
琉球王府の船の旗で、ムカデが描かれたものについて知りたい。
- 回答
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百足旗の意味や由来は、諸説ある。
以下の5つの資料を紹介した。
①
『沖縄大百科事典 下 ナ~ン』(沖縄大百科事典刊行事務局 編、沖縄タイムス社、1983.5)
p218-219 「旗」の項目で、p219 「船旗は昔から使われたものの一つで、進貢船の百足旗は竜巻除けであったといわれている。」の記述がある。
②
『新琉球王統史 20』(与並 岳生 著、新星出版、2006.8)
p46 「琉球船はほかに航海安全を天に祈って北斗七星旗を掲げ、さらに海の魔を刺すためのまじないにムカデ旗なども掲げていました。」の記述がある。
③
『琉中歴史関係国際学術会議論文集 第四回』(琉球中国関係国際学術会議 編・刊、1993.3)
p281-294 「『おもろさうし』における船の民俗と表現 池宮正治」の論文で、p289-290 「…百足旗は、南京船、福州造り南京出し船、台湾船に認められる。これからもこれらの民俗が福州あたりの船の民俗であったことが推測される。百足旗がどのような意味を表しているのか、これまでのところはっきりしたことは分かっていないが、甲南大学の高阪薫教授と雑談している間に、中国辺りではムカデが龍を威嚇するらしいと聞いた。…百足旗も、航海の日和を、気まぐれな水神・龍王を脅して確保するマジックであったと思われるのだ。」の記述がある。
④
『おきなわの民話百選』(おきなわの民話百選刊行委員会 編、沖縄県生活福祉部児童家庭課、1996.3)
p22 「8 むかでと鶏と龍」の民話で、「…むかでがやって来て龍の耳の中に入った。龍は、痛くて転げ回り、我慢できずに、暴れ回っていたら、そこに鶏がちょこちょこやって来て、龍の耳に入っているむかでをちょんとくちばしでくわえると、食べてしまったそうだ。それを見た龍はおどろいて「とー(さて)、陸の方にもこわいものがいるんだなあ。…陸には、絶対に降りて来ないぞ。」と言ったそうだ。それで、昔は、帆前船で航海していたからね、龍は海の神様だから、帆前船の帆柱には、むかでの形をした流し旗を立て、船の先には鶏の形をつけて航海の安全をお願いしているんだよ。」の記述がある。
⑤
『蟷螂の斧』(崎山 毅 著、錦友堂、1972.8)
p725 「50 ムカデ船旗(マーザハタ)についての話」の民話で、「この満船に数羽の鳥が止まったならば舟は沈むと、船頭をはじめ乗員は大声を張り上げて鳥を追うために上や下への大さわぎでした。…するとどこから来たのか一匹のムカデが現れ、帆柱の先を目掛けて走り上り帆柱に止まっている鳥の足をかみつきましたので四、五羽の鳥は帆柱から逃げ去りました。ムカデのお陰で人間の命も助かり荷物の損をする事もなく無事目的地に安着する事ができました。そのためムカデに感謝を捧げムカデ旗を航海安全旗と印され、それに習って航海には必ずムカデ旗を揚げて運航したと伝えられたそうです。」の記述がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 1 沖縄大百科事典 下 ナ~ン 沖縄大百科事典刊行事務局∥編 沖縄タイムス社 1983.5 K03/O52/3 p218-219
- 2 新琉球王統史 20 尚泰王/琉球処分 与並/岳生∥著 新星出版 2006.8 K201/Y82/20 p46
- 3 琉中歴史関係国際学術会議論文集 第四回 琉球中国関係国際学術会議∥編 琉球中国関係国際学術会議 1993.3 K200.4/C67/4 p289-292
- 4 おきなわの民話百選 おきなわの民話百選刊行委員会∥編 沖縄県生活福祉部児童家庭課 1996.3 K388/O52 p22
- 5 蟷螂の斧 崎山 毅∥著 錦友堂 1972.8 K25/SA42 p725
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000169987