レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年01月29日
- 登録日時
- 2012/01/29 17:17
- 更新日時
- 2012/02/28 18:24
- 管理番号
- 千葉市中央020
- 質問
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解決
江戸時代の貨幣価値について知りたい。
- 回答
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米の価値や金の相場をもとに、小判1両の価値を示した資料はいくつかみつけることができた。しかしながら、米や金の価値は常に変動しており、また、同じ江戸時代でも、時期によって1両小判の質(金の含有量)が大きく異なるため、一様に比較するのは困難である。
※たとえば、『ビジュアル・ワイド江戸時代館』(小学館)の420ページをみると、江戸時代の文化・文政期に1両で買えたものが図示されている(蕎麦・うどん375杯、西瓜158個など)ので、現在の価格と比較すれば、おおまかな価値を計算することは可能。
- 回答プロセス
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①自館の資料を調査。「歴史」および「経済」の書架に資料があると考え、実際に下の資料をみつける。
[1]『ビジュアル・ワイド江戸時代館』(小学館)
文化・文政期に1両で買えたものとして、22品目を例示しており、「一人暮らしの男性なら、ぜいたくさえしなければ、3両もあれば1年生活できた。1両で大人1人の1年分の米が買えた」としている。(p.420)
また、「金1両は米価を基準に換算すれば、現在の6~10万円に相当する。」とも記されている。(p.498)
[2]『貨幣なぜなぜ質問箱』(大蔵省印刷局)
米1㎏の価格を比較する方法があるが、江戸時代と現在では米の価値が違うので難しいとしている。また、金の価値で計算する方法も記されており、これによれば、1999年7月30日現在で、慶長小判1両=1万6097円、万延小判1両=2,012円となる。(P.94)
[3]『江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた』(ベストセラーズ)
金の価格、米価、グローバルマーケット、諸物価のそれぞれを基準に、当時の1両の価値の計算を試みている。(p.102-105)
[4]『武士の家計簿』(新潮社)
加賀藩の猪山家の年収を現代の貨幣価値に直すことを試みている。現代の純銀価格や賃金を基に計算している。また、日本銀行金融研究所貨幣博物館のホームページが紹介されている。(p.53-56)
②インターネットで調査。『武士の家計簿』のなかで紹介されていた日本銀行金融研究所貨幣博物館のサイトをみてみる。「お金に関するFAQ」のページに「1.江戸時代の金一両は今のお金のいくらくらいに相当するのですか?」という質問と回答がある。「一応の試算として・・・(略)・・・米価では1両=約4万円、賃金で1両=30~40万円、そば代金では1両=12~13万円」。(記事参照:2012年1月31日)
③レファレンス協同データベースを参照すると、過去の事例で参考になるものがみつかった。
東京都江戸東京博物館図書室
「江戸時代の一両の価値は現在のいくら位か。」
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000013860
北九州市立中央図書館
「江戸時代に広く流通した貨幣、「寛永通宝」の一文は、現在でいえばおよそ何円くらいなのでしょうか。」
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000071263
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (21 9版)
- 経済史.事情.経済体制 (332 9版)
- 参考資料
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- 『ビジュアル・ワイド江戸時代館』小学館 2002.12 (p.420、p.498)
- 『貨幣なぜなぜ質問箱』大蔵省印刷局 1999.10 (p.94)
- 『江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた 誰も知らないホントの姿』八幡 和郎/著 ベストセラーズ 2005.8 (p.102-105)
- 『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』磯田 道史/著 新潮社 2003.4 (p.53-56)
- 日本銀行金融研究所貨幣博物館 (http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/index.htm)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000100692