レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年05月07日
- 登録日時
- 2010/10/28 09:25
- 更新日時
- 2010/10/28 09:25
- 管理番号
- 9000006419
- 質問
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解決
能のワキとして登場する「諸国一見の僧」は、何宗の僧侶か。
- 回答
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時宗の陣僧あるいは廻国聖・念仏聖という説や、『撰集抄』の西行にヒントを得たのではないかという説がある。
- 回答プロセス
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1.『能・狂言事典』(西野春雄編集委員 平凡社 1999年)を見るが、「ワキ」の項目に僧侶などの役柄があることのみ記述。
2.『能・狂言図典』(小林保治編 小学館 1999年)の「能の役割、登場人物」にはワキの主な役柄として、旅の僧の中に「諸国一見の僧(『松風』『野営』『善知鳥(うとう)』」とあるが、それ以上の解説はない。
3.『日本国語大辞典』第7巻(小学館国語辞典編集部編集 小学館 2001年)をひくと、「諸国一見」の項目があり「諸国を見物しながら遊行念仏や修業をして回ること」とあり。
4.東京大学附属図書館のOPAC(http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ ※2010.10.28確認)でブックコンテンツの検索を行う。「能 諸国一見」で検索すると『夢幻能(朝日選書)』(田代慶一郎著 朝日新聞社 1994年)の目次がヒット。
5.『夢幻能(朝日選書)』の内容を確認すると、「松風」の「諸国一見の僧」は、時宗の陣僧あるいは廻国聖・念仏聖という説があることや、また『西行(人物叢書)』(目崎徳衛著 吉川弘文館 1980年)には『撰集抄』の西行にヒントを得たのではないかという旨の記述がある。同書では、「諸国一見の僧」は実在のモデルを舞台に移したのではなく、世阿弥が考案した芸術的工夫の一つであることや、「松風」に登場するのが「諸国一見の僧」第一号ではないかなどと推察している。
6.『西行(人物叢書)』の当該箇所を確認すると、「『撰集抄』の西行は、かの能楽におけるワキの「諸国一見の僧」の役割を与えられたのである。実際にも、室町時代の謡曲「阿漕」「雨月」…(中略)…などが、いずれも西行ないしは西行的旅僧をワキとしている。観阿弥・世阿弥らはそのヒントを、あるいは『撰集抄』に得たのではなかろうか」との記述がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 能楽.狂言 (773 9版)
- 参考資料
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- 『夢幻能(朝日選書)』(田代慶一郎著 朝日新聞社 1994年) (p43-45)
- 『西行(人物叢書)』(目崎徳衛著 吉川弘文館 1980年) (p169-170)
- キーワード
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- 能
- 諸国一見の僧
- 僧侶
- ワキ
- 登場人物
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 映画・演劇・テレビドラマ
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000073004